〜双子がついに文字を学ぶ!?〜
一歳の誕生日を経て、家族との絆を深めた二人。
それからどんどん成長していって...
ナリア: (ついに私達三歳になったよ。)
リアナ: (そうだね。ここまでくるのも長かった。)
ナリア: (良い経験もしたけど、恥ずかしい経験も
たくさんしたよね。)
リアナ: (そうそう。中でもオムツ替えるのと、着替
えをお父さんに手伝われるのが、すごく恥ずかし
かった。)
ナリア: (もう一人で出来るようになったから、平気
だけどね。)
リアナ: (うん。私も出来るようになったし。それ
に、三歳になったってことは、文字の読み書きを教え
てくれるんじゃないかな?)
ナリア: (どうかな?一歳の誕生日のときにお父さん
が後、ニ年くらい〜って言っていたけど。)
リアナ: ていうか、多分、文字の読み書き教えて
くれるのは、お母さんな気がする。本の読み聞かせ
とか、色々な書類を書いているのは、お母さんだ
し。)
ナリア: (確かにそうかも。そして、文字を覚えた
ら、魔法の基礎知識について、お父さんが教えてくれ
るかも。)
リアナ:(多分そうだね。お父さんは「魔石」なんか
について詳しいし。)
ナリア: (まぁ、「魔石」についての知識があるか
ら、魔法の知識も豊富とは言い切れないけどね。)
母: リアナ、ナリア、ちょっと来てくれる?
これから少しお勉強します。といっても、まずは、
自分達の名前を書く練習だけど。
リアナ・ナリア: 分かったー。すぐに行くね。
リアナ:(ね、言った通りだったでしょ。文字をお母
さんが教えてくれるって。)
ナリア: (本当に言う通りだったね。お母さんが教えて
くれるみたい。私、知らない文字を学ぶの楽しみだ
よ。)
リアナ: (私は苦手分野だけど、最低限自分の名前
くらいは書けるようにしてみせる。)
ナリア: (一緒に頑張ろう。)
リアナ: (うん、頑張る。)
母: じゃあまずは、私が見本を見せるわね。
まずは、リアナの名前を書いて、次にナリアの
名前を書くわね。
ナリア: (ちょっと待って、これって英語の筆記体
じゃない?)
リアナ: (筆記体ってなんか形崩れたアルファ
ベットのやつ?)
ナリア: (もし筆記体なら、私全部書けるんだけ
ど。)
リアナ: (えっ、ナリア書けるの?私無理なんだけ
ど。というか、英語の授業でも習わなかったのに、
どこで覚えたの?)
ナリア: (独学だよ。筆記体の表が載ってる本とか
見て覚えたの。)
リアナ: (へー、すごいね。私は全く知らないから
勉強頑張らないと。)
ナリア: (全く知らなくても大丈夫だよ。私が
後で教えるから。)
リアナ: (それはありがたいけど、教わっても分か
らないかも。)
ナリア: (そしたら、リアナのために表みたいなの
作るね。)
リアナ:(アルファベットの筆記体が載ってる表って
こと?それだけ渡されても私、覚えられないよ。)
ナリア:(ちょっと違うかな。ただの表じゃなくて、
ブロック体と筆記体の両方を載せた表だよ。リアナは
ブロック体を知ってるから、筆記体に置き換えるだけ
で大丈夫。)
リアナ: (聞いてる感じだと、出来そうな気がしてき
た。私、やってみるね。)
ナリア: (うん、後で表渡すからその時に私も勉強
付き合うよ。)
リアナ: (ちょっと話逸れるけど、いいかな。今の
会話、少し前世に似ている気がするんだよね。)
ナリア: (えっと、前世で私がお姉ちゃんに
テスト対策のノートを作ってた時と似てるって
こと?)
リアナ: (そうそう。特に英語なんかは、私が全く
出来ないからよく教わってたなって思って。待って、
今、私のことお姉ちゃんって呼んだ?前世のこと話し
てたからかな。)
ナリア: (あっ、呼んじゃった。気をつけないと
だね。バレたら不審られる。)
リアナ:(私は全く嫌じゃないけど、今はお母さんが
近くにいるから、うっかり呼ばないようにしてね。)
ナリア:(うん、気をつけるね。)
母: ちょっと二人とも、ぼーっとしない。ほら、今
書いた見本を真似て書いてみて。
リアナ・ナリア: はーい。
リアナ:(ヤバい、やっぱり書きずらいよ。上手く書け
ない。)
ナリア:(大丈夫。最初はみんな上手く書けない
から。)
リアナ: (フォローありがとうって言いたいところ
だけど、ナリアは超上手いからフォローになって
ない。)
ナリア:(こればかりは練習あるのみだよ。何回も
書けば自然に上手くなるから。)
ナリア: 私は書き終わったよ。
リアナ: 私も書けた。
母: ちょっと見せてね。見てみた感じ、ナリアは
上手く書けてるわね。リアナはもうちょっと練習が
必要かしら。もう一回書いてみてくれる?
リアナ: 分かった、もう一回書くね。
母: 文字の習得には個人差があるから、焦らなくても
大丈夫よ。少しずつ覚えていきましょう。
リアナ:書けたけど、さっきとあんまり変わらないよ。
母: そんなことないわ、さっきより文字の形が
しっかり書けてるわよ。よく頑張りました。
リアナ: (本当に子供をあやすみたいに言うから
やっぱり恥ずかしいよ。)
ナリア: (照れ過ぎだよ、顔が赤くなってる。)
リアナ:(自分でも分かってるから指摘しなくていい
よ。余計に恥ずかしい。)
ナリア: (今日はこれで終わりかな。自分の名前だけ
じゃ物足りないけど。)
リアナ:(どうだろう。まだ何か書くんじゃないの?
例えば、両親の名前とか。)
ナリア:(今更だけど私達、両親の名前知らないよね。
なんだか無性に気になってきた。ちょっと聞いてみる
ね。)
母: じゃあ今日はここまでに...
ナリア: 待って、ママとパパの名前書いてみたい。
母: そういえば、私達の名前を教えてなかったような
気がするわ。分かった、名前書くからちょっと待って
てね。
リアナ:(まぁ、私は見ても分からないだろうけど。)
母: 出来たわ。これが私達の名前。ママが
「リリアナ」で、パパが「アルデン」だよ。
ナリア: わぁ、ありがとう。書けるように練習
するね。
リアナ: 私も書けるように頑張る。
リリアナ: ええ、二人とも頑張ってね。
リアナ・ナリア: はーい。
ナリア: (なるほど、私達の名前の由来って「お互い
の繋がりを大切にして欲しい」以外にもう一つ
あったんだ。)
リアナ: (どういうこと?全く分かんないんだけ
ど。)
ナリア:(いや、もっと正確に言うと、私達の名前って
「リア」の文字が共通しているよね。)
リアナ: (まぁ、そうだね。でもそれがどうした
の。)
ナリア: (このリアの文字は両親の名前の頭文字を
とったものだってこと。つまり、お互いの繋がりを大
切にって事だけじゃなくて、家族との繋がりを大切に
って意味のほうが強いと思うの。)
リアナ: (なるほど、なんかそんな気がするね。
ということは、改めて気づいたけど、私達かなり
親に溺愛されてるね。)
ナリア: (だよね。でもそれが幸せなのかも。
名前にも愛着湧いたし。)
リアナ: (私も、この名前好きだよ。じゃあ、そんな
両親のためにも、早く名前を書けるようにならなく
ちゃ。)
ナリア:(私も全力でサポートするよ。)
親からの愛を再認識した二人。それから、リアナは猛
勉強して、文字を全部覚えたそうです。