九話
次に駅員がやってき、俺は捕まった。
改札口前の事務室
そして、次々質問がくるが、何もしていないと答えた。
が、返ってきた答えは早く白状しろよと、めんどくさそうな顔だった。
認めてしまうと、俺の人生が潰れてしまうのでとにかく全て否定するようにした。
すると駅員が、警察に連絡し署まで連れていくように連絡した。
俺は終わったと思ったと同時に悔しいとも思った。
(どうして、あんな女のデタレメで俺の人生が潰れるんだ!クソッ!!)
嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!
「もう少しで、警察の方がくる。おとなしく待っていなさい。」
俺は考えた、ここで話さないと駄目と・・・
「駅員さん、僕はどうして痴漢になったのですか?」
目上の人だから敬語で話す
「君が痴漢したからじゃないか。」
「違います。僕はしてません。そもそも、あの女はどこですか?」
「あの女?君が痴漢した子?」
「だからしてませんって・・・あの女はどこに行ったんですか?」
「あの子は、君が捕まった時かな?周りで取り押さえられた時に一度声をかけたんだよ。けどどっか行っちゃてさ・・・」
無能が・・・
「けど、おかしくないですか?仮に僕を加害者にするとしてもあの子は今この場にいなくてはいけないじゃないですか?」
「うん、そうだね。殆どの人はそうするけどいないね・・・」
「あの子は、触られたのが嫌で僕を加害者に仕立てあげたんじゃない。ただの時間稼ぎだったのです。」
すると、駅員の顔が少し和らいだ。
「・・・君が言っていることが本当ならそれでいい。警察も不要だ。」
「え?」
「今回のことは何も無かったということで。」
「どうして?」
「知りたいのか?・・・ここに被害者と加害者がいたら君の立場は危ういがここには君しかいない。よって事件としてなっていないんだ。駅員としての立場は報告書を書かないといけないから面倒だし、人としての立場は可哀想だからだ。だから今回は早とちりということで終わろう。警察の方はごまかしておくよ。それでいい?」
「はい・・・」
「それとアドバイス。電車に乗っている時は壁際にいるといいよ。」
「それは、女性に対するアドバイス・・・」
「気にしないで。君よく見ると可愛い顔だし」
「・・・・・・・・・・」
「帰りは気をつけてね。」
心底今日は疲れると心の内から感じた。