★書籍発売記念小話★(イラストGIF動画付)
がらがらがらがら
執務室でシルヴィアの作った魔道具の眼鏡をはずし、真剣に赤子用のガラガラなるおもちゃを鳴らしてるヴァイスを見つめ、キールはため息をついた。
眼鏡をはずしているところからいして大方休憩中なのだろう。
何をしているか突っ込むべきか、どうせくだらない答えなのだろうから無視するべきか迷い――。
「何をなさってるのですか旦那様」
ヴァイスの前に煎れたばかりのコーヒーを差し出して問う。
「はい。これから生まれるマイベイビーのために、このガラガラの何が面白いのか研究しておこうかと」
「え、なんで赤ちゃんのためにやるべきことがまずそれなんですか」
「いいですか。赤子は寝ている事しかできません。あれは我が人生において本当に暇で退屈な時間でした。時折乳母がこれをガラガラと鳴らしてくれましたが、何が面白いのかさっぱりわかりませんでした……が、隣にいた乳母の子はきゃきゃと喜んでいたのできっとこれには赤子には面白いと思わせる何かがあるはずです。愛しいマイベイビーが喜ぶ最適角度でガラガラできるように、何が楽しいのか予測は立てなければいけません」
と、真剣にガラガラのおもちゃについている、棒状の先についている透明なプラスチック部分から見える部分に視線を向けている。
……突っ込むんじゃなかった。
ヴァイスの答えにキールは目頭を押さえる。
赤子時代の記憶をいまだ所持しているのかとか、赤ちゃんのためにやることがまずそれはなのかとか、他にやらなきゃいけないことはあるだろうとか、そもそも最適角度があるのかとか、突っ込まないといけないことが増えただけだった。いちいち全部に突っ込んでいたらきりがない。
「とにかく、産後のマイレディに負担にならぬように、ゆっくり休めるような状況を確保しつつ、それでいて生まれてくるマイベイビーたちが寂しがらず、快適に過ごせるように場を整えるのが私の役目です。それには退屈をしないよう研究を重ねないと」
目をキラキラさせながら言う、ヴァイスにキールはため息をつく。
……一応、本人はシルヴィアとこれから生まれてくる子供たちのため頑張ってはいるのだろう。頑張る方向性がおかしいだけで。商売のこととなると、先見の明を発揮するのになぜか自分の子のことになるとアホの子になるのかは不思議だが。
いままで他人に無関心だったヴァイスと比べるなら、かなりの進歩だろう。ただアホだが。
「はぁ、そういうものですか」
突っ込むのも面倒になってキールは気のない返事をして、窓の外を見つめた。
そろそろ気晴らしにとマーサと街に買い物に出かけたシルヴィアの馬車が屋敷に戻ってくる時間だ。どうせ、「マイレディが戻ってきました!」とヴァイスは仕事を放り投げて戻ってきたシルヴィアの元に一目散に行ってしまうのだろう。
それまでに今日中に終わらせないといけない仕事だけはやってもらわないと。
まったくこの人は本当に手がかかると、キールは心の中でため息をつくのだった。
★★以下書籍宣伝になります★★★
★宣伝GIF動画★
(イラスト使用許可をいただいております。GIF動画自体は自作です)
☆ 8月1日発売 ☆
明後日発売になります!皆々様のおかげです本当にありがとうございます!!
くにみつ先生の素敵書影です!!
シルヴィアさんめちゃかわい美人、ヴァイスさんめちゃかっこいい美人に描いていただきました!
マーサさんもキールさんもいます(❤️´艸`❤️)どっちも素敵
表紙もですが挿絵も本当に素敵なのでぜひぜひ手に取っていただけると嬉しいです!
8月1日発売になります!
また書店特典&電子特典もありますのでよろしければ是非お願いいたします!
アニメイト様特典:書き下ろしショートストーリー『いつもの朝』
結婚後のラブラブ夫婦生活っぷりです(๑•̀ㅂ•́)و✧
電子書籍特典:書き下ろしショートストーリー『式のあとで』
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