第1話
目が覚めると目の前にはゲームのステータス画面みたいなものが広がっていた。
これは死に際の夢だろうか?確かにゲームはそれなりに好きだったが今際の際に見るほどとは思っていなかったな。ただこの画面にやけに興味を惹かれてしまう自分がいるのも事実で不思議に思いながらも俺は画面に触れた。すると筋力と書かれた部分がハイライトされその右の"100"の右に+マークが浮かび上がってきた、その横には"E"と書いてありこちらにも右に+マークが出ていて、数字の上には初期値アルファベットの上には成長率と書かれている。まるで生前やっていたrpgのキャラクリの画面みたいだ。気づけば新しいゲームを始めるときの高揚感に似たものを感じながら俺はその画面に夢中になっていた。
しばらく夢中になって調べてこの画面についてわかったことは主に3つ、1つ目は割り振れるポイントは50であること。ちなみにこのポイントは生命力・体力・筋力・魔力・耐久力のそれぞれのパラメーターの数値を1増やすごとに1消費する。2つ目は成長率にはE〜Sの6段階が存在しE〜Dにするのに5ポイント、D〜Cにするのに10ポイントと段階が一つ上がるごとに消費ポイントが5上昇していき、最後のSにするには50ポイントも必要だということだ。つまりEからSにするためには100ポイントも必要ってわけだ。そして3つ目がポイントを増やす方法だ。初期値の設定方法には+ボタンで増やす以外に直接入力する方法があり、その時初期設定の100より低い数値に設定することが可能で1減らすごとに1ポイント、つまり5項目のパラメーター全てを最低値の1に設定すれば495ポイントも獲得できるということだ。俺はこの495ポイントと初期ポイントの50ポイントを合わせて5項目全ての成長率をSに設定し残りのポイントを生命力と体力に均等に割り振り決定ボタンを押そうとして気づいた、あれこれ結局なんのステータスなんだ?なぜか夢中になってたけどこれがなんのゲームのキャラのステータス画面なのか俺は全く知らない、まぁせっかくいい感じに設定できたしいいかと思い決定ボタンを押した瞬間
「終わりましたか?」
目の前から声が聞こえてきて、顔を上げると俺の理想中の理想の美女が立っていた。
「あんまり夢中になっていたものですから話しかけづらくて...とりあえず状況を説明させてもらいますね。」
そういうと美女は続けて説明を始めた。
「私はあなたの死に際の強い願いを叶えるためにあなたをここに呼びました。しかし叶えるにあたっていくつか説明しないといけないことがあります。まずはあなたには全くの別人として生を受けてもらいます。理由は時間の逆行は不可能だからです。次にあなたが生まれるのは今まであなたが生きてきた世界とは違う世界です、理由はあなたの願いを叶えるのに都合がいいということです。ここまでで何か質問は?」
......やけに長くて鮮明な夢だ、異世界への転生など現実が嫌になって何度も妄想したものだ。まぁとりあえずこの夢の時間を楽しもう、今生で最後の夢になるだろうから。とりあえずさっきのステータスについて目の前の美女に聞いてみるか。
「じゃあさっきのステータスは転生する俺自身のものってことですかね?」
「まぁ夢と思うのも無理ありませんが...そうですよ、転生するあなたのものです。それにしてもなかなか面白いステータスにしましたね。」
「どういうことです?」
「今までの方で数値を減らす方はいなかったものですから。」
?...なぜだろうか、初期値より成長率が大事なゲームなんていくらでもあるし同じようなことをするやつくらいいそうなものだが...
「あぁ、あなたにはまだ転生先の情報を話していませんでしたね、転生先の人間のステータスの平均値は10、全ての値が100なんて英雄クラスの強者たちだけです。それを聞いた今までの方はわざわざ英雄クラスのステータスを捨ててまで成長率を選ばなかったというわけです。」
ちょ、ちょっと待ってくれその話聞いてたら俺だって数値減らすなんてことしなかったぞ、今から変えたりできるだろうか...
「決定後の変更は不可能ですよ、まぁでも心配しないでください成長率も重要ですし十分強力なステータスです。それにあなたの願いとも相性いいと思いますよ。」
「その願いっていうのは?」
「あら死に際に願っていたじゃないですか学生時代に戻ったら努力するって、忘れたのですか?...まぁいいですあなたには強力なステータスと願いを叶えるためのスキルを1つ持って転生してもらいます。そのスキルの名前はタスクマネージャーです。」
「タスクマネージャーですか?」
「そうです、あなたにとって最適な内容の努力を最大限サポートしてくれるスキルです。成長していけば新たな機能も追加されていくとっても優秀なスキルですよ!」
「はぁ、とにかくそのタスクマネージャーがあれば僕が望んだ人生が歩めるということでいいですか?」
「その通りです、他に質問がなければこのまま転生させてしまいますがよろしいですか?」
「では、転生後に自分のステータスを見る方法ってありますか?」
「はい、念じれば自分以外には見えないステータス画面が目の前に現れますよ。他には?」
「特には。」
「そうですか、では転生させます。説明が遅くなったお詫びに相性のいいスキルもお付けしておいたのでうまく使ってくださいね、では良い人生を!」
その声を聞いた次の瞬間俺の意識は暗転した。
「オギャーオギャーオギャー」
俺の意識は自分の意思とは関係なく出てくる泣き声とともに覚醒した。周りを見るとメイド服らしきものをきた女性数名とベットに寝ている女性が一人、そしてデイリータスクと書かれた画面が俺の視界に入ってきた、どうやら夢ではなかったようだ。