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夢の続きが現実


……あれ、もう苦しくない。私、なんで生きてるんだ?いや、私はもう死んだはずで、今の体は私の体ではない。着ている服だって違う。……ん?これ、なんかすごいデシャヴなんだけど。ちょっと。え、なに。紫の髪、白すぎる肌、暗いけど明らかにゴージャスなドレス。これ、知ってるわ。


あれ、貴方も知っているの?気が合うじゃない。……なんて、誰もいないけどさ。


えぇ、この人、つまり私は今、確実にネイヴィス·オスカネアだわ。これって、転生とか言うやつよね。だって、そう言う系はわんさかあったし、誰もが夢見るやつでしょうよ。いや、私は夢見てないわよ?……墓穴だわ。この話、やめましょう。


て言うかなんでベットで寝てるわけ?あー、ネイヴィスは病弱だったわ。そんなことより、とりあえず状況を知りたい。

私がネイヴィスなら、扉の外には絶対に彼がいるはず。


「フランシス、いるならここに来て頂戴」


その瞬間扉がガチャ、と開き、フランシスが出てきた。フランシスと言うのは、ネイヴィスの従者。ネイヴィスの言うことは絶対服従で、ある意味ネイヴィスの絶対な味方だ。だか、彼はネイヴィスに隠し事をしている。


まぁ、私にかかれば貴方の隠し事なんてちょちょいのちょいよ。だって、私原作者だし。貴方創ったの私だし。うーん、この場合は、前世の私?はぁ、いまいち実感わかないわぁ。これだからリアリストは。


「はい、なんでしょうかお嬢様」


「今から私の言う質問に答えて頂戴」


「かしこまりました」


「私の名前は?」


「お嬢様の名前は、ネイヴィス·オスカネア、この国の第一王女でございます」


あぁー、やっぱりか。ってことは死ぬ前に見たあれは、予知夢だったわけか。最悪だな。私ってば幸薄いわ。


「貴方の知る限りの私の情報は?」


「はい。お嬢様は今日で15歳の誕生日を迎え、今からパーティーの仕度をするところです。ですがお嬢様の誕生日パーティーとは名ばかりで、本当のところ、今日は第二王女の御披露目パーティーでございます。お嬢様が好まれる紅茶はカモミール、好きな色は黒、紫、ワインレッド、など暗く濃い色を好まれ、髪飾りは白のレースがふんだんに使われたものをお使いになられております。最近弟君から貰った黒とワインレッドの扇子を気に入っておられ、第二王女とは一度廊下ですれ違っただけでまだ関わりは持っておられません。王妃様が嫌がるため、お嬢様は私とルネット様以外と関わることを禁止されており、病弱なため、空気のいい王宮の離宮で、一人過ごされております。誰かの支えを求めているのに、それすら誰かに奪われ、常に孤独なのに泣き言一つ言わずに毎日をお過ごしになられ、私は心を痛めております。先程はルネット様と第二王女が仲良く話しているところをご覧になられ、第二王女に喧嘩を売ったはいいものの、そのまま倒れてしまわれ、今に至ります」


あー、すごい、流石と言うべきか知らないけど、フランシス、私の情報が多いわ。それと、フランシスの意見も入っていて、すごいネイヴィス見てるなー、と思った。


あとさ、これってどう考えてもあの夢の続きだよね。夢の続き、すなわちそれはもう夢じゃなくて現実だよね。はぁ……最悪過ぎる。誰が自分の創った作品のキャラクターに転生して喜べるんだよ。ネイヴィスは本来のネイヴィスがやってこそのネイヴィスでしょうが!


原作者がでしゃばるところじゃないんだよ!ねぇ、わかる?!ここ、私の創った乙女ゲームの世界で、これから私の作ったシナリオ通りに事が進んでくわけでしょ?こんなのたまったもんじゃないわよ。


いや、ね。ほら、もしもプレイヤーが転生したなら喜べたり思いっきりいやがったりするじゃない?大体転生するパターンはヒロインか悪役令嬢かモブな訳だし。


私も例に反さず悪役令嬢に転生。しかも本編が始まっていて、地道にヒロインは彼らと仲良くなってる。しかも、第八王子とも仲良くなろうとしてるじゃない!!あのシーンは、ルネットとヒロインが話しているのを見て、溜まりにたまったうっぷんをヒロインにぶつけるって言うシーンだ。


ヒロインはそれを見てネイヴィスと仲良くなろうとするけど、結局仲良くなれず、最後には王子様達に断罪され、一生幽閉されるって言うオチだ。あ、殺されるルートもある。表は自殺ってことで通してるけどね。王女殺しちゃって大丈夫?!と思うなかれ。だってあれはご都合主義の乙女ゲームだから!


ね?こう言うの皆好きでしょ?わかるわ。だって、私は乙女ゲームのシナリオライターだもの!

売れるために努力してんのよ。この作品は今まで依頼された中でも特に乙女ゲーム会社からの期待も重かったしね。

えぇ、頑張ったわよ。すごい頑張った。


自慢じゃないけど、私がシナリオを書いてるってだけで結構売れるんだから、その期待を上回る結果を出さないと、皆がっかりするじゃない。だから、どの作品も私の大切なものよ。


……いや、こんな話はどうでもいいわよね。そう、でも、その大切な作品に自分が転生出来るかって言うとまた違うのよね……。

わかる?……誰もいないのに、さっきから問いかけてばっかね。せっかく二度目の人生で、体も(夢美よりは)強いんだから、文句ばっかり言ってたらばちが当たるわ。えぇ、現実で殺されて死ぬのはちょっと……。


色々な転生作品の主人公達が、シナリオを壊していくように、私もこのシナリオを壊せばいいのよ。私の人生は最初から最後まで私が主人公。どれだけ薔薇てきの数が多くても、私が勝てない相手なんて、この世界ゲームではいないのよ。


「……お嬢様?先程からうつ向いてどうなさったのですか?」


おっと、彼を忘れていたわ。ごめんよフランシス。


「少し、考え事をしていただけよ」


「……そうですか」


「それよりも、早くパーティーの準備をしなければね。たとえ引き立て役としか思われていなくても、今日のパーティーは私が主役よ。皆に思い知らせてあげないと!」


「…………は、はい。そうですね。その心意気、素晴らしいと思います」


一瞬戸惑いで言葉がつまっていたけど、すぐに平常運転に戻ったわね。さすがネイヴィスの従者。いや、今は私の従者でもあるのね。これからはネイヴィスとしての人生を、シナリオとは違う大波乱にしてあげるわよ!!




今日も投稿しますよ!!あと数日は毎日出来そうです。お読み頂きありがとうございました。

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