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魔女と鬼の恋物語  作者: りおん
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第1章 激動1

鬼は数日眠り続けた。


その間も騒ぎを見ていた町の人達が何人か様子を見に来たが、目を覚まさず、微動だにしないのを見て数日後には興味が失せたようだった。


私もしばらくは様子を何時間かに1回は見に行っていたが2日もすれば傷が完全に塞がっているのを確認して

それからは放っておいた。


そんな日々が続いたある昼下がり。



「……っう…」


薬草を採って帰ったら鬼が急に目を覚ました。



「…おはようございます…?」


目を開けてぐるりと辺りを見回した後に私を見つけ、じっと目を合わせて来たので思わず挨拶をする。


「…おはよう。助けて貰ったのに礼もせずにすまない。

俺はどれくらい眠っていた?」


「ちょうど今日で7日目になりますね。」



その男の目は赤かった。

赤い瞳の鬼は魔力の高い高位の鬼だと聞いた事がある。



頭の中を警報音のような音が鳴っている。


「俺の名前はルイだ。君は…」



「…私はリーリアです。」


まさかと思った。

予想外の名前だった。


ずっと昔に私が捨てた人間だった頃の名前。

今となって反応するとは思わなかった。


咄嗟に自分は“水の魔女(リーリア)”を名乗った。

どうせ魔女の中の階級の名前なのだから知らないだろうと高を括って。


「そうか…リーリアは1人で暮らしているのか?」


「…?そうですが、それが何か?」


この男が何を言いたいのかわからないまま受け答えする。

鬼の赤い瞳は人を惑わす。

そして、人を従わせる瞳だと聞いたことをふと思い出した。



「俺と、一緒に来る気はないか?」


一瞬何を言われたのか分からなかった。


「は…?」


「1人よりも2人の方が色々と都合が良いと思わないか?

それに、俺なら護衛も出来る。」


「大怪我していた人が何言ってるのかわかりませんね。」



なんの感情も込めずに受け答えするが、内心ドキドキと心臓が鳴っていた。



鬼の赤い瞳がじっと私を見ている。獲物を見つけたように、

逃がさないと言うように。



その瞳から逃れたいと心の底から思った。




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