03
身長三メートル近い巨躯全体としては、人、だが確実に人ではない人が怪獣スーツを着ているような外見だ、見た目は昆虫、カブトムシに近い、肩口からは巨椀、カメラに写っていたもので間違いない、胸下程から巨椀の半分程の径の腕が伸びだらりと垂らされている、足は一見人だがやはり怪獣のスーツの様なごつごつとした外見で足指は無い様だ
「・・・こりゃ凄い・・・」
アニメに詳しい訳でも特撮に嵌った訳でもない三人は素直に驚く、ここまで人では無いと、そうとしか感想も持てない、緊張したままの三人にそいつはぶち壊しの言葉をかけてきた
「いやーどうもどうも、場所書き忘れてたんで大丈夫かと思ってたんですが、気を使って頂いちゃってすいません」
ぶち壊しである
「・・・あ・・・あの・・・」
「防疫しないと心配ですからね、お願いできますか?」
「お待ちくださいな!主様!敵意は無いけれど射手と思われる連中がこちらを狙っていますわよ!何でそんなに呑気なんですの!?」
敵意むき出しでそう後ろから声がかかる
「ちょっとちょっと!変に気を使われるから主は止めてと言っといたでしょ」
「イヤですわ」
「ローズ!」
「イ・ヤ・で・す・わ」
「あ・・・あの其方は・・・」
清水、と思われる巨躯の後ろから現れたのもやはり異形だった、一見してわかるのは、蜂、体色から解るが日本のオオスズメバチをモチーフにした特撮スーツを着た女性に見える、慎重は180位だろうか?、顔は完全に人だ真っ赤なストレートロングの髪で目は瞳の部分が複眼になっているのが解る、背中にある透明度のある茶けた翅は飛行の為にあるのだろう
「ヤメロヤメロ、主からは説明されたたろう、ローズ、俺らみたいのは劇の悪役みたいな世界だってよ」
「な・・・」
驚く浅井達を他所にもう一人の人物がローズと呼ばれた異形に声を掛ける、此方は完全に人、頬程まで伸びた犬歯が目立つ、身長は2m越え、筋肉量が凄い、ボディビルダーのようだが確実に実用性のある鍛え方をされている、ぼさぼさとした鈍い銀色の髪が陽光を受け止めている、此方も女性だ
「バル!結局お前も主と呼んでるじゃないか!」
「ウァ?ああ、悪いな、ついつい」
取り敢えず現実に戻った津が清水に声を掛ける
「あのう、そちらのお二人は?」
「ああ、すいません断ったんですが護衛でついていくと聞かなくて・・・こちらは護衛で魔蜂続のローズと人猪族のバルトーです」
「護衛?」
「断ったんですよ!でも付いて来ちゃって・・・申し訳ない!」
ローズは憮然とした顔で、バルトーはからからと笑いながら津の視線に答えるのだった