甘めの魔法
ほのぼのとした日常をお求めの方へ…くだらない物語を捧げます。
何処にでも在るような商店街の一角に古臭い小さな喫茶店があった。店内に人は居らず立て付けの悪い窓に風が当る音だけが妙に耳に残る…
「…父さん、今日はもう閉めようよ。」
店内の奥から少年がため息を付きながら出てきた。
「何を言ってるんだ!!!店は開けてこその店じゃないか。だいたい、閉めていたらお客さんが入って来れないだろう。」
少年に続くように奥から男性が出てきた。…この店のマスターだろう。少年はカウンターの椅子に座り。マスターは白いカップを洗いながら鼻歌を歌い始めた。
相変わらずの風、淀んだ空。
少年からは自然と二度目のため息が出た。すると、店内の雑音の中に幸福を招く『ベル』の音が響く…マスターが素早く『ベル』に反応すると木製のドアの前に一人の少女が立っていた。
「あのぉ〜開いてますか?」
控えめに尋ねる少女にマスターは笑顔を向けて少年の座る席の近くに案内した。
「いらっしゃいませ。何に致しますか?オススメはキリマンジャロですが…」
苦いですよとマスターが言葉を続ける前に
「それで!!!そのキリマン…」
少女の言葉が途中で途切れるのを優しげに見つめると
「キリマンジャロですね。かしこまりました。」
マスターが気をきかせて注文を受けた。少女は隣に座る少年が気になるようだが当の少年は外をぼーっと眺めていた。優しげに香る『コーヒー』に神妙な雰囲気の店内。
「ところで、知ってますか?」
突然、空気を和ませるようにマスターが話しだした。
「キリマンジャロはアフリカ最高峰のキリマンジャロと言う山で作られたコーヒーなんですよ。確か…キリマンジャロの別名は”タンザニアスノートップ”と言って由来はキリマンジャロの頂きを一年中覆う万年雪からきているんですよ。アフリカの風の囁きと、雨のやさしい匂い…コーヒーの香りにはその作られた場所の穏やかさ、暖かさ、その土地の人々の願いが込められているので魔力があるんですよ。例えば、世界中の人々の心を魅了するようなね。」
マスターは悪戯げに微笑むと
「さぁ出来ました」
と少女の前に香り高いコーヒーを差し出した。少女は目の前のコーヒーに恐る恐る手を伸ばして香りを楽しもうとした。
少年は目の前のマスターの滅多に聞けない話に感心したような眼を向けた。
穏やかな時間、キリマンジャロの芳香。何時の間にか止んでいる風、清清しいまでの青い空。少女はキリマンジャロの意外な甘さに驚き、また大人になったかのような錯覚を覚えた。少年はふっと隣でコーヒーを飲む少女に眼を向ける。
「…閉めないで良かったのかも。」
照れたように少女から眼を離して微かに笑った。それを見ていたマスターは二人を交互に見つめて
「やっぱり、これは魔法だな。」
キリマンジャロの豆の入っている麻袋をそっと撫でて穏やかに笑った。その時の少女は穏やかで普段は見られない大人びた表情だった。
余談としてその時のキリマンジャロは普段より随分と甘く作られていた…。
あ、ありがとうございました。これを読んでいらっしゃると言う事は…『甘めの魔法』を読んでくださったと思って良いのですか?思っちゃいますよ!てか思います。って事で調子に乗って暴露しますが…俺…コーヒー飲んだ事無いんですょ…。だから苦さなんて知るか!!!砂糖を入れてどんだけ甘くなるか知るか!!!ので『コーヒーって砂糖入れただけで甘くなるか!』『この物語変』とか思った方に弁解を求めます!!!不可抗力です!『じゃぁ書くなよ…』とか思った方も居ると思うのでこちらも弁解します!衝動です!!思い付きです!!!てか小説書くのって…こんな感じゃないですか???ぇ!違う!!!俺だけ?