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婚約破棄のお陰で目が覚めました  作者: 渚
婚約破棄騒動編
2/7

2

私の雄叫びの後、ホールは静寂に包まれた。


(やっとだ!何を考えても、何も出来ない9年間。長かったわ。)


そう、感慨に浸っていると、王子の傍にいたひとりが声を上げた。確か、アル…。アルなんちゃらって云う名前だったと思う。宰相の息子だった…かな?


「おい、セレニア!お前、何してる?殿下のお言葉が聞こえたのか?急に叫んだりして。大体お前は.......」


ねちねちと言葉が続く。いや、でもさ。自分の意思で、体が動かせるっていう、感動のシーンな訳ですよ。もうちょっと、感慨に浸っても良くないかな?


うーん、こういう場合は、どうすれば?嗚呼!セレニアちゃんの真似すればいいのか!


そう確信した私は口許に手を添えて、目を細める。


「お静かになさって?」


セレニアちゃんは、いっつもオートモードで感情がこもってなかったから、私は心からの気持ちをこめてやってみた。


やっぱり、本物にはクオリティで劣るから、名演技と云われるくらいでやらないと駄目だよね。


私の渾身の演技は、あまり上手くなかったようで、セレニアちゃんがやるとみんな顔を紅くしてしまうんだけど、私の場合、みんなが顔を青ざめさせて黙りこくった。


あ、首を傾げるのを忘れたからか!


顔が同じでも、ポンコツが入ると駄目なんだなぁ。

可愛くやったつもりなのに、そんな顔で私を見なくってもいいじゃない?





まぁ、今はそれより、体が戻ったことだよね。


歩く。出来る。しゃがむ。出来る。手をにぎりしめる。出来る。ウィンク。出来る。


やったぁぁぁぁぁあ!


しまった!鏡がない。あとで鏡見てもう一度やろう。


でも、嬉しい。


「本っ当に最高っ……!」


あ、目から汗が。9年間、私が何を感じても一度も流れなかったのに。


「良かったぁ。」


思わず微笑む。


「セ、セレニア?」


ふとそちらを向くと、第一王子が奇怪なものを見るような目付きでこちらを見てくる。失礼なひとだわぁ。


そろそろ、放置しすぎたかな?


「なんでしょうか、ニコラス殿下?」


確か、セレニアちゃんは、こう呼んでいた。


「お前は何故泣いている?」


「あ、嗚呼。私の長年の夢が今日果たされまして。思わず嬉し涙が。お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません。」


こんな言葉遣いでいいんだよね?敬語なんて、部活の先輩とか先生とかに、かる〜く使うぐらいのものだったから、正しいのかわかんないわ。あくまでも王子だし、丁寧な方がいいよね!


「お、お前っ!」


殿下が、目を見開いている。あ、やっぱ、間違えてた?なんか不敬だったかな?


「申し訳ありません、云ってはいけないことを云ってしまいましたか?」


そうたずねると、殿下は、「いや、もういい。」と云って俯いた。


どうしたんだろ?


そうしたら、さっきのアル……なんちゃらくんが、また口を出してきた。


「お前、立場をわかっているのか?!」


アル……なんだっけ?あ、やばい。めっちゃ気になる。もう喉まで来てる。わかる、あともう少しで!ええと。


「アルバート様!」


やっと思い出した!


「アルベルトだ!」


違ったみたいだ。残念。


「それで、アルバート様どういう意味でしょうか?」


「お前わざとやってるのか?」


あれ、また間違えた?


アルなんちゃらくんは、溜息を吐いた。


そんな深い溜息つくと、幸せが逃げちゃうよ?


「お前は、今、ニコラス殿下に婚約破棄を告げられたのだぞ?なのに、なにをそんなに嬉しそうにしている?」


「うっ!」


殿下が呻いて、


「ニコラスにダメージがっ!」


とノエルが寄り添う。


「…………?」


私は首を傾げて考える。


……………………………………。


あ、やばい忘れてた。ここは全力でっ!


「嗚呼!ありましたね、そんなことも!忘れてました!」


てへぺろっ!


…………周りの視線が痛い。やっぱり、古かった?


ブクマ、有難うございます!

作者の趣味全開ですが、それを読んでくすっと笑っていただけたら嬉しい、と云うスタンスで書いています。

なので、ブクマをこんなにして頂いて、大変恐縮です。有難いです。


もしよろしければ、これからもどうぞお付き合い下さい!

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