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ハーレム特区新松本

 松本についた。


「ごめん。寝ていた。運転代われなかったよ」

「疲れていたんだから仕方ないよ。俺、これでも、自動車の部品製造会社の社員だぜ」


「それよりも、これ・・見て、住所あっているよな」


 豪邸だ。プールまで付いている。

 荷物は、引っ越し業者さんが、やってくれていた。

 何か、嫌な予感がする。


「ねえ。健士様、今夜、どうかな」

「・・・うん。三人で楽しみ・・たい」


「様?」

「いえ、その、いつも、よくしてもらうから、つい、神様、健士様だよ」


「俺の方こそ、二人によくしてもらっているよ」


 引っ越しの日の夜、三人で燃え上がった。


「避妊は無しだよ」

「・・・私も・・大丈夫だ・・よ」


「分かった」


 二人は、仕事をしている。落ち着いたら、子供をと考えていた。

 この世界、避妊具はない。出生率をあげるためだ。

 いつもは、外だ。方法は、これ以上は言えないな。


 今夜は燃えた。有給は取ってある。

 一週間毎晩、連続で続くことになる。



 街は、やはり、女性だらけだが、皆、ミニスカートだ。スーパーの店員も若い女性だ。

 しかも、高級品が、安く売られている。


 客は女性ばかりだ。


 ビシッ!


 店員、女性客は、俺を見ると、気をつけの姿勢をする。

「あ、どうも」


 会釈をすることしか出来ないな。


 具材を買い。

 駐車場に行く。

 二人は、スーパーに入らなかった。


「何故?」と聞いても、

「エへへへ、東京レディースの選手だったからサインを求められても面倒かな」

「人ごみ。苦手・・・だ・・よ」

「そうだよね。俺に任せて」



 ☆


 有給を消化し。初出勤だ。


「安子さん。行ってきます」

「・・・・ねえ。キス」

「勿論!」


「買い物は任せてよ。何買ってこようか?」


「さすがに、大丈夫・・大丈夫だよ」


 今日の安子さんは甘える。これは飽きない。


 瑞穂さんは、朝からいない。

 研修先の病院は少し遠いようだ。


 でも、通いだ。

 電車とバスだからキツいよな。


 車で送ると言ったが、珍しく頑なに拒否された。

 行き先も、時間も違うからと。


 そうか。免許取ってもらって、セカンドカーも考えなければならない。


 いつも、三人で出かけるので、軽ワゴンタイプだ。

 節約だ。

 子供が出来たら・・・と考えていた。




 指定された住所に着いたが、おかしい。出向先は政府の機関のハズだ。

 立派な学校に出勤した。職員室だ。全員、俺に礼をする。

 様付けだ。



「不服申し立て、通りました。7年前の男性権停止の処置が違法となりました。よって、政府は補償いたします。上杉様には、学校で授業を受けてもらいます」


 校長先生が出してくれていたんだ。



「今更、高校生・・瑞穂さん。妻から、教わったから大丈夫ですよ」

「仕事でございます。高卒の資格を取って頂きます」

「制服は、勘弁して下さい」



 と、その日のうちに、授業に入った。私服でOKになった。

 やはり、皆、女子生徒だ。

 制服もおかしい。ミニスカートだ。

 校則違反ではないのか?



「上杉様ぁ、私、綾小路咲子でございます。17歳でございます」

 有名な財閥だ。


「どうも」


「僕、水道橋博子だよ。15歳」


「よろしく」


 これも、有名な学者の娘さんか?


 俺は、一年生の中途で退学した。1~3年生合同のクラスに配置された。

 何でも、実験的な取り組みらしい。

 1年で卒業資格を取る強行軍だ。だが、瑞穂さんに教わっていたのである程度は何とかなる。



 ・・・・



 初日は、オリエーテーションだ。午前中で終わり。


 豪邸に帰ったら、切り目の女性を先頭に、ミニスカートのメイド服を来た女性達がいた。


「お帰りなさいませ。私、藤川清子、27歳でございます。上杉様のアシスタントをさせて頂きます」


「え、いらない・・というか。安子さんと、瑞穂さんは?」


「ゴホン、説明申し上げます」



 ・・・俺は、特定男性に、指定された。

 女性に優しい。性行為を嫌がらない。

 そして、俺が提供している精子は、脅威の男子出生率51パーセント、海外からも輸入の打診が来ている?


「そんなことはいいから、安子さんと、瑞穂さんは?」


「二人の出身は、施設です。上杉様には相応しくないと自ら身を引きました。この地には、血筋の良い全国の上流階級の子女が集められました。これが離婚届です。サインをして下さい」



 ええ、スーパーや街の施設に入るためには、資格証が必要?

 二人には発行されてなかった。

 引っ越してから7日間だけ、同伴を許された。


 だから、スーパーに入らなかったのか。



 俺は、電話をしたが、


 プープー


 つながらない。


「安子ぉ、瑞穂ぉ―――――」


 俺は、絶叫しながら、屋敷中を探した。

 どこにも、いない。



「お気がすみましたか?これから、この街は、ハーレムとなります。学校、街角、いかなるところでも、性交が可能です。よりよき性生活のサポートをさせて頂きます」



 確かに、二人とは、義務で婚約したけど、7年間も助けあったのだ。情、いや、愛情がある。もはや、思考の一部、体の一部だ。


「嫌だ。この特定を外してくれ!」

「それは、無理でございます。ライオンのオスが生まれながら、ハーレムの王を目指すように上杉様は、選ばれたのです」



 ・・・・・



 俺は、抗議の意思を表すために、登校拒否をした。


「お食事でございます」


「ありがとう。でも、いらない。二人に会えないのなら、俺は、餓死を選ぶ。もったいないから、君が食べな」



 俺は、餓死を選んだ。それほど、心がおかしくなったのかもしれない。




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