夏に腐る君へ
思いついた時に書いてたやつです。夏って無限なんですよね。色々と。夏は嫌いだけど好きなんですよ。だって思考がとけるんですよ。頭が揺れるんですよ。自己が傾くんですよ。他人が自分で、自分が他人みたいな、違う、自分じゃない自分が起きるんですよね。
前置きの時点でジャンキーみたいになりましたが、理解できる方はどうぞ
夏を覚えていた
じっとりと這う湿気と
体にへばりつく暑さ
肌を刺す太陽は
まるでナイフのようで
どこにいるかも分からない蝉の声は
いつまでも頭の中で谺響する
空は入道雲を
地平線は陽炎を描く
汗で滲んだ視線
周りの物がゆらゆらと揺れ
思考がおぼつく
夏は幻だ
自分が子供なのか大人なのか
別の何かなのか
分からなくなる
きっと僕は陽炎なのだろう
存在はするけど
存在しない
見えるけど
掴めない
ゆらゆらと揺れて
定まらない
そして君は入道雲
綺麗な白で
空色が似合う
大きな空に浮かんでいて
自由に空を飛んでいる
きっとそうだ
君みたいだよ
だから
僕は君といられない
僕と君は大違いだから
一緒にいちゃいけないんだ
君は飛べるんだから
君は空へ行きなよ
僕は地平線に立ってるだけで幸せなんだ
君がとなりにいると
言うんだよ
僕の惨めさが
僕の醜さが
僕の小ささが
言うんだよ
「僕も飛びたい」って
「自由が欲しい」って
「羨ましい」って
「ずるい」って
言うんだよ
「君が憎い」って
言うんだよ
だからさ、もう行ってくれ
僕を思うなら
消えてくれ




