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合宿四日目


 5時過ぎに目が覚めた。そっと着替えて部屋を出る。今日は花柄のワンピースにした。昨日から借りているCDプレーヤーで英語を聞きながら英訳の続きをしよう。今日も1番のりだ。さすがに眠いな。英訳をする手が止まりかけるので、気分転換に朝ご飯を食べに行った。

 食堂にはやっぱり輪が出来ているが、1人で端に座る。昨日でもうお腹いっぱいだ。さっと朝食を食べ食堂を後にした。

 勉強部屋には昨日より人が少ない。10人も座っていない。うちのクラスは酷い出席率だ。その数名の中に浩介も菅野君もいる。多分、このクラスで1番必死に勉強しているのは浩介だ。私も見習わないと。眠気がとびしっかり集中することが出来た。英語は範囲外広く中々全てを網羅するのが難しい。昼は自分の席でサンドイッチをとった。今とても集中できているのでこの流れを崩したくない。

 気付くと夜ご飯の1時間前だった。図書室に昨日の続きを読みに行こう。図書室には先客がいた。菅野君と田中さんだ。


「…君好きなの。」


「そうなんだ。いいよ。付き合う。」


 付き合う。あの2人は付き合う。その場を後にした。ああやっぱりお似合いの2人だ。


 少し早めに食堂に着いたが、もう夜ご飯を食べている人がいたので私も一緒にとった。

 勉強部屋に戻ると、そこにいたのは浩介だけだった。勉強をし始めるとあの2人の光景を思い出してきて、なんだかちっとも集中出来なかった。


「春、大丈夫?」


「ん?どうして?大丈夫だよ。」


「なんだか、辛そうだよ。」


 なんで分かっちゃうの?辛そうと言われて泣き出してしまった。


 そこでドアが開き菅野君が入ってきた。


「片岡?なんで泣いているの?吉井お前!」


「違う!浩介じゃない!」


「じゃあどうしたの?吉井じゃないなら!」


「だって、菅野君が!」


 田中さんと付き合うから…。でもこれは田中さんの為に言うべきではない。


「僕?僕のせいで泣いているの?」


 この場から逃げ出したくて立ち上がる。菅野君に腕を掴まれるけど、


「今、菅野君とは話したくない!」


 菅野君は何が何だか分からないだろう。でも気持ちを抑えることが出来なかった。腕を振り払って走り出した。

 図書室に逃げてきてしまった。夜の図書室は静かで落ち着く。


「春!」


「ああ、浩介ごめんね。変な所を。」


 図書室に入ってきたのは浩介だった。そしていきなり抱きしめられた。


「ごめん。春が好きだから泣いている春を1人にはしておけない。」


「ありがとう。でももう大丈夫だから。勉強に戻ろう。」


 胸を押すけどびくともしない。中学の時は小さかったのに。


「春。中学の時、春を傷付けた俺が言えることではないけど。俺はこれから春を傷付けない。もう絶対にしない。変わったんだ俺。もう友達になんて言われたって好きな子の悪口は言わない。」


「ありがとう。」


 今、1人じゃなくて本当によかった。この暖かさに癒やされてしまう。


「さあ戻ろう。本当にありがとう。」


「ああ。声がちょっとだけ変わったな。」


 2人で勉強部屋に戻った。菅野君はまだ部屋にいたので頭を下げた。


「ごめんなさい。完全に八つ当たりでした。」


「いや。いいけど。本当に大丈夫?僕何かしたんでしょ?」


「ううん。今回は本当に八つ当たりです。ごめんなさい。」


「そお?じゃあ勉強しようか。」


「うん。ありがとう。」


 そういって勉強の続きを始めた。やっと気付いた。菅野君が好きなんだ。そしてさっきの涙でふっきれた。もうこれ以上関わらない。好きにならない。ちょうどこの合宿が終われば席替えだし。

 泣いてすっきりしたのか、また集中して勉強をすることができた。テストはいい結果になるかもしれない。良きところで切り上げ2人に声をかけて部屋から出た。

 歩いていると後ろから走る音がして振り向くと、そこにいたのは浩介だった。


「春、今更だけどスマホの連絡先交換しない?」


「うん。いいよ。」


 浩介は友達だから。


「じゃあまた連絡するよ。」


「ふふ。うん。分かった。」


 寝静まった部屋に戻った。明日はテストだ。



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