ボツネタ 30 あと五話
29続き
ギルドの花では、ミカ坊の周囲が騒々しいことになっており、下書き時もその状態。
ここらへんの「モン兄さんかすったよ☆事件」は、下書きではバラッドが表面部分を話、ムドウ部隊長ががっつりエピソードとして語るという二段階だったが、こちらボツった為、本編ではバラッド視点で心の中で全部語っている。
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結局、ラックバレーが帰ってくるまで、ラックバレー抜きでカードをまわすことになったらしい。佐倉はラックバレーの席に座り、カードの流れを見守った。
「ミカエルのことなんですけど」
三人が唸ったので、佐倉は一度黙った。これは、その話には触れるなってことか? でも長くは耐えられなかった。
「あの騒ぎ、放っておくんですか?」
三人が悪態をついて、カードから目をあげた。睨まれても、佐倉は逃げなかった。
「下でバラッドさんに聞いたんです。モントールのときも大騒ぎになったって。沈静化するときは、ちょっと………怖い方法をとられたとも――そうなる前に、対処するとかしたほうが良くないですか?」
「モントールか」ムドウは思い出したようだ。「ああ、そうか、そうだな。たしかに今回のと状況が似てるな」
「モントールって外遊の?」
「リャノン・モントール?」
「てめえら、モントールのあとに入ったんだったか。それじゃあ、あの騒ぎは知らねえよな」
「だから何があったんです?」
「まあ、あれだ。今回よりもちょっと派手な騒ぎになっちまったんで、グリム部隊長が黙らせたんだ。部隊長は、原因のモントールを永遠に黙らせたかったらしいんだが、なんせあのモントールだからな。グリム部隊長の銃弾を避けちまった――それがアルルカ部隊長の目に留まって、奴は外遊に招かれたってわけだ」
ムドウは佐倉も知らなかった話を披露した。
『かすったんだぞ』の背景に、これほどの話があるとは思ってなかった。肋骨骨折四日目にも走れる人だから、銃弾を避けるなんて芸当もできるのかもしれないけれど……それにしても、人に向かって簡単に撃つらしいグリム部隊長の神経を疑う。
「てめえらも外遊を志望するなら、アルルカ部隊長の前でグリム部隊長に撃たれるといい」ムドウは冗談にしては笑えないアドバイスをした。「ただし、グリム部隊長が銃じゃなくて、抜刀する気分だった場合、生きる道は残っちゃいねえだろうがな」
寒すぎる話題だ。ムドウは笑っているが、他に笑える奴はいなかった。
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ここで気付いた。
地の文が、ムドウと呼び捨てにしている(驚愕
佐倉視点にも関わらずである(驚
本編だと通常、佐倉視点だとベイデン・ムドウは「ムドウ部隊長」と、書かれている。