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山田くんの逆襲  作者: やゆよ
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21/22

帰り道

山田と田山は同じ方向に帰る。

暗くなってきた道を一緒に歩いた。


この後、田山はどこに帰るのだろう。山田は田山の横顔を見つめる。


「ねぇ、田山くんってさ…」


「何だ?山田。眼鏡ずれてるぞ?」


田山が山田を笑った。山田は恥ずかしそうに眼鏡を外し、かけ直す。


「山田、お前目悪いから知らないかもだけど、眼鏡外したらまあまあイケメンだぞ?高校でデビュれよ。彼女できるかもだぞ。」


「何それ。馬鹿にしないでよ。」


山田はにこっと笑った。


「山田、さっきなんか言いかけてなかったか?」


「あっ…あのさ、」


目の前に、一緒に笑う友達がいる。

1年前までは考えられなかった。一体一年前と何が違うのか。いじめはなくなった。友達もできた。大切な、友達。


「田山くん、俺と仲良くなってくれて…その…ありがとう。」


「何だよそれ。」


「いや、田山くんがきてから、俺、死にたいって思うこと、ほんとに少なくなったなと思って…その…ありがとう。」


田山は少し、泣きそうになりつつ、


「何だよ。愛の告白か?やめろよ突然。」


と言って突然立ち止まり、左手を出す。


「え?」


「ハイタッチだよ。いつもやってるだろ?」


「でも、何にも仕返ししてないよ?」


「いいじゃんか。」


山田は首を傾げながら、とりあえず田山が差し出した手に右手で強く、ハイタッチしつつ手を握った。


パチンッと音が響いた。


「じゃあ、また明日。」


そう言って山田が歩いていくのを、田山は見守っていた。


『あいつ、成長したな。もう…心配いらないな…』


ーーーーーーーーーー


山田は帰りながら、明日の宿題の事を考える。


そういえば、数学の第二問のところ、解き方を教えてもらうの忘れてた。明日図書室で教えてもらおう。



…誰に?


あれ?


…誰だっけ…?


いつも図書室で一緒に勉強している、あの…広印さん?じゃなくて…えっと…


陽乃元さんでも、子分二でもなくて…


あれ…


山田は今日1日を思い出す。が、そこには広印ひろいん陽乃元ひのもと子分二しぶんじ、山田が楽しそうに笑っている記憶があるだけだ。


あれ…他に誰か…いたような…


山田は右手を見つめる。

なぜか、右手がジンジンと痛い。


山田はふっと、後ろを振り返った。




ま、帰ろっと。


山田は歩き出した。

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