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楽しいお見舞い


はーい、私です。あの後、すぐに熱がでてベッドに直行されたよね、フランシスに。やっぱ夜風で体が冷えたときにそのままルネットと躍ったのが行けなかったのか。

私は不服ながらもベッドに入って本を読んでいる。ネイヴィスの部屋には、すごい量の本があって当分本には困らなそうだ。


「お嬢様、いつも無理はしないでくださいといっていたではないですか。二回も踊っただとか。聞いたとき耳を疑いましたよ」


呆れ顔だ。そんなことを言いながらも、温かい紅茶を入れてくれるフランシスは良くできた従者だ。優しいなー。こんな人欲しかったな。だからこんな人を創ったのかな?

疑問型にしたって誰も分かんないっての。


「これからは縛られずに生きることにしたから、それの、見せしめみたいな感じ…かしら?」


「はぁ…見せしめってなんですか。お嬢様がそれでいいなら私はそれほど言いませんが、気をつけて下さいね」


それほどってところに彼の性格を感じるわ。心配してくれる人がいるっていいな。彼のいれてくれた紅茶を飲む。あー、美味しい。インスタントのやつばっかり飲んでたから、違いがもう明らかだな。


「ふふっ、出来るだけ気を付けるわ」


そんな他愛もない会話をしていたら、扉がノックされた。母親は部屋から出れるほどの力は残っていないし、侍女は特に入ってこないし、友達はいないし……ん?あ、いるわ。友達。

カルメと友達になったんだった。異常事態よね、ゲームの中で起きたら。


「見てきます」


私がそのまま扉の前に行こうとしたら、ベッドから降りる前にフランシスに止められた。過保護め。


少し経つと、

「ネイヴィスさん、お見舞いに来ました」


とカルメがやって来た。なんてこと。皆さん見てください、この人私の友達です。どう?可愛くない?え、分かんないって?……もう、誰もいないのに問いかけてしまう私は生粋のボッチだ。


「声がでかいです、第二王女様。お嬢様の体のことをお気遣い下さい」


フランシスーーー。態度でかいぞおい。この子オスカネア王国の王女だから!!私のことは別に良いのよ。どうとでもなるわ。それに、大して声もでかくなかったし…。フランシスはカルメに厳しいのよねぇ…。そうさせちゃったのは夢美わたしだけどさ。

いや、主人にしか優しくない従者って皆好きでしょ、と思って出来たのがフランシスだし。ネイヴィスファン多かったしね。


「あ、すみません。ネイヴィスさんに会うと気持ちが高ぶって…ネイヴィスさん、お体大丈夫でしょうか?」


やっさし。何、気持ち高ぶるとか。可愛すぎか。私そんなこと一回も起きたことねぇわ。


「ふふっ、お見舞いに来てくれてありがとう。もう、いつものことだし、慣れちゃったかしら。部屋で大人しくしていたら落ち着きますわ」


笑顔も添える。あぁ、フランシス。カルメを睨むのは止めてもらえます?


「私、お見舞いにフルーツ持ってきたんです。オレンジ、と言うもので、この季節が一番美味しい時期なんですよ」


おお、なんて女子力の高い。私なんか果物って言うわ。オレンジはみかんね。でもさすがにこの世界では使わないわ。みかんは私の好物だし、テンションが上がる。


「ありがとう、カルメさん。さっそく頂きましょう」


私が一言そう言うと、フランシスがささっとみかんを剥き出した。私いつもあれやると皮がボロボロになっちゃうのよねぇ…。

不器用だって?知ってるわ。あぁ、また自問自答を…。


「良ければソファに座って?」


「はい、ありがとうございます。……うわぁ、ふかふか!」


私の超高級ソファにテンションが上がっているらしい。カルメもこのソファじゃないのかしら。


「私のソファは、豪華なんですけど、少し固いんです。そのお陰で丈夫なんですけどね」


そういうことね。カルメは王女なんだからソファを変えてと頼めばすぐに変えてもらえるだろうけど、それをしないところが、彼女らしいわ。


「そうなんですの?私、カルメさんの部屋に一度行ってみたいですわ」


私がそう言うと、カルメの顔がぱぁっと綻ぶ。なんて可愛いの。私そんな顔できない。


「お嬢様、オレンジを剥きました」


ベッドの横にある机に、みかんが入ったお皿が置かれる。フォーク付きだ。


「「頂きます」」


手を合わせて、私達はオレンジを頬張った。あー、美味しい。フランシスがこっちを見ている。食べたいのかな?


「フランシスも一つどうかしら?」


「いえ、私はお嬢様の従者ですので…」


もっともらしい理由で答えるフランシス。まぁ、そうよね。それが普通よ。いくら彼が王子と言えど、今は私の従者。でも、フランシスはみかんが大の好物なんだよなー。

カルメが帰ったらお見舞いのみかんを少し分けてあげよう。


「あ、そのハンカチ、使ってくれてるんですね」


ベッドの横に置いてあるハンカチをみてカルメは言った。あー、それね。嬉しくてベッドの横に飾ってるのよ。……とは言えない!!


「えぇ、とても素敵なプレゼントをありがとう」


そんな他愛ない会話をしていたら、いきなりドアがバンッと開いた。騒ぎの前の静けさとはこの事を言うのかもしれない。


「カルメ!!大丈夫か?!!」


おっと、嫌な予感がするぞ?



お読み頂きありがとうございました。すみません。昨日更新出来ませんでした…。頑張ります。

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