3. 不思議な骨董品
しかし、すでに無くなった品物が置かれている不可解な状況に、和也は近くにいた猫娘に聞いてみた。
「これは、僕が前に使って、もう捨てられた物だけど、どうしてここにあるのですか! 」
猫娘は、疑うのも無理もないといった表情で
「お客さんは皆、驚くのです。すみませんが、私はアルバイトなので、品物の入手についてはよくわからないのです。私はお客さんがほしい品物をお売りし、お金を受け取るだけなのです」
「それなら、責任者の人は」
「それが………今は連絡つかないのですニャ」
申し訳なさそうに猫娘は答えた。
「そんなのあり! いったい主催者は誰なの」
「えっと。ちょっとクセのある女神様とでもいいますか……」
「女神……なにを、わけのわからないことを。もう、いいよ!」
聞いても埒が明かず、他の店員といえば門に立っていた豚声しか出さない男だけ。工場も今日は完全休業で、なぜか守衛もいない。そこで、スマホで「なつかしの骨董市」と検索を試みたが。
「圏外………」
ここは街の中の工場、圏外のはずがない………
腑に落ちないが、小学生ほどの少女を問い詰めるもの気が引けるので、しかたなく他の品物を見て回ることにした。
◇
品物はどれもゴミのようなもので、以前に行ったリサイクルショップでは数十円程度にしか、ならないようなものばかりだ。
「でも、懐かしい品物だなぁ。何か買って帰りたいな」
そう考えて、品物を手にとって眺めているが、品物には番号が書かれている札やテープが貼られているだけで、値段が書いていない。
そこで、猫娘に値段を聞いてみた。
「すみません、値段が書いてないけど。ちなみに、このプラレールはいくらですか」
少女は腰に下げている大福帳を取りだすと、番号と照らし合わせ
「への425番。ええと……七十万円ですニャ」
「………七十万円! 」
和也は聞き違いかと思った
「なにかの間違いじゃないの。桁が違うか、番号が違うとか」
猫娘は再度大福帳をチェックし
「七十万円で間違いありませんニャ」
「だって、これ元の値段はせいぜいニ千円ほどだよ、汚れて壊れているし、プレミアがつくような希少な物でもないよ」
背の低い猫娘は和也を仰ぎ見るように、帳面を見せて
「この帳面にはそうなっています。私は、この値段で売るように言われておりますニャ」
和也が見ると、帳面には確かに七十万円と書かれている。
さらに、その下の備考欄に『子供が踏んで壊したものを、父が修理』と、修理のことまで書かれていた。
カズヤは目を疑う。
「確かに、七十万円と書かれている、それに、お父さんが修理したことまで……どうして」
猫娘に聞いても「品物が入荷したとき、納品書に品物の状況がたまに書かれているものがあり、それを写しただけ、とのことで、外部とも連絡できない状況なので埒が明かない。
和也は、これ以上問い詰めるのはあきらめ、さっきの超合金ロボや学習机の値段も聞いてみると
「超合金ロボは百十万円、学習机は三百五十万円ですニャ」
あいた口がふさがらなかった。
足元を見ているにしても、ここまで突拍子もない金額は、もはや売る気がない、としか言えない。
ちなみに和也は今、五千円ほど持っている。
これは、今度買おうと思っているゲームソフトのために、少ない小遣いを一年かけてためたもので、百円程度までのものがあれば買おうかと、一応持ってきたのだったが
「こんなのじゃ! なにも買えないよ。持ち合わせもないし。他の客はどうやって買っているの、カードやローンとかで払うの」
「カードや電子マネーは対応していないのです。ローンもだめで、一括現金引払いのみ、となっておりますニャ」
「急に案内がきて、こんな値段、誰も買うことできないよ」
和也が文句を言っていると、さきほどから店にいる老夫婦の、おじいさんの方が、少し足を引きずりながら寄ってきた。




