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43話 ごく稀にいる紳士

「何故あそこでシルヴィア様に告白の返事を聞かなかったのか理解できません」


 シルヴィアが去ったあと、部屋の隅で別作業をしていたキースがひょいっと顔をだした。


「……放っておいてください」


 ベッドに横になって、顔を抑えながらヴァイスが答える。


 そう、一緒にいく豊穣祭を楽しみにしていた、来年一緒に行こう。

 このセリフは、ヴァイスのプロポーズを受けてくれたととってもいいといえる内容だった。

 なのにヴァイスは聞き返さずスルーしたのである。


 よしきた、突っ込めと、心の中で思っていたキースからしたら肩透かしもいいところだ。


「大体、あそこで聞いてしまって、「友達として」と言われてしまったら、私はこの後どうやって彼女に接していいかわからなくなるではありませんか!? 化粧品事業で今後関わっていくことは確定しているのです、もしかしたらそれの延長線上での話かもしれません!」


 大仰に両手を振り上げて抗議するヴァイスに


「そんな旦那様には、ヘタレオブヘタレの称号を差し上げます!よかったですね称号が増えました!」


 嬉しそうにキースが答える。


「人が熱で動けないからと、最近少々図にのっていますよね?」


「それは間違いです、旦那様!シルヴィア様の件でからかうのが楽しくて、熱の前からかなり図にのっていました!」


 キースが胸に手をあてて懺悔のポーズをすると、ヴァイスがベッドからモーニングスターを二個ひょいっと取り出した。


「やはりそろそろ一度話をつけておくべきでしょうか」


「旦那様!私は貴方の忠実な下僕です!っていうか、モーニングスターってコートなくてもでてくるんですか!?コートがないから大丈夫だろうと、ちょっと油断しておりました! コートに付属されているものだと!?」


「予備を用意しておくのは紳士として当然でしょう?」


「いえ、ごく一般的で普通の紳士はまずモーニングスターを持ち歩いていないはずですが」


「ごく稀にいる紳士なので問題ありません」


 そう言って、ゆらりとモーニングスターをもって立ち上がる。


「あ、旦那様さすがに熱があるのにそれはどうかと思います」


「適度な運動はいいと、誰かが言ってました」


「誰ですかそんな無根拠な事を言っていたのは!そして忠実な下僕に暴力は反対です!」


「忠実ではないのでなんら問題ありません」


 と、キースが涙ながらに抗議し、ヴァイスがモーニングスターをもってにやりと笑ったその瞬間。


「……って、また何ふざけてるんですか!?熱ぶり返したらどうするんですか!?寝てないと駄目じゃないですか!?」


 部屋に荷物をもってきたマーサが乱入し、無理やりヴァイスをベッドに寝かしつけるのだった。


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