69話 破滅フラグ|д゜)チラッ
「その話は本当か」
謁見の間で国王は部下に聞き返した。
白髪の威厳のありそうな老齢の男性だ。
そこには第一王子に同行していた庭師の姿と、それを連れた銀髪の中年貴族の姿がある。
「はい。どうやら、あのシルヴィアというエデリー家の錬金術師は植物の育成を促進するちからがあるようです。第一王子の前でテーゼの花を開花させたと」
「なぜそのような、重要な事をあれは黙っていた!?」
国王が身を乗り出して言うと
「第一王子は薬害の陣頭指揮で国民の支持を得ています……もしかしたら」
国王の隣の文官がうなるように言う。
その言葉にぎりっと国王は歯ぎしりした。
「あの女を手に入れて、私に逆らうつもりか?」
「その可能性もあります」
「許さぬ!!!その女を今すぐ連れて来い!!!」
「それはさすがにどうかと。彼女もまた薬害を収めたと国民の人望があつく、無理やり国に召し抱えたとなれば暴動がおきるかもしれません」
「ではどうすればいいのだ!」
「シルヴィアの元夫を利用いたしましょう」
庭師を連れた貴族がにんまりと笑うのだった。
★★★
運が回ってきた。
国王の謁見を終え、庭師を連れて貴族はにんまりと笑った。
庭師からテーゼの花の開花について聞いたのは本当に偶然だった。
酒によってちらりと犬に独り言のように話しかけてしまったところにたまたま、居合わせたのだ。
支持していた第二王子は完璧に失脚し、第一王子が王についてしまっては、自分の派閥は真っ先に不遇の扱いをうけてしまう。第一王子をなんとか廃し、成人してなく後ろ盾のない第三王子を国王に祭り上げるしかないのだ。
リックスの身柄は食い逃げをしたところを、貴族の手下であるチンピラに捕まった。今は貴族の手の内にある。
奴を利用して、第一王子を殺してしまえばいい。
ついでに国王の信頼とシルヴィアとかいう錬金術師の力も手に入れてやる。
貴族はにんまり笑うのだった。
その陰で本当に笑っている者がいるとも知らず。











