指の細さからでも妄想を発展させよう。
イラスト祭で、バレたんの指の細さにまで細部にわたり描いてあり、雨月さんが思わずガン見した結果、投下されたもの。
目が覚めると窓から差し込む日は高く、今日が休みで本当によかったと思った。
隣で寝ていたはずの痩せ猫はいない。
ぬくもりを探して腕を伸ばすが、シーツに触れる手は冷たい。
上体を起こそうとすると、筋肉がきしんだような気がした。
昨夜の出来事を思い出す。
・・・・・・・発情期?
いや、違うか。それはメス猫だけで、オスはいつでも大丈夫だったはず。
と、ぼんやりとしたまま、ゆっくりと身体を横にする。
腰に響く僅かな鈍痛も、昨夜のことを思い出させて、少し考え込む。
何か嫌なことでもあったのかしら
かき抱くように強く抱きしめられた腕の強さと細さを思い出す。
もう一眠りしてから身体を起こすと幾分かましになっていた。
ベッドから降り、湯で昨夜の痕を流し、身だしなみを整えるついでに部屋も簡単に片付ける。
そろそろ帰ろうかと窓から外を見ると、ちょうど少し薄めの灰色の髪が目に入った。
猫背の男は他にも人がいる中でもすぐに目に飛び込んできて、そんな自分にため息をついた。
飼っているのか飼われているのか・・・
そう思いつつも目は猫背の男から離れなかった。
一人、ふらりと建物の中に入っていった男は、しばらくすると少年を伴って出てきた。
賑やかに話し、怒鳴りながらも歩く二人はどこか楽しそうで。
男の隣を歩く少年が少女にも見えて、疲れたように敷き直したシーツの上に転がった。
明日は仕事だから帰らなきゃ
天井を眺めつつ、今出ていけば二人と鉢合わせてしまう可能性が胸をよぎり、身体は動かなかった。
少しだけ と、身体の力を抜いて目を閉じる。
まぶたの裏には、少年と話しながらも笑う男の姿が浮かんでは消えた。
髪に違和感を感じて目が覚めた。
目線だけでたどれば、男が髪をひと房手に取り、口付けていた。
!!
目を見開いて見ていると、私が目が覚めた事に気づいた。
そのまま細い指で髪を撫でられる。
体温の低い手のひらは、髪から頬へとゆっくりと撫で、そのまま顎まで撫でて唇に親指を這わせた。
唇の輪郭をなぞる指に、瞳に熱が灯る。
薄く口を開ければ、そのまま食べられるような口付け。
明日も仕事なのに
そんなことを思いつつ、どこか胸が暖かくなるような感覚に、瞳を細めた。