これを渡す為に、それを差し出してみた。
イラスト祭で耳飾ミカ坊が描かれ、茗荷がはわー!!ってなった結果、雨月さんが書いてくれたもの。
手に持つ包みを、じっと見つつ、待ち人が来るのを少し不安げに待っていた。
どうしよう。本当に・・・
ふと顔を上げると待ち人が歩いてくる姿が見えた。
さらさら と、濃金の髪を揺らしながらやってくる少年は、何度見ても、何度会話しても揺るぎない美少年で。
不安と戸惑いを残しつつも、いつもどおりを心がけながら にこり と笑んで話しかけた。
・・・今日も揺るぎないそのお顔。
眉、寄ってますわよ~。う、うふふー。
少しだけためらいつつ、差し出す。
その様子に、何故か顔を険しくした。
え、変なものじゃありませんよっ!危険なものでもありません!もう!
ただ・・・
そう、ただ、侍女から情報を得て選んだものなのだ。
その場で包みを開けるのを、不安そうに見てしまう。
だって、だってそれは・・・
包みの中から出てきたものは、白地に金で模様をつけた
腹巻き。
さぶっ!え、何この冷気!?
ハヅィさまから出てるの!??
えっ、何でって、投げないでくださいましぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
必死に止めて、理由を話す。
何か贈り物をしたいと悩む姿を見かねた侍女が傭兵ギルドの人たちに何となくリサーチした結果、新しく入った隊員は、腹が弱いから腹巻を贈ってやろうかと話題に登ったことがあると聞いてきた。
新しく入った隊員ということは、ハヅィ様、そうハヅィ様はお腹が弱、寒い!寒いんですけど!
ハヅィ様、ちょ、冷気がっ!!
冷気が出ています!!
どうやら、他の隊員の方と勘違いしていたらしいことが判明しました。
よかったぁ。
辛さをこらえて励んでいるかと思って心配しましたぁ。
素直に伝えると、凍っていた表情が少しほどけた・・・気がしました。
「本当は、こちらを差し上げたかったんです。」
差し出した小さな包みも、濃金の美少年は目の前で開けた。
鈍く光を弾く銀の耳飾り。
よく見ると細かい金の意匠が施されている。
「腹巻きと耳飾り・・・どちらをつけていただけます?」
答えを出し渋る美少年に無邪気に詰め寄ると、勢いに負けたのか耳飾りをその場で付けてくれた。
「お似合いです。」
嬉しくて
嬉しくて
そう言うと、しょうがない と言うように、耳飾りを外すことなく少年は受け取り、去っていった。
濃金の髪から覗く、銀の耳飾り。
自分の存在を認めてもらったようで、思わず顔が緩んだ。
そして・・・
美人は、起こると冷気が出ているように感じるほど怖いということを身をもって知ってしまった。
今度何かをお贈りするときには、ちゃんと裏をとってからお贈りしなければ!!
先ほど味わった冷気を思い出し、ぶるり と身体を震わせた。
*
激昂 というよりは、冷笑 って感じで少女に怒ったと思われます!
美人さんの怒りって迫力ありますよね ってことで。
その返事
「なるほど、そういうふうに持っていくかと私、感動です。
まさかの腹巻ネタwww
腹巻の柄に惚れましたww
侍女はいったいどんなリサーチをしたんですかね(笑
きっと、侍女は、街で傭兵らしき二人の男に呼びかけたんでしょうね。「新兵部に新しく入った少年、いるでしょう?」みたいな感じで。「いるは、いるが……どいつ?」って訊ね返したのはチョビ髭の男で、侍女は名前を言っていいのか悩み、「これくらいの身長の方で……そう、その方がいると(その美しさと才能に)周囲が大騒ぎになるような(それはもう素晴らしい)方、いますでしょ?」みたいな発言。チョビ髭の男は、隣の若い男と目を合わせ、「それくらいの身長で、そいつがいると(その突発的破壊行動のせいで)周囲が(特に世話係が)大騒ぎになるような(それはもう壊滅的な)奴は確かにいるな」……そんな会話をしたんでしょうね(いい笑顔