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そして僕達は宇宙が落ちる日を夢見た  作者: ToToME@豆味
サザ、其れは夢を見る若獅子
5/29

翅の蛍火

―――――――サザが公国で最初の一夜を迎えている頃、太初の自然が残る聖地オクタ・テラのどこかで蛍火が動いた。



『―――――!!』

がさり、と草葉を踏み抜く音、パキパキと落ちた小枝が重みに折れる。

夜闇の森に、小さな人の影が蠢く。獣達がその音に反応し穏やかな瞳を覚ます。


足音の主が向かう所は澄んだ水溜まる泉。

水面の蛍火と天上の月がなだらかな風に揺れた。





『………でてきた』

泉を覗いて、小人は語る。

『かみさまのつみをせおえるひとが、やっとでてきたんだよ』

光を反射して輝く泉の光を受けて、鮮やかな翠の瞳が栗色の前髪から覗かせた―――





 ********





―――さあ、と風が少しばかり強く木々を揺らした。

夜闇が染めた黒い森が()いている。

『…もう、ゆかなければ。つみを、そのひとにわたしにいくために』

ふわ、とその身は軽くなるや、背に小さな(はね)を出した。蛍火の様な色が栗色の髪に反射する。

『はやくあわなきゃなあ、かみさまはようせいづかいがあらいんだよ』

ぽつりとぼやいたその小人は手に()()を携えている。

程良く夜の影が()()を包み隠し、天上に未だ残る堕ちた月の灯火だけが姿を知っていた。


『………。』

くい、と顔を涼やかな空の上へ向けた時、小人の身体は羽根の様に軽く、豊かに茂る草の上から浮き立ち、地より足が離れた時より小人の身から蛍光が溢れ出す。





―――そして蛍火に似た淡い光を背に、小さな主は聖地から飛び去っていった。

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