表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

男の敵は、男って、誰かが言った

 男子寮は、女子禁制なんてことはない。むしろ、奨励されている気配がする。一室で、風呂、キッチンとそろっている。ベットだけはダブルだ。


 今日は、二人の進路が決まったので、お祝いをする。俺が手料理を振る舞うのだ。

 スーパーで買い出しをした。普段は、出前か。コンビニ弁当だ。

 と言っても、前世もあまり料理はしなかった。


「カレーでいいですか?」


「もちろんだよ」

「はあ、はあ、男性様の手料理・・・・だ・・よ」


 スーパーは女性ばかりだ。皆、奇異な目で見る。


 瑞穂先輩から教えてもらった。

 男性様が作ったカレーが、1万円で提供されたことがあったそうだ。

 レトルトだ。

 この感覚は分からないな。



 寮に戻ると。


「あれ、鍵が入らない。鍵穴に・・・接着剤!」


 クスッと声が聞こえた。人の気配もある。見られているな。



「男性様って、体力はないけど、陰湿だよ・・・」


 この世界は、残酷だ。安子、瑞穂の両先輩は、精子バンクで提供された種で生まれた。父親は知らない。

 母親はまるで、ガチャの外れのように、施設に預けた。

 生活費は、現物支給だ。こんな子が多くいると聞く。


 俺は、早くに母親が亡くなり。国の施設に預けられた。


 しかし、中学から、登校拒否になり。引きこもりになったのだ。



「とりあえず。女子寮で作りますか?」

「女子寮は、危険だよ。男が来たら、レイプされるよ」

「皆・・・抑えが効かない・・よ」


 管理人さんに言うが、やはり、男のやることに文句は言えないらしい。


「ごめんなさいね」


「上杉君、アパートを借りなよ。お金なら、契約金を担保に借りられるよ」

「私、少し、バイトの金・・・ある・・よ」


「大丈夫だよ。俺、男性保護費の貯金、少しあるよ。安いところを借りたら、十分暮らしていける」


「違う。高いところにしなさい」

「そうだ・・よ。セキュリティが大事・・だよ」


 具材は、先輩達に引き取ってもらい。

 その日から、ホテルに住み。


 セキュリティのしっかりしたアパートを探した。

 11万円では生活が苦しい。

 家賃10万円以上だ。


 2階建てで、棟が独立したアパートタイプのものを借りることが出来た。

 男性優遇だ。


 住宅費は政府の保護下、いや監視下から離れるから、支給されない。



「じゃあ、俺もバイトする」


 テレビで見た。男性が売り子をしているケーキ屋さんに女性が長蛇の列を作っていた。時給も2000円以上だ。


「ダメ」

「ダメ・・だ・・よ。勉強をす・・る」


「上杉君は、大学に行って、そこで何かを見つけるの」

「そう・・・だよ。共学の大学・・心配だけど・・」



 お金は何とかしてくれるらしい。


「私は、上杉君に、家にいろとか言わないよ」

「推薦決まったから・・バイト・・もっと・・出来る」


「安子先輩、瑞穂先輩・・・」


「三人で助け合う。16歳まで、もうすぐだよ」


 三人で抱き合った。


 俺が結婚出来る年齢になったら、20万円支給される。

 後、もう少しだ。


 何だか。愛とお金の問題が、一緒くたになった感じだが、確かに絆が生まれたのを実感した。


 学校では、教科書は常に持ち歩きだ。

 移動教室でも、鞄に入れて、持ち歩く。

 トイレに行くのも油断でいない。

 なるべく水分は取らない。



「せんせーい。上杉の奴、鞄を持ち歩いている」


「・・・なら、貴方も、教科書を持ち歩きなさい」


「「「ひいき!ひいき!」」」


 あれ、いつも、及び腰な先生が、守ってくれるようになった。


 しかし、机に落書きをされるようになった。鷺先輩、辺りだろう。


 ブスのくせに生意気だ。

 とか、

 SNSでも、〇〇高校の上杉健士、性売買を行っている。連絡番号・・・


 とか、正直キツい。



 あ、SNSだ。何故、気がつかなかったのだろう。


 俺と、同じ、考えの奴いるかも、と。


 男女共働きをしたい。とか、男女支え合うべきだ。そんな程度の書き込みをした。

 が、


 >男が社会に出たら、性搾取される

 >来たー名誉女!

 >悲報、女のナリスマシ現る


 とか、アンチコメが返って来た。



 一方、先輩たちは、年収1000万は超えるということで、男子から優良物件扱いをされるようになった。



「安子せんぱ~い。年下が好みっしょ。俺と結婚するべ。上杉よりも、イケメンしょ。汗臭いのも我慢してあげるっしょ!」


「瑞穂先輩~、俺、セックスしてあげますよ。だから、結婚しましょう」


 この世界、特有の下劣な上から目線の言い回しだが、


「断ります!」

「いらない・・よ」


 ・・・即答してくれる。正直、嬉しい。

 後、16歳まで、数ヶ月だ。それさえ我慢すればと思う自分がいた。


 しかし、この後、男性の敵は男性だと思い知らされることになる。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ