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3話 いつからだろう?

 

 どうしてこんなことになったんだろう。


 リックスと出会ったのは錬金術を学ぶ学校だった。

 学校で告白されてそのまま付き合い、大人になって結婚した。

 普通の恋愛だったと思う。付き合っているときの彼は優しかったし理解があると思っていた。

 でもともに父の経営する工房で働きだすようになってから、違和感が生じた。


「あのさ、娘の君がぼくより魔道具作りがうまかったら、僕の立場なくなるとおもわないかい?」

 そう言って私が新しいものをつくると、彼が嫌な顔をするようになった。

 だから私は魔道具をつくるのをやめた。


 そして薬を配合する部署に異動させてもらった。

 それなのに


「君ばかり評判がよくて、僕ちょっと落ち込んじゃうな」


 と、苦笑いを言われるようになり、父が死んだのが決定的だった。

 未成年の私ではあとを継げないと、年上の彼と結婚し、彼が代表になることでエデリー家は再出発することになった。


 彼は、彼の母が経営に詳しいからと彼の母に経営を任せるようになり、私はいつのまにか事務にまわされた。

 商品の仕入れと発注と営業。


 それでも父の代から付き合ってくれている人達のおかげで、うまく順調にいっていたつもりだった。

 でも彼の母親に、「発注ミスがあった!!」と攻め立てられてそれも取り上げられたのはつい一年前。でもそれはリックスが発注したものだったはず。私が止めるのも聞かずに付き合いがあるからと発注してしまい、過剰になって腐らせたものだったはずだったのに。


 気づいたら私のせいにして、そこから仕事に追われるようになり食事も睡眠もろくにとれなくなっていた。


 もう疲れた。


 妹みたいに可愛かったら私ももっとまともな人生を歩めたのかな。

 一歩引いて夫をたてる事のできる女だったらこんなに不幸にならずにすんだ?

 子どもも授かれた?


 あれ、でも仕事が出来ないから捨てられたんだっけ?


 よく考えたら、夫も義母も妹も責める事に一貫性がない事に気が付いて苦笑いが浮かぶ。


 ああもうどうでもいい。


 もうよくわからないから、このまま死んでしまいたい。


 どこか遠くで、男の人たちの声が聞こえたけれどどうでもよかった。


 きっと嵐が来る前で他人に関わってくれる人はそういない。こんなボロボロの女など雨のなか捨て置かれて死ぬだろう。


 死んだ父と母に会えるかな。


 そんなことを考えながら私はまどろんだ。



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