〜双子の一歳の誕生日〜
転生してから一年後・・・
リアナ:しゃべりぇる
ナリア: わたちも
リアナ・ナリア:(でも、まだちゃんと発音出来なく
てすごく恥ずかしい〜)
母: 今、二人とも喋ったわよね?すごいわ!
父: 本当か?すごいな。ならパパ・ママって
言ってみてくれ。
母: 私も聞きたいわ。
リアナ・ナリア: ぱぱ・まま
父・母: うちの子達は、かわいいなー
リアナ・ナリア: (超恥ずいよ。)
母: 言葉が話せるようになったら、次は文字かしら?
父: おい、それはまだ気が早いぞ。せめて、後ニ年は
待たないと。
母: 確かにそうね。なら、本の読み聞かせとか
どうかしら?
父: いいんじゃないか?うちの家には本がたくさん
あるし...
母: じゃあまずは絵本から...これなんてどうかしら?
初代の王様の事が描かれているの。
父: いいとは思うけど、少し難しくないか?
この子達に理解できるかどうか...
母: うーん、考えてみると少し難しいかもしれない
わね。じゃあ別の本に...
リアナ・ナリア: しょれ、よみたい
母: まぁ、これがいいのね。なら読み始めるわね。
母: 昔々、神様によって世界は四つの大陸に分けられ
ました。それから長い年月が経ち、それぞれの大陸で
人類が栄えていきました。その中の一つ、このエスト
大陸に初めて、王国が誕生しました。名前は大陸から
そのまま取って、エスト王国。そして、誕生した初代
の王の名は、「マナック・クリズマ」。彼は、類稀な
るカリスマ性と圧倒的な魔法センスで国民全体から
尊敬されていました。実は彼は無属性魔法の一つ
「魅了」の魔法を持っていました。それは、人間だけ
に影響を与えるのではなく、自然、生物などさまざま
な物に作用し、国はどんどん豊かになっていきまし
た。彼の残した主な功績は農業技術の発展、他国との
同盟の締結、馬車の発明など様々。彼が亡くなった後
も、たくさんの国民から尊敬されていて、彼が亡くな
った命日には、国民全体で追悼するという習慣が今で
も残っています。以上が「初代王様の軌跡」のお話
でした。お終い。
父: やっぱり内容が難しいな。絵がついているとは
いえ、まだこの子達が知らない言葉を使っている
しな。
母: やっぱりそうだったかしら?ごめんね、他の本を
取ってくるわ。
リアナ・ナリア: おおさま、しゅごい
父: なに?今の内容がわかったのか?
母: 全部分かったわけではないでしょうけど、
すごいわー。
父: うちの子達は天才だな。
母: それは少し言い過ぎよ。でも、これからが楽しみ
だわ。
ナリア:(今の話で気になったところがあるんだ
よね。)
リアナ: (それ、私も思った。初代王様の時は無属性
魔法が良いイメージ持たれてるのに今は、悪い
イメージを持たれてるって事だよね。)
ナリア: (両親に聞いてみる?)
リアナ: (聞いてもいいけど、今の私達じゃ滑舌悪く
て伝えられなくない?)
ナリア: (確かにそうだね。なら、ちゃんと喋れるよ
うになったら聞こうか。)
リアナ:(そうだね。)
父: そういえば、今日は二人の一歳の誕生日
だったな。
母: ええ、そうですね。私はプレゼントを
用意しましたよ。
父:奇遇だな。俺もちゃんと用意したぞ。
母: それなら二人順番に渡していきましょう。
じゃあまずは、私から・・・じゃじゃーん、
二人お揃いの洋服です。最近成長してきてるから、
新しい服が必要になるかと思って。
父: かわいいじゃないか。二人によく似合いそうだ。
母:しかもこの服に、それぞれの名前の刺繍を
入れたのよ。これで、どっちのか間違わないわ。
父: それは、助かるな。そしたら、そろそろ
俺のプレゼントも渡そうか。
母: あなたは何を用意したのかしら?
父: 俺は、魔石を使ったネックレスだ。
母: 魔石って結構高価な物よね。あなたの魔力
を込めたの?
父: 魔力というよりは属性を込めたって感じのイメー
ジだな。魔石は製作者の魔法属性を反映するんだ。
でも魔石を使う時は、大体8割くらいは所有者の
魔力を使うから、使う魔力量に関してはほとんど
所有者に依存する。
母: つまり、魔法属性はあなたと同じで、魔力はこの
子達のを使った魔法になるってこと?あなたの魔法
属性は風属性よね。魔石を使うと
どんな魔法が使えるの?
父: この子達がイメージした物に近い魔法が
使えるな。例えば、自分の身を守ることをイメージ
すれば、盾のような魔法になるはずだ。
母: そうなのね。でも、なんで魔石をプレゼントに
選んだの?
父: この子達は無属性魔法だから、いざって時に自分
の身を守る術があるかどうかわからない。だから、
父親として子供の身の安全を一番に考えた結果、
これをプレゼントにしたわけだ。
母: まぁ、すてき。それに比べると私のプレゼント
は、大した事がないわね。
父: そんなことないさ。子供達の成長を考えてくれて
て、とてもすばらしいと思ったよ。
母: ありがとう。あなたがそう言ってくれるなら、
このプレゼントにして良かったわ。
父: おっと、そろそろ寝る時間だな。
母: 二人ともお休みなさい。
リアナ・ナリア: おやちゅみなちゃい。
お休みの挨拶をした少し後・・・
リアナ: (誕生日プレゼント、すごく嬉しかっ
たね。前世でちゃんと誕生日を祝われた記憶が
ないし。)
ナリア: (私も前世の両親から心のこもったプレ
ゼントを貰ったり、私達の安全を一番に考えて...とか
言われた記憶ないよ。)
リアナ: (多分、今考えてることは同じだよね。)
ナリア: (うん、同じはずだよ。)
リアナ・ナリア: (この世界に転生できて、この家に
生まれて、本当によかった。)
今回の話はここまで。次回をお楽しみに。