恋する気持ちは
学校に登校して菅野君を見ても辛い気持ちが薄れていた。色んな人にふられたといい優しくしてもらい、少しだけ気が晴れたようだった。そういえば夢ちゃんには言った方がいいだろうか?そう考えていると夢ちゃんが話しかけてくれた。
「おはよう春ちゃん!今日さ私英訳絶対にあたるの!助けて!」
「うんいいよ。どこかな?」
ノートをさす夢ちゃんを見ながら考える。やっぱり言おう。
「春ちゃんありがとう!」
「夢ちゃんあの今日放課後少しだけ時間ある?話があるの。」
「うん、大丈夫!じゃあ一緒に帰ろう。」
「ありがとう!」
授業中、菅野君から手紙がまわってくる。また私に宛てたものらしい。
片岡って頭がいいんだね。
ありがとう。
勉強教えてくれる?
機会があれば。
この休み何してた?
別に何も。
なんだかそっけないね。
そうでもないよ。
わざと次につながらないよう話す。田中さんに悪いし。まだ何か書いているようだったけどそこでチャイムが鳴ったので、そそくさと席を立ち女子トイレに逃げ込んだ。
「私これ以上菅野君を好きになりたくない。」
誰もいないトイレで1人つぶやく。それからその日、菅野君は手紙をまわしてはこなかった。
「春ちゃん帰ろう!」
「うん。」
そのまま2人で教室を出た。通学路の途中で鯛焼きを買って公園のベンチに座ったと、同時に口を開く。
「夢ちゃん、私菅野君のことが好きなの。でも前の合宿中に田中さんが告白してるのを見て。」
「えっ!菅野はなんて?」
「付き合うって。だから諦めてる途中なの。」
「そっか。辛かったね。」
「ううん。でもその告白を聞くまで好きか本当に分からなかった。」
「次!次の恋を探そう!私応援する!」
「ありがとう。告白の話、盗み聞きしちゃったから誰にも言わないでね。」
「うん。春ちゃん本当のことを言ってくれてありがとう。あのさ…人を好きになることをやめないでね。まだ菅野を好きでもいいの、ただ傷付いたからってもうやめようって心を殺さないで。また素敵な人は現れるからね。さあ帰ろう!」
なんだかまた心が軽くなった。言えば言うほど少しずつ軽くなっていき気がする。少しずつ少しずつ失恋の痛みを治していこう。




