2.神々の反乱
「どうしたのウズメちゃん。そんなに慌てて」
「アマテラス様。今回出席するG7の神々が、お怒りになって、大群でこちらに攻め込んできているようなのです! 」
「怒る、攻め込む、どいうこと? 」
わけのわからない事態です。
「はい、普段は数人しか来ないのですが、大群で押し寄せてきているのです。特に、ギリシャ神話のゼウスを筆頭に、全世界の神々を従え。さらに、悪魔や、閻魔大王まで結託したようです」
「いったい、どうしたというの」
「わかりません。相手は聖剣エクスカリバーに、聖槍ロンギヌスの槍までも持ち出しています」
息をのんだアマテラスは、落ち着こうと深呼吸して
「なぜ神が結託して、極東の島国の日本を攻めに来るのです。これまでの会議で、宗教観の違いがあまりにもあリ過ぎて、一度も意見がまとまったことがないのに、その神々が一致団結するなんて、考えられません」
アマテラスは納得いかないようです。
すると、横で聞いていた猫娘が
「組織や、団体、果ては国どうしが結託するのに必要なものは何だと思います」
アマテラスは、ピンとこないようなので、ねこ娘は
「共通の敵です。それと………」ねこ娘は何かおもいついたように
「ちなみに、相手の神や、神の使いの名を教えてくださいニャ」
「えっと、ゼウスに、閻魔大王に………」
列挙された名前を聞いた後、猫娘は納得したようにうなずくと
「アマテラス様、気づきませんか」
「なにを」
「来るのは、すべて男神様で、女神様がいませんニャ! 」
「………でも、どうして、怒って攻め込んでくるのです」
猫娘はもしやと思い
「アマテラス様、各国の神様に出した案内状を見せてくださいニャ」
「実は、以前送ったものと、直前に少し変更した箇所があるの」
そう言ってアマテラスは二通の案内状を渡し、それを読んだ猫娘の表情がこわばります。
「アマテラス様、会議のあと宴会を催すのはよいとして、最後のこれは何ですニャ」
「宴会の場所だけど」
「その、宴会の場所ですが、直前の2通目の案内状で変更されていますニャ」
アマテラスは、何気なしに
「最初は天岩戸の前でする予定だったけど。都合で出雲大社に変更したの」
「そこですよ! 天岩戸で宴会となれば、当然、アメノウズメ様がでて、そこで踊った踊りが再現されると思うのニャ」
皆が一瞬沈黙のあと
「ええー! 」
アメノウズメが叫ぶと、わなわなと震えだします。アマテラスは
「男神は、ウズメちゃんが天岩戸で踊った裸おどりを見るために」
猫娘は少し考えたあと
「裏をとりたいです。少し時間をくださいニャ」
そう言って、猫娘はどこかに去っていきました。
アマテラスとアメノウズメは不安そうに見送るだけです。
半日ほどして、猫娘が戻ってくると。
「ヤタガラスに情報を探らせてきましたニャ」
アマテラスとアメノウズメ、それに八百万の神々も猫娘の報告を、固唾をのんで聞き入ります。
「やはり、間違いありません! しかも、男神様は、サザエさんで、マスオさんとアナゴさんが奥さんの目を盗んで飲みに行くときにするような、口裏合わせまでしていたようです。それが直前で変更となって………そこまでして、やってきたのに。アメノウズメ様の踊りはないとなっては、怒るのも無理はありませんニャ」
「怒るのも無理はないって、もはや情けない」嘆かわしい表情のアマテラスは
「最近のG7は出席率が悪いので、今回は宴席を設けたのだけど」
「これでは、勘違いするのも無理ないです。アメノウズメ様の、裸の踊りは結構有名です、世界的にも公然と裸踊りをした女神様は、そうそういませんニャ」
アメノウズメは赤面して言葉がありません。
「だとしたら、ウズメちゃんに、踊ってもらうしか……」
アマテラスが言うとアメノウズメは
「ええー! いやです! 絶対の絶対にいやです! 」
「お願いウズメちゃん」
「天岩戸の時だって、叔父さんの神様の目がいやらしくて、死ぬほど恥ずかしかったのです。しかも、今ならそんな姿を写メに取られて、SNSで全世界にばらまくぞ、って言われ。それの消去を条件にもう一回裸を撮らせろって言われて、深みにはまるのが目に見えてます」
アメノウズメは半泣きで訴えます。アマテラスは考えたあと意を決し
「……それなら私も踊ります! 」
一瞬、周りにいた八百万の神々から歓声があがりますが、猫娘が血相をかえ
「なにを言われます、絶対だめですニャ! かりにも総氏神であらせられる、アマテラス様がそんな、はしたないことは」
さすがに、止められたアマテラスはしばらく逡巡したあと
「わかりました、こうなったらウズメちゃんを守るため徹底抗戦しかありません。神々の戦争、ハルマゲドンです。こんなことで、最終戦争が起こるとは、正直不徳のいたすところ、というより、情けないですが……」沈んだ口調で言うと、周りを見渡し
「ところでエクスカリバーやロンギヌスの槍に対抗できる武器はあるのですか」
そばにいた神の一人が
「対抗できる武器は、スサノオノミコト様がラスボスのヤマタノオロチを倒したときに取得したレアアイテム、草薙の剣くらいですが……」
それを聞いた、アメノウズメが
「たしか草薙の剣は、勾玉、鏡と一緒にアマテラス様の命で、人間に貸出したのでは」
「そうです、今さら返してくれとも言えないし、そもそも草薙の剣だけでは勝ちめはない」
なす術のないアマテラスや八百万の神々。
消沈する神々を見たアメノウズメはうつむきながら
「わかりました。私、やります……私一人が犠牲になればよいのです」
アメノウズメの瞳に涙が浮かび上がります。
アマテラスはそんなウズメに寄り添い
「あなた一人だけを犠牲にはできません」意を決したアマテラスはこぶしを握り
「娘一人守れない神など、神とはいえません。ここは大和魂をみせるときです! やってやりましょう高天ケ原決戦! 八百万の神々もよろしいですね! 」
アマテラスの激に八百万の神々も呼応し
「おー! ウズメちゃんを他の神に凌辱させるわけにはいかない! 」
「アマテラス様、我々は身を挺して、ウズメちゃんや高天ケ原のを守りまするぞ! 」
玉砕覚悟の悲壮な決意で、歓声があがります。
「……皆さま」
アマテラスとアメノウズメは涙がとまりません。
そこに、先程から考え込んでいた猫娘は一計が浮かんだようです。
「アマテラス様。少数劣勢の部隊が、圧倒的多数の敵を相手にする戦術がありますニャ」
「ほんとうに、そんな策があるのですか」
アマテラスと、アメノウズメは、すがるように猫娘を見つめます。
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