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パラレル 柿の木の下で 12月の病人

そのタイトルでいいのか。大事な出会いww

雨月さんのパラレル文です。

12月の初め。

風邪をひき、会社を休んで病院に行った後、寝込んでも大丈夫なように食糧を買い込んだ私は倒れるギリギリの体力で家路へと歩いていた。

一人暮らしをして数年になり愛着も湧いてきたアパートがようやく視界に入り、


 あともう少し


と、数日分の食糧が入った重い袋を持ち直した。

ふと、アパート近くの電信柱にもたれてうなだれる男が目に入った。

その顔色は病院で見たどの人よりも青白く、今にも倒れてしまうのではと熱に朦朧となりながらも心配になった。


「あの・・・大丈夫ですか・・・?」


しゃがみこんで下から覗き込む。


 不思議な色合いの瞳だ。


見上げた男は驚いて電信柱から離れたが、その瞳の色は記憶に残った。

日本人とは少し違う異国めいた顔立ちと色合いに目を奪われつつ、その体の動きに体調が悪いわけではないとわかり、熱のせいで軋む身体に気合を入れて勢いよく立ち上がった。

瞬間、くらり と身体が傾ぐ。


 あ、立ちくらみだ・・・。


倒れる寸前目に映ったのは、慌てて手を伸ばす外国人の男と、掃き掃除をしていた大家さんの驚く顔だった。









 ・・・硬い?でも温かい・・・。


ごろり と寝返りをうち、温かいそれに顔を埋めようとすると焦った声が聞こえてきた。


 うぅん。なんなの・・・。うぅ、顔に、固いのが当たる・・・金属?あーでもこれは・・・


焦った声と共に頭を動かされるが、動かされた時に響く頭の痛みに呻くと、頭を移動させようとする手が止まった。

何なんだろう と目を開けると、目の前にはチャックが。


 あー。そうそう。この金属の感じはチャックよねぇ。そうそう。


そのまま、夢路へと旅立とうとする寸前に、頭の中で待ったがかかった。




 ・・・・・・・なんで、目の前にチャック?




そろぉり と、視線を上にあげると、焦った顔の病人顔の外国人。

思わず、悲鳴をあげてしまったのは、申し訳ないと思いつつもしょうがないと、全力で言いたい。


「す、すみませんでした。」


謝る私と、目を合わせない男。

倒れた私を部屋まで運んでくれ、尚且つ目が覚めるまでついていてくれた恩人に、お礼をさせてくれと頼み、気にするなという男の言い分を押し切り、日本の文化や言葉を教えることを無理矢理約束させた。

妙なところで間違っている日本語は、誰に教わったのか、微妙なセンスで正しく理解しているのかそうでないのかがわからない性癖の発言や性格を疑う発言で、日本語を教えた人の悪意・・・とまではいかないが、多分にからかわれているだろうことが読み取れた。

会って話し、一緒に出かけ、時間があれば食事もする。

そんな関係が続くうちに、『お礼』や『恩人』といった感情や男への呼称が変わっていったのは、年頃の男女なら自然の流れだと自分に言い聞かせる。


「言葉、流暢になってきたのね。」


共にクリスマスを過ごすことになったのも、自然の成り行きだったと思う。

平日は仕事で残業になりそうだからと、クリスマス目前の週末に部屋でささやかな晩餐を食べ終わり、淡い気泡を眺めつつシャンパンを傾ける。


「ねぇ、そういえば欧米ではヤドリギの下にいる女性には、男性はキスをしなければならないんですって。」


酒精に酔い、くすくす と笑いながら男にしなだれる。

最初に出会った頃には、考えられない自分の行動に、心の中で少し苦笑した。


「あそこに飾ってあるリースにも、ヤドリギが使ってあるのよ?」


誘うようにソファーの後ろの壁にかけてあるリースを指す。

後頭部に回る男の細い指に、うっとりと瞳を閉じる。

触れる唇。

交わる視線。

初めて会った時に感じた不思議な色合いの瞳は、いつまでも見ていたくて。


 簡単に唇を許すようにまでなっちゃうなんて、ね。


長くは続かないだろう関係に自嘲しながらも、すがるようにもう一つの言い伝えを思い出す。



”ヤドリギの下でキスをした恋人たちは永遠に結ばれる”



淡い夢を見る心地よさに、身体を預けた。







私も書いてみました、骨枕\(^0^)/(まて)

膝枕って、顔埋めるところ間違えると、すごいところに顔埋めることになるよなぁ って思ってたら、どピンクが一部入りました(てへっ☆)(まてこらごめんなさい)←



これ、編集中のタイトルは『とろこ』でした。

何故、とろこかwww??


それは、3月23日の編集を見ていた方のみが知るってやつですねww

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