1. 突然の広告
不思議な骨董市の短編集の始まりです。
途中飛ばしでも結構です、しばしお付き合いくださいませm(_ _)m
中学3年生、和也の夏休み。
ある日の夕方、ポストに一通の封書が入っていた。
差出人の名前はない。切手も貼っていない。つまり、誰かが直接入れたということだ。
「……また、なにかの勧誘か宣伝だろう」
封を開けてみると、思った通り手書きの広告が一枚。
『なつかしの骨董市、開催! 明日朝5時~6時、杉下工場内体育館にて。見るだけでも結構ですニャ! 』
赤マジックで勢いだけはある大きな文字。最後に猫の肉球のマークがついている、少しふざけた文言だつた。
(明日の朝……ずいぶん急だな。それに、『なつかしの骨董市』なんて、子供がつけたようなネーミングだし。だいたい、骨董品なんて興味ないし。朝5時から6時なんて、絶対に怪しい)
和也は呆れながら広告をゴミ箱に放り込むと、台所に置いてある夕食を自分の部屋に持って来て、一人で食べ始める。
◇
数日前、母と進路のことで揉めて言い争いになってからは、食事を自分の部屋で食べている。
自分の部屋といっても、二部屋しかない小さなアパートなので、そのうち母親が帰ってくると、隣で洗いものなどをしている音が聞こえてくる。
和也は小学生の頃に父を亡くし、母と二人暮らし。
生活は苦しく、勉強も苦手で公立高校への進学が難しく、補助をもらっても私立の高校に行くのは経済的に厳しいと、母に言われたのだった。
「あいつも母子家庭だけど、私立の高校に行くみたいだし。どうして、ぼくはダメなんだよ! 」
生前の父親の借金もあるようで、食べることで精一杯なことはわかっている。
そんな自分の境遇が呪わしいが、頑張れば公立の高校にも行けるだろう。しかし、小学生のとき不登校になり塾に行く費用もないため、一度つまずいた勉強を挽回することができず、学力は落ちる一方。そんな苛立ちを母にあててしまった。
食事を終えた和也は、机の上の古びたゲーム機を手に取った。
角が欠けているが、まだ動く。小学生のとき、母が買ってくれたものだ。
当時、「最新機種じゃないのかよ!」と怒って投げたことを思い出し、少し胸が痛んだ。
「……あのとき、マジで最低だったな」
コンプリート済みのゲームを、また最初から始める。
やり込み要素なんてもうないけど、他にすることもない。
ゲームソフトは古いものしかないが、この一年間辛抱して小遣いをためた五千円で、新しいゲームソフトを買おうと思っているのが唯一の楽しみだ。
一応スマホは持っているが、SNSの友達はなく、学校からの無意味な連絡が入るだけだ。課金ゲームなどはさせてもらえず、つまらない無料アプリと、この古いゲーム機で時間を潰している。
そう、時間の浪費とは、わかっている………でも、ほかに何も、する気が出ない。
◇
夜。
寝ようとしても、なぜかゴミ箱の中の広告が頭から離れない。
(……骨董市。なんか気になる。てか、朝5時って誰が行くんだよ。だいたい貧乏な家なのに、しかも母でなく中学生の僕に骨董品の案内なんて……なにかの間違いだろう)
でも、気になる……
モヤモヤはふくらむ一方だ
(どうせ、することないし。”見るだけでも”、って書いてあるから、行ってみるか)
和也は目覚まし時計を4時半にセットした。
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