表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駒コマ廻戦  作者: たっつー
1/2

エピローグ 〜ウルフギャング杯〜


「オーディエンスの諸君!

ついに!ついに!

マスターブレード、ウルフギャング杯・決勝戦の幕開けだぁぁぁぁ!!」

バトルレフリーのひと言で、会場皆ボルテージマックスとなる。



いまや、中高生に爆発的な支持を得ており、圧倒的な人気を博している対戦型コマ遊戯、通称マスターブレード。

マスターブレード(以下ブレード)とは、簡単に言うとお正月に回すコマ遊びを、令和バージョンに改良したものである。


性能は、昭和のコマとは比べ物にならず。

相手のブレードに衝突しなければゆうに10分は回り続けるし、きらびやかなLEDで煌めき、所有プレイヤーの声に合わせて相手を迎撃する。中には空中を駆け巡る機体もある。



その決勝の舞台に、俺こと、たくは立っている。

右手の人差し指、第一関節の力は抜けているか?

いつものルーティンの入口に立つ。



「両者準備はいいかい!?」

レフリーの目配せを受け、右手にもつ相棒マテリアルにぐっと力が入る。人差し指と中指のバンテージに血が滲んでいるが、不思議と痛くはない。



眼前の対戦相手。

すなわち、司の顔をぐっと見つめる。

浅黒い肌、意志の強い眼差し、薄い唇、高い鼻。

その薄い唇の端を上げて、ニヤリと笑う。

中学三年生で、俺よりも年下というのに、迫力を感じさせる。



後ろから、雑音・騒音よりも聞くに値しない、雑言が投げかけられている。

「たくもういい!棄権しちまえ!」

「たく戦うのはもう辞めて!

 私、貴方のことが好きなの」


もちろん二人の言葉には耳を貸さず、立ち位置に着いた。負けることは許されねえ。

そして、やっと、終われるのだ。。。。。



おやっさんは、嘆き。

優子は、目に涙を浮かべている。



「両者ブレードを構えろっ!

 そして3カウント数えた後に、互いの相棒を射出し   てくれっ!!」

少しだけキーンとマイクがハウリングする。


全国大会ということもあり、ホビー大会でありながらカメラが数台入ってる。観客は300人程入っているらしい。

ドローンカメラが、俺と司の顔の周りを、グルグル回る。



            「さんっ!」

 



大丈夫いつも通りシュートすればいい。と自分に言い聞かす。

会場の照明は、暑いほど眩しく、手汗がジンワリと浮いてくる。辺が無音になる。自分が集中に入りつつあることを実感する。





          「にーっ!」




司と目が合う。

「たくさん、覚悟は出来たかい?」

冷ややかに言ってくる。

「お前こそ」

俺は吐き捨てるように返した。

 



           「いちっ!」



両者はコロッセオへ意識を下ろす。

「たく貴方は、貴方は、、、」

優子が、コロッセオの下から、もどかしそうに言葉にを詰まらせている。





            「GOOOO!!」


司・たく「「うおおおおおおおおおっ!」」




「貴方は今年30歳なの!!!!!!」

戦いの火蓋は切って落とされた。儚くも健気に。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ