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エッセイ

現代日本人は、他者への敬意と自己批判を喪失していないだろうか?

 最近テレビをまったく観ないので、まだ続いているのかわからないが、以前、こんな番組を観た。

 日本人の寿司職人のおじさんがアメリカへ行き、見習いを装ってアメリカのお寿司屋さんに弟子入りする。

 アメリカ人の親方がへんなお寿司の握り方をする。おじさんがそれを素直に学習して、シャリを頑張ってのりみたいに潰しまくる。その様子を画面に収めて、出演者がそれを観て笑う。

 最後に素性を明らかにして、『正体は日本の寿司職人だったおじさん』がアメリカ人の親方たちの前で寿司を握る。

 それを食べて、アメリカ人たちが自分の寿司が間違いだったことをやたら素直に認め、感服する。

 日本、凄い!

 ……みたいな番組。



 また、次のような番組も観た。


 投稿者からの体験談を元に作ったドラマ仕立ての映像で、『こんな胸糞悪いやつがいた』みたいな話。

 よく覚えていないが、たとえばファミレスに来たのに注文もせずにお喋りに熱中してる男性グループとか、残り一個のケーキを横から割り込んで買っちゃう主婦とか、そんなだったように思う。

 でもその胸糞さんが最後には必ず退治されるような展開に毎回なり、その展開がいかに『スッキリするものだったか』を、出演者が判定する。

 そんな番組。



 どちらも好きではなかった。

 批判したくなるような番組だと思った。

 実際、某巨大掲示板に批判書き込みをしたように思う。

 テレビ局にまで批判を送る気はなかったが。



 前に挙げた番組は、なんだかみっともないし、異国の文化をバカにしていると思えた。

『異国の中で扱われている日本の文化を正してやろう』みたいな主旨の番組だったように思うが、どちらかというと私にはそれを皆で笑うことと、『日本人の、本物の素晴らしさを皆で認識し合おう』みたいなことが主題になっているように見えた。


 アメリカで育ったお寿司は、アメリカ人の口に合わせた、アメリカ文化なのではないだろうか。

 アメリカの人はカツ丼にブロッコリーやニンジンがたくさん入ってるほうが好きだとその番組で見た記憶があるが、確かにそんなの邪魔だと私は思う。

 でも、バカにして笑おうとは思わない。

 アメリカ人はお寿司のシャリを徹底的に潰して糊みたいにするともその番組で紹介していたが、本当かな? とも思う。

 本当だとしても、それがアメリカ人の口に合うならそれでいいやん、と思う。


 後者の番組は、確かに迷惑だったり見ていて不快だったりする輩はいるものだと思う。

 しかし、それを殊更あげつらって、皆で叩いてスッキリするというのは、何だかそちらにも不快なものを感じてしまった。

 スッキリする人たちは、誰にも迷惑をかけていないのだろうか?

 自分たちを『絶対正義』とするための他者のこき下ろし──そんなように見えてしまった。



 前の番組には『他者への敬意の欠落』を、後の番組には『自己批判の欠如』を感じてしまったのである。



 今回の野球オリンピックに私はまったく興味がなかったが、たまたま観た大谷翔平選手のことばには感じるものがあった。

『憧れを捨てよう』みたいなことばだった。

 アメリカの有名な大リーガーが相手でも、それを気にせず戦おうみたいなことだったように思う。

 日本人は昔から卑屈になりがちだというから、もっと自信をもとうということだと思った。

 そして堂々、優勝した。(……んだよね?)←興味なさすぎなやつ


 素晴らしいことだと思う。同じ日本人として誇りに思う。私はべつに野球は上手じゃないし、どこの国が優勝してもよかったとはいえ。


 昔は日本人はアメリカ人から笑われていたように思う。

 メジャーリーグを題材にした映画にとんねるずの石橋さんが出ていて、『ジャイアンツの四番がチームに移籍した!』のがアメリカのジャイアンツではなく東京のジャイアンツだったというのが笑いどころだったりしていた。


 そんなアメリカのベースボールに憧れながらも、不屈の精神と頭のよさで頑張り続けたから、世界一になれたのだろうか。知らんけど。

 アメリカは、日本の野球を見下して笑いながら、油断していたから負けたのだろうか。知らんけど。


 自国の文化に自信をもつために、他国の中の自国文化を笑うというのは、どうも違う気がする。

 アメリカのお寿司のほうがより進化して世界一になるということもあり得ないではないではないか。知らんけど。

 なろうの転生モノなんかでも、転生した国の未発達ぶりを笑うようなものはよくあるように思うが、それはどうなんだろう。


 けしからん輩を再現ドラマの中で、皆で叩いてスッキリするのは『ざまぁ』に似ていると思うが、これもどうなんだろうと思う。

 描かれた輩はデフォルメされて悪いところしかない人間のように描かれているし、何よりスッキリする側の人間の描かれ方が善人すぎると思う。(もちろんそれでなければスッキリは産まれないのであろう)


 私は車で基本一番左側しか走らないが、これをしていると『けしからんやつ』に見られてしまうことがよくある。

 私は一定ペースでキープレフトしているだけなのだが、みんなが右側を延々と走っているので右車線が渋滞となり、左からゴボウ抜きしてしまう形になってしまうことがよくあるのだ。

 それで通報されたことが何度かある。

 私が『けしからんやつ』で、キープライトしている人たちが『完全なる善人』なのだろうか。みんなが私に『ざまぁ』したがっているように見える。


 車はキープレフトがルールなのではないのか。


 そこに自己批判はいらないのだろうか。





 偉そうなこと書いてすみません(*´ω`*)



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― 新着の感想 ―
[一言] 現代日本人ってどこからどこ、今現在の子供から年寄りまでの大部分って感じ?
[一言]  あるあるですねぇ…受け売りの意見ですが、この両者に共通している視点は「普遍性の殊更な強調」だと思われます。  たとえば「日本に憧れた外国人が実際に日本に来て日本文化に感動する」みたいな番…
[一言] 日本ageが流行った頃でしたっけ、テレ東の和風総本家は国内で忘れられた伝統の再発見や宣伝が、リスペクトを込めて視聴者に興味もたせる工夫に満ち溢れていたので好きでした ただ、他のバラエティは…
2023/03/26 19:57 退会済み
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