Standing Wave
電子は波です!波でお願いします!
電子をギターとするね
もちろん例えだよ
唐突すぎて困らせるけど
ぜひとも電子の波と
君に付き合って欲しい
粒子のことは忘れて
ギターは弦の両端を固定すると
基音と倍音しか出ない
電子の存在確率を遠くでゼロに固定すると
限られた周波数しか波が立たない
電子をギターとするね
もちろん例えだよ
弦の振動で電子の波動
比喩する魂胆さ
君に思い出して欲しい
粒子のことは忘れて
ギターの波は弦を揺らす振動波
一節二節の一次元
電子は遠方へも 角度方向にも
一節二節の三次元の波
ギターが基音の音を奏でるように
電子は周波数の低い波動となる
電子をギターとするね
もちろん例えだよ
弦と電子の波動の変化
比喩する魂胆さ
君に思い描いて欲しい
粒子のことは忘れて
ギターはハーモニクス奏法で
倍音を奏でることできる
電子に倍音を奏でさせる方法は
白色の光を電子に照射する
ギターは倍音の節になる場所に
軽く指添え倍音をえる
電子は基音と倍音の差に等しい
単色の周波数の光を吸収し倍音をえる
電子を波動とするね
こんどはガチだよ
電子の基音が倍音になる
光の吸収の話さ
君に機会があれば観て欲しい
ギターのことは忘れて
アルミナの中のCrイオンにいる電子は
黄と緑を強く吸収して 赤は透過
アルミナの中のFeとTiイオンにいる電子は
赤と橙を強く吸収して 青は透過
透明なアルミナに
Crを添加してルビーを
FeとTiを添加してサファイアをえる
宝石じゃなくても
大抵の物質の色は
物質の電子の基音と倍音で色が決まる
注1: 弦の倍音の周波数は基音の整数倍です。
本作の便宜上、電子の倍音と呼びましたが、
電子では、周波数の整数倍ではありません。
基音よりも倍音が周波数が高いという以外に
一般的な規則はありません。
量子力学では、基音を基底状態、倍音を励起状態
とよびます。
注2: 大抵の物質の色は、量子力学における
電子の波の周波数の不連続性によります。
特に基底状態と一番周波数の低い励起状態の差が
物質によって異なることが色の違いとして
あらわれます。色とは量子力学そのものと
言っても差し支えありません。
注3: ルビー、サファイア、その他の物質の色は
数値計算で算出できます。電子が沢山あるので
粗い近似解法のため、正確な色までは困難ですが
赤っぽいか青っぽいかくらいは予測できます。
どういう場合に周波数が高いかなどは、
有機物、酸化物、発光を伴うか吸収、反射、透過
かによって仕組みが異なります。
ここには描ききれませんでした。
注4: 周波数×プランク定数(量子力学特有の定数)が
電子や光子のエネルギーになります。
注5: 物質の色の違いとして作中で宝石を例示したのは
カッコつけたかったからです。
どんな物質でも、例えば、
銅の赤サビと青サビの違いでもよかったのです。
注6: 確率の波動の総和は粒子の数として計算します。
波動に粒子性は取り入れてあります。
注7: 色彩は網膜の光の信号を脳で処理することで
決まります。色彩には多少の個人差があります。
注8: 作中のギターの弦は、超弦理論とは
関係ありません。
超弦理論では、素粒子を弦と仮定しますので、
別の概念が、ギターによる比喩の対象になる
と思います。