政府によるクーデター
あれから、7年、瑞穂は、医学部を卒業し、一発で、試験を通った。
今は、研修医だ。
「「おめでとう」」
「ヒヒヒヒ、うれしい・・・かな」
安子は、まだ、頑張っている。年俸3000万円と言うところだ。
「あのね。私、セカンドキャリアは、主婦と言うものになりたい・・・」
「いいと思うよ。でも、まだ、先でしょう。安子さん」
「子供が早く欲しい」
「それは、安子さんのタイミングでいいよ」
「それは、早くなるかも・・」
「なら、今度は俺が支えるよ。室長に出世したんだ。安子さんの貯金、いっぱいあるし」
安子さん。絶好調に見えるけど、体の事は、本人にしか分からないしな。
俺は、まだ、あの会社にいる。一応、相談室室長だ。年収も800万円、もらいすぎだと思う。
だが、会社で転勤の内示をもらった。
「え、長野県松本に、転勤・・・出向?」
「・・・ええ、申し訳ないのですが、政府機関に出向をお願いします」
「今のところ・・・家族と相談しないと・・・何とも」
・・・・・
「えへへへ、良い機会だから、引退するよ。実は、肘に爆弾を抱えていたんだよ」
「うん。私も・・・・長野の病院で、研修を受けろと、辞令が出た・・よ」
「そう・・・じゃあ、皆で、安子さんの引退試合に見に行こうよ」
‘’緊急ニュースです。男性保護法が改正されました。優れた男性を指定し、強制配偶者枠を2名から4名に広げます。この枠は徐々に広げていきます。
この改正に対して、日本男性共同党は、猛反発しています゛
『これは、ハーレム法だ。性搾取だ!男性を、ハーレムに押し込める法だ!』
『総理大臣藤山冨士子君』
『優れた男性と申し上げています。残念ながら、日本男性共同党の議員・党員は、選考除外です』
『そういったことを言っているのではない。男性への性搾取だ!』
・・・・・
「あれ、緊急ニュースだって、優れた特定男性って、読モやっている鷺みたいな奴かな。俺には関係ないね」
「グスン、グスン」
「ウウウウウ・・」
「あれ、どうしたの?二人とも・・・」
「いいえ。引退試合と思ったら、涙でたよ」
「安子、おつかれ・・・だよ」
「そう・・」
その後、野球観戦に行き。
引っ越しをした。
「家は、出向先が用意してくれるんだって、俺が運転するよ」
「じゃあ、疲れたら、私が交代するよ」
「私は・・・無理・・・だよ。免許取っていない」
「それは、仕方ないよ」
☆☆☆
☆首相官邸
「首相、自衛軍出動準備完了ですわ!」
「幕僚長・・・計画通りだ。くれぐれも、発砲は最小限だ」
「はい!」
「男は大事な資源だ」
・・・長いこと、男性有利な社会だった。
我ら、女性は、少ない男性を大事にしてきた。
しかし、男は増長し始めた。権利を主張し、義務を果たさなくなった。
もう、財政がもたないのだよ。人口8000万人を切った。
女性に優しい男性を集め。ハーレムを形成する。
そのための安全な精力剤の開発は、臨床試験まで進んだ。
この日、各地で、男性狩りが行われた。
☆日本男性共同党
ここにも、自衛軍に守られながら、官僚が布告を宣言する。
「日本男性共同党は、破壊防止活動法に基づき。解散を命令する!全員、京浜の工業地帯に職を用意する!」
「ヒィ、クーデターよ!」
「もう、対案を出さずに、反対ばかりする党を養う余裕はない!」
☆男性保護委員会本部
「恣意的に、特定男性を迫害してきた!」
「それは、少数者の権利を守る為よ!」
「もう、女性に協力的じゃない組織を養う余裕はない!」
上杉が通っていた高校にも、自衛軍がやってきた。この世界の国防は大多数の女性が担う。
「おい、見ろよ。自衛軍が来たぞ」
「うわ。汗臭そう」
「何だ。トラックがいっぱい」
ダダダダダダダ!
ガラン!
「選抜落ち男性は、拘束する!」
「布告!内閣府令128!選抜落ち男性は、居住及び身体の自由を剥奪する!」
「全員手をあげ。床に伏せろ!」
「ええ、これ何のドラマ?・・・グワ!」
バン!
「「「ヒィ」」」
「連行しろ!」
「お前ら、精力剤の実験台になる。その後、年収200から300くらいの同志女に下げ渡しになるぞ」
「「「いやーー!」」」
男性学の教師、谷は・・・
「お前は、強制労働だ。上杉様を男性保護委員会に告発したと調べはついている」
「いやーーーー!」
バン!
ドタン!
「イタい、イタい、ヒドイ」
「おっと、抵抗したから、足を撃っちまった」
「「「アハハハハハハ」」」
また、読モをからモデルになった鷺は、いつも通り。出版会社から指定された時間よりも大幅に遅れて来た。
そこには、自衛軍が待ち構えていた。
「あれ、撮影でしょ。ノロノロすんな・・・あれ、自衛軍?」
「黙れ、選抜落ち!」
「お前は、国営の泡の国で、女様にご奉仕だ!」
「いや、いやだーーーー」
新日本国各地で、捕獲が行われた。
女性と同居している男性は、女性の意思で、連行されるかどうか判断される。
「和子!美優、早月、頼む・・・断ってくれーーー」
「・・・仕事をしない。家事もなおざり。パチンコ三昧、セックスするにもお小遣いを要求する・・もう、疲れたわ。若い子が欲しい」
「私たちの誕生日はいつ?一人でも答えられたら考えてあげるわ」
「男は馬鹿だから、暗記力ない。これから覚えて、祝ってあげるよ」
「「「引き取りをお願いします」」」
「そんなー」
「連行するぞ」
・・・・・・
一方、上杉は、
「あれ、自衛軍の車が、こんなに沢山・・検問だ」
ビシ!
「失礼、戒厳令布告中です。公務、仕事以外の外出は禁止されています。何か、移動する根拠になるものはありますか?」
「いつも、お疲れ様です。これ、会社の辞令書ですが、どうですか?」
「・・・結構です。誤射があるかもしれません。先導車をつけます」
「え、まあ、お願いします」
・・・初めて、聞いた。男性様から、『お疲れ様』と『お願いします』と、それに、女性が寝て、男性が運転している・・これが、特定男性か!
名もなき女性士官は涙ぐんだ。
政府のクーデターの決行日、上杉は松本に向かった。




