表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

黒魔術師のママと言いつけを破ってカエルになってしまった坊や

作者: 山南虎邪

 21世紀の日本のお話です。

 とある町に黒魔術師のママと、その坊やが住んでいました。

 坊やはママから庭の掃除を言いつけられるも、その表情は不満たらたらです。


 そんな坊やに黒魔術師のママは言いました。


「いいかい坊や、これはお前の為なんだよ。庭掃除の一つも出来ない大人になったら将来、困るでしょうが」


 しかし坊やはそっぽを向いて、魚の死んだような眼で窓の外を眺めるばかり。

 どうやら外へ遊びに行きたがってるようです。

 そんな坊やにママは厳しい顔つきでこう切り出しました。


「私のかわいい坊や。本当はこんなことをしたくないんだけどね。今、お前に魔法をかけた。」

「どんな魔法?」

「庭掃除をほっぽり出して遊びに出かけたら、蛙になってしまう魔法さあ」

「ええ!? そんな、酷いよママ」


 坊やは恐怖に慄き、すぐさま庭掃除に取り掛かりました。

 ママはその間、スーパーに買い物に出かけるようです。


「いいかい、さっきの魔法はママが帰ってくるまで絶対に解けないからね。大人しく庭掃除に精を出すことだぁね」


 ママはケラケラと笑って買い物に出かけました。

 坊やは竹箒を持って、落ち葉を集めますが季節は秋の終わり。次から次へと紅葉が舞い落ちて、掃除が終わる目途が立ちません。

 坊やはとてもやっていられなくなり、竹箒を投げ出して庭の外に爪先を向けました。


「こんなに理不尽な思いをするくらいなら、蛙にでもナメクジにでもなってやる! ママの奴隷よりマシさ!」


 坊やは庭の外へと勢いよく飛び出し、どんどん家から離れていきます。

 するとなんてことでしょう。

 坊やの顔は徐々に蛙の頭へと変化していき、体も手の平サイズまで縮んでしまいます。


「ゲコゲコ! 構うもんか!」


 坊やは自分が蛙になっていく事もお構いなしに、どんどん家から離れて行ってしまいます。

 そうこうしている内に、ママが買い物から帰ってくると坊やの姿がないことに気が付きました。


「まさか、蛙になることを恐れずに逃げ出したって言うのかい! なんて馬鹿な子だ!」


 ママは家の外に出ると箒にまたがって、町中を探し回ります。


「坊や! どこにいるんだ! ママが悪かったから出ておいで! 蛙のままじゃ、家の外は危ないよ!」


 ママは3時間かけて街中を探し回りましたが、坊やの姿は見当たりません。

 すると道路の真ん中に、なにやらグチャグチャした物体を発見しました。

 どうやらそれは蛙の死体。どうやら車に挽かれてしまったようです。


「まさか! ええい、魔法よ解けろ!」


 ママは蛙に向かって、呪文を唱えると蛙の死体はたちまち姿を変えて人間の子供の姿へと変わっていきました。

 なんと坊やは蛙の姿のまま、車に挽かれてヒキガエルとなってしまったのです。


「なんてことだ! なんてことだぁ! 私のかわいい坊やが!!」


 黒魔術師のママは、自分が厳しい躾けをしすぎたことを後悔しました。

 されどどれだけ涙を流しても、坊やは二度と帰ってきません。

 ところで坊やが車に挽かれる直前、最後に思い浮かべたのは一体なにについてだったでしょうか。


 おしまい。

最後までお読みいただきありがとうございます。

当作品は読者様からのポイント評価を募集しております。

面白い! と思った方は5ポイント、つまらない! と思った方は1ポイントの採点をどうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ