ある男性の末路
「ヒィ、何故、俺が、ゴミの回収!」
「インフラだ!今まで、女性がやっていた!」
・・・俺は武田信治、権利を取り上げられた。保護費支給停止だ。形だけ同居していた女からも見放され、連行され、職業を紹介された。
毎日、8時間働いて、
「ヒィ、手取り16万円、俺、何かしたかよ!」
「何にもしないから、こうなった」
「ヒヒヒヒヒヒ、パンツ何色?」
「いやーーー」
同僚達から、下卑な視線を向けられる。
東京レディースの安子に、学生時代、求婚されるくらい。俺はモテていた。
上杉なんて、さえない奴と結婚したと聞いたが、少し、優しい言葉をかければ、イチコロだろう。
ピロロ~
『安子、結婚してやる』
『誰?私は人妻だよ。安子呼びはやめてくれない?』
『武田だよ。学生時代、求婚したよな。あのときは、ごめんな。つい、嬉しくて気が動転した』
『ああ、武田君、感謝しているよ』
お、脈ありか?
『おかげで、本物のパートナーと出会えた。もうかけないで、着信拒否にするよ』
プツン!
何で!きられた。
他にも求婚された相手に電話をしたが、どれも、芳しくない。
そうだ。仕事をやめて、ママ活で暮らそう。食事をして、10万とかもらっていた。
登録したが、相場が下がっている。しかも、露骨に性行為を求める書き込みばかり来た。
「仕事、やめたいです」
「はあ?無理、男は管理下に置かれる」
「暮らしていけません。もっと、良い仕事に就きたいです」
「大学卒業後、特にキャリアもなく、ママ活で暮らしていた男に需要はない」
「しかし、寿退職なら認めるぞ。最低二人な」
「誰でも良いから結婚してぇー!」
・・・・
結婚をした。同僚の二人だ。収入は大特、中型を持っているから、男性である俺よりも高い。
なのに、ケチだ。男を着飾らせるつもりは毛頭ないジャメスだ。
「おめ。食事、コンビニ弁当ってどういうことよ」
「料理、むずくて」
「いいか。おめが、パートでもしていれば、冷凍やお惣菜でもいい。だが、四六時中スマホをイジっているだけじゃねえか?金がかかるから、作れよ」
「そうだ。スマホで料理のレシピ探せ。何だ。この父友のランチ代2000円って、私ら、酒代も我慢しているだぜ」
「もう、今月分使い切りやがって、赤字じゃねえか。これからは、一日二千円だけ渡す。それで家事をやれ」
「そんな」
「家賃、光熱費は、私らの口座から引き落としだから、それ以上、必要な時は、言え。考えてやる」
・・・ヒドイ、男性の家事は、年収1100万円に相当する重労働だ。それを知らないのか?俺は、わずかな小遣いで働かされている。
地獄だ。
「それよりも、今夜、どうでい」
「そろそろ、覚悟決めたか?良い勃起薬がでたぜ」
「いや、やー!」
「チィ、仕方ない。これだけは、無理矢理はダメだ」
「あんまし、私らを舐めるな。離婚するぞ」
あんまりだ。性行為は強要されないけど、俺を飯炊きバイブにするつもりだ。
俺は、数少ない父友と相談した。
「政府に抗議しよう」
「でもぉ、どうやって」
「ハンガーストライキよ」
「向こうにとっても、男は貴重な資源よ」
・・・・・
゛ニュースです。国会議事堂前で、男性によるハンガーストライキが起きました。しかし、一日で、水を飲み。警備員に食事を求めました。
何のためにハンガーストライキをしたか、疑念の声が上がっています゛
「うわ。これ、信治が映っている」
「あいつ、班長、迎えに行きます。早退させて下さい」
・・・・
「グスン、グスン、グスン」
「おい、信治、水持って来てやったぞ」
「しかたねえな。そんなに嫌なら離婚するか?」
「ウワ、ウワワワ~~ン、社会が悪い。女が悪い。悔しくて、背中が震える。ワワワワワーーー」
「そうだ。女が悪い」
「頑張れ」
「気が済んだら、帰って来いよ」
全国各地で男によるデモや、ハンガーストライキが行われた。しかし、鎮圧すらされなかった。機動隊が、交通整理をするくらいだ。
「藤川は、ヒラーだ!」
「そうだ。そうだ」
この世界の独裁者の名前を言うが、それでも逮捕すらされない。
諸外国なら、男性でも発砲事案である。
☆☆☆首相官邸
「総理、やはり、男性から、猛反発が起きています」
「やらせておけ」
・・・もう、三期目だ。まだ、首相の座を降りることは出来ない。
「首相、こんなクラウドファンディングの募集が・・」
゛男性だけの理想の街を作りましょう!゛
「好きにやらせておけ。インフラはどうするのか?出来たら、それは、それで、褒めてやる。認可を出してやる」
「なら、準備をしましょうか?」
「やめておけ。無駄になる」
・・・・
しかし、過激派もいた。
武田は、家に帰らずに、日本男性共同党の残党に合流し、松本に向かう。
「街を作るのではなく、奪うのだ。同士諸君、情報から、松本は、ハーレム王国になるそうだ」
「そうだ。俺たちが、ハーレムの王になる!」
「少し、やらせてやれば王になれるだろう。我慢だ」
「また、女に傅かれる世界に戻すぞ!」
・・・・
「はあ、はあ、もう、松本についたかな」
「ここ!ここだよ!」
夜、先頭の男が、ライトを回すと。
ガチャ!
サーチライトが武田一行を照らす。
自衛軍の待ち伏せだ。
先頭の男はスパイだった。
「ヒヒヒ、ば~か。まだ、東京も出ていないよ!俺はトランス女性だ。スパイだよ。馬鹿だな。身も心も女性だ。だから、クーデター前から、義務を果たしてきた」
「ヒィ、そんな!裏切り者!」
「藤川大佐、一人、もらってもいいのでしょう?」
「一人、許可する。選別をせよ。貴殿、体は?」
「工事済みです。人工の女性器を、つけております」
「そうか、選べ!」
「武田君が、いいな」
「ヒィ、俺、好きなのは、少年だよ!女は、トランスでも嫌だー」
ビリビリビリ!
「ギャアア!」
武田は、スタンガンで気絶させられた。
トランス女性は、軽々武田を担ぐ。
「残りは、三流の泡の国だ」
「薬で強制勃起だぞ」
「「「ヒィ・・・」」」
・・・私は藤川大佐、やつらの武器を押収した。
なんだ。防水スプレーに、傘?食料は、お菓子だと、
「幼稚な・・・男は特別で、それだけで、保護されると勘違いしている」
「実現不可能な計画です。途中で、野たれ死んでいたでしょう。無駄に行動力だけはある」
「戒厳令で処置をしろ。後は任す。私は、松本に戻る。ハーレムの王に謁見しなければな」
「「「了解です」」」
「松本警備担当、藤川大佐殿か?!うらやましいです」
・・・特定男性、上杉様とは、どんな男だろう。奴らのようでなければ良いが・・・
期待に胸を含まらせ。私は、松本に向かった。




