プロローグ
はぁ、ついに終わるか俺のつまらん人生」
俺の頭には安堵なのか後悔なのかよく分からない感情と共に退屈だった人生の記憶が走馬灯のように蘇っていた。
俺は能力だけみればかなり優秀だった。中学生時代は学年トップの学力だったし、運動も全国大会を目指せるくらいにはできた。その上真面目な優等生だったから学級委員や部長、最終的には生徒会長を任されるくらいには教師陣や同級生から信頼されていた。そんな学年一の優等生だった俺は進学に関しても大いに期待されていた、少なくとも県内トップの進学校、もしかしたら灘や開成、国公立大の付属校みたいな超エリート高校にいっちゃうんじゃないかと期待されていた俺が進学したのは偏差値で言えば県内で5位くらいの公立校だった。周りには大層驚かれて理由を聞かれたが適当にはぐらかした。その後高校でも文武両道の優等生と周りから評価と期待を獲得した後、それを裏切り大学進学せずにフリーターになり最終的に派遣で働いていた会社に正社員登用され定年まで働いた。その会社はブラックだったから休みは全然なかったし、上司は仕事ができないくせに手柄だけ横取りしていく奴だったから自分があげている成果に対して給料は少なかった。そんなだから女性と交際する機会も学生の時を最後に訪れなかったし、童貞を捨てる機会にも恵まれることはなかった。そんな少ない給料さえ使いきれない退屈な人生を俺が送ることになったわけはただ一つ。努力ができなかったからだ。俺は人に言われたことをやるのは得意だったし、真面目だった。その上基本スペックは高かったから授業を真面目に聞いて出された宿題を完璧に仕上げているだけで学年トップは取れたし、部活に真面目に参加していれば勝手に記録が伸びていた、ただ受験や就職は違った。好きなとこに行っていいよ、その代わりいいとこ行きたかったらちゃんと努力してねと言われた時、俺は一寸の努力もできなかった。その結果こんな人生を送ることになったってわけだ。
「もし学生時代、いや20の時でも30の時でもいい戻れたら今度こそ努力するのに...」
そんな何度目ともわからない叶うはずのない、そして叶ったとて意味のない願いを口にしながら俺は目を閉じた、『その願い聞き届けたよ』そんな意味のわからぬ声を幻聴を耳にしながら...