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強制的ティータイム


フランシスが紅茶を入れていく。これを彼に飲ませるのを勿体無く感じてしまう。あー、さっきから紅茶ばっかり飲んでお腹たぷたぷになりそう。


「……僕の紅茶だけ、湯気がたっていないような気がするんだけど……」


おっとフランシス。地味に嫌な仕打ちをしていたのか。さすがネイヴィスの従者。ナイスよ。


「お客でもない人に暖かい紅茶は出しません」


「ははっ、そうかい」


「ネイヴィスさん、王子様達、皆ネイヴィスさんに冷たかったですけど、あれはいつものことなんですか?」


カルメそれ聞くのね。まぁ、答えるけど。気になるよね。わかる。私だってそんなの見たら相手をぼこぼこにするわ。まぁ、力があればね。


「えぇ、そうですわ。そして、お兄様達が言っていたことも事実なんですの。本当に私は人形のような存在でしたわ。誰にも必要とされない、でも、自由に動くことは許されない存在。お兄様達はお母様の言いなりな私が嫌いなんですのよ」


話しが結構重くて、取り敢えず笑顔でごまかす。


「そんなのひどいです。……レオンさんもそうなんですか?」


「うーん、僕はネイヴィスとはあまり関わったことがないからね。噂で聞く限りあまりいいイメージはないけど、今のネイヴィスを見る限り、嫌な気分にはならないかな」


腹黒王子の話を完全に信じることなんて出来ないし、はいはいそうですかくらいにでも思っておくか。


「それにしても、レオンさんとライトさん以外の皆さんは正直なところ、冷めてしまいました。これ以上は関わらない方が良さそうです」


やっぱりヒロインに見捨てられてんじゃん。日本で流行ってたあの草が使えるのなら、私は今沢山の草を生やしていたでしょうよ。


「お嬢様、顔色も優れませんし、ベッドに戻ったらどうですか?」


これだからフランシスは。ネイヴィスに過保護すぎるんだって。確かにあんまり体調はよくない。でも、デフォルト過ぎて何も感じない。


「あと、すこしだけだから、許してくれないかしら?」


可愛くおねだりのポーズ。うぇ、自分が気持ち悪くて吐きそう。


「……っ、わかりました。少しだけにしてくださいね」


「そう言えばネイヴィス。昨日の誕生日で飲酒が出来るようになったのではないか?」


ん?と思う人が多いだろう。この世界の成人は15歳だから、私はもうお酒を飲んでいいのだ。夢美の体では毒でしかなかったから、一度も飲むことが叶わなかったけど、ネイヴィスなら、調子の良いときなら飲めるだろう。

ちょい毒くらいなら余裕でいける。


「はい、そうですけど、それがどうかなさいましたか?」


「今日の晩餐は、王宮でしてみてはどうだろう?正妃と一緒に食べているわけではないのなら、バレないのではないか?」


ちょっと、腹黒王子。そんなとこ行ったら気まずいの一言しかないじゃん。ネイヴィス側妃達に怖がられてるから、私がそんな所に行ったら余計に関係悪くなるわ。


お前わざと言ってんだろ。え、何?これ以上私の立場下げて何がしたいの?お前みたいな奴がカルメに関わるなってこと?はっ、本当男も女もめんどくさいの塊だわぁ……。

だから人間関係って嫌いなんだよね。


「お嬢様は体調が優れないので参加は致しません」


「僕はネイヴィスに聞いているんだ」


「第一王子様がお嬢様に聞く権利はございません」


うわっ、結構ヤバいとこつつくじゃんか。フランシス、従者やめさせられちゃうかもよ?……まぁ、フランシスに勝てる人間なんていないだろうけど。


それに、フランシスは解雇用紙を何回も突きつけられている。なのにネイヴィスの従者を続けていられるのには、それも関係してくるのだろう。だからフランシスに攻撃する奴はいない。いても殺られるだけだ。


「私も、本当はネイヴィスさんと晩餐一緒に頂きたいです。でも、ネイヴィスさんにも色々あると思うし、今お酒なんて飲んだら駄目ですよ!だからまた、一緒にお茶しましょうね」


カルメはそう言って笑った。なんていい子なんだろう。ほんと、あんなクソ王子どもが好きになっていい相手じゃない。このまま、王子と結ばれずに魔術師として活躍していけばいいのに。……まぁ、それはカルメに任せるしかないわね。


「ありがとうございますわ。カルメさんなら、いつでも部屋にいらしても構いませんわ。えぇ、一緒にお茶、頂きましょうね」


私は心から微笑んだ。あー、友達って最高だわ。ほんと、邪心で近づいた事を土下座して謝りたいほど。やらないけどね。そんなこと一国の王女がやっていいことじゃない。


「第一王子様、早く退出してください!お嬢様の笑顔は、貴方なんかが見ていいものではありません!!」


フランシスは意味深な事を言って、思い切りレオンを押し出して、無理矢理部屋から退出させた。フランシスのガッツ、嫌いじゃない。


「私もこれ以上長居したらネイヴィスさんに悪いですし、帰りますね。フランシスさん。紅茶、とても美味しかったです。ありがとうございました」


あいつらのせいでゆっくりと紅茶は楽しめなかったが、カルメとの時間は楽しかった。笑顔で私達にお礼をするカルメを見送って、私はフランシスにベッドへ沈められた。

はいはい、分かった寝るから。



お読み頂きありがとうございました。すみません、ストック無くなったので更新遅くなります…。

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