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と、舞踏会が無事に終わり、初期の契約通り婚約は無事続けられることになって十日後。
なぜか私は公爵領に訪れていました。
どうやら、ウィステリア様がグレード公爵と公爵夫人――つまり、ウィステリア様のお母様の墓参りをしにいく約束をしていたようです。私も一緒に。
公爵領は王国の中だと寒冷地で有名ですが、農作物と乳製品が美味しいとの噂でした。ちなみに本当でした。おかげさまで公爵家から熱烈な歓迎を受けたのも相まって、太りました。だってご飯がとても美味しかったのです。仕方ありません。王都に帰ったら減量しなくては。
「むしろラヴィは細すぎなのだから、体重など気にせずもっと食べて欲しい」
「ウィズが気にしなくても私が気にします。お気に入りのドレスが着れなくなるのは嫌なので」
ウィステリア様からの怒涛の愛の告白も落ち着いてきて、前のような気軽なやり取りが増えてきました。良いことです。
「そうか……丸くなったラヴィも愛おしいと思ったのだが。ああ、もちろん、体型など些細な問題だ。私はラヴィを愛しているからな。例えあなたが生まれ変わりその姿その名前を変えようとも、私は必ずラヴィを見つけ出し、愛するだろう。世界の果てにいってでも、必ずな」
それはそうと、まれにまたポエミーな告白が飛んできます。ちょっと物騒な単語が入っているのは気にしてはいけません。
あと、なんだか相思相愛の雰囲気になっていますが、一応、私はウィステリア様の告白にまだ返事をしておりません。単純に返答するタイミングを逃してしまったからです。いつ言えば良いでしょうか。こうして迷っている間にも順調に外堀が埋められていくので、なんだかんだウィステリア様も貴族なのだなとしみじみ思います。
「ふふ、ラヴィ」
「どうしました、ウィズ」
「愛しているよ」
「知っていますよ」
私はそれ以上は応えません。まあ、返事の内容はもう決まっているのですが。恋愛は駆け引きが大事なので、すぐに答えを決めつけてしまうのは勿体ないです。もう少し、素敵な恋を楽しみたい私に付き合ってもらいましょう。
今日も、氷の貴公子と呼ばれている婚約者は、私を愛しすぎていますから。それくらいの我儘なら、きっと、受け入れてくれますよ。
完結しました。最後までお読みいただきありがとうございました。
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