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1945年

これが予定していた最終場面です。

ここまで1年刻みでやる予定だったんですが、プロット練り直して3つのうちの1個に絞ったものにしようと思います。(総統か准将か装甲猟兵開発かです)

 1945年 首都ベルン 総統府公邸


 「総統、東よりソビエトのジューコフ師団が肉薄しています。市街戦で装甲騎兵が時間を稼いでいる間にご決断ください」

 私は報告に来た伝令将校に最後の書類にサインをするとペンと書類を渡した。

 「そのペンは総統になったときにペン職人の組合から送られたものだ。もう私には必要はない。君に上げよう」

 将校は顔を伏せ書類とペンを受け取ると肩を震わせた。

 伝令将校は下を向いたまま震える声で尋ねた。

 「総統、将軍達へのご命令は?」

 「西部戦線の抵抗をやめさせ合衆国と講和を急げ。全ての戦争責任は私にある。文書にもそう書いておいた」

 伝令の受け取った文書を指差すと軽く微笑んだ。

 「では行かせてもらうよ、愛犬と新婚の妻が待ちくたびれてしまう」

 そういうと

 執務室の奥の木の扉に向かった。

 扉を開けたときにオレンジの香りが僅かにした。

 ベットの上では愛犬と妻が横たわっていた。

 私もその横に横たわると用意していたカプセルを飲み込んだ。


 伝令将校が総統の最後の命令を運んできた。

 「無条件降伏の受諾を連合国、西部戦線と結べか」

 「ということはソ連には全力で抵抗しろということでいいな。」

 ソ連の国際法無視の態度を考えれば、抵抗をやめれば略奪と虐殺が待っているのは言うまでもない。

 現に進軍途中のアルブは皆殺しにあっている。

 「資本主義のプロレタリアートを倒せか、戦闘で倒していたら資本主義の前の原始時代と変わらないが」

 やつらに戦闘員非戦闘員の区別はない。自国ですら全ての国民は赤軍兵士であると言い切るやつらだ。3歳児の赤軍兵士とか頭が狂ってるとしか言いようがない。

 「アンドレア・ビート装甲猟兵隊、首都で市街戦に入る。一般市民は歩兵隊が西に脱出させろ」

 胸に総統から付けていただいた柏葉付ダイヤモンド鉄十字勲章が光っている。

 「准将、自ら出撃ですか?」

 参謀総長のヘルマン・ヒス上級大将が声をかけてきた

 「ええ、GJ-7型 ドゥエルグ・イェーガーのお披露目です。増強大隊ですから2・3日は稼ぎますよ」

 「なるべく長く頼みます」

 敬礼で返事を返すと大隊本部へ車を走らせた。

 「ビート隊長、4番7番のスチームギアユニット交換してあります。慣らしながら頼みます」

 整備兵が愛機の横で注意事項を伝えてくる。

 「アカが相手だ慣らしで終わるかもな」

 蒸気原動機を始動させる。 背中にV字に12基はめ込まれたスチームギアに12本の炎の柱が燃え上がる。

 「今日は石炭か、木粉混合片栗粉じゃないんだな」

 スチームギアの利点の一つが可燃性の粉であれば熱効率は下がるが燃料に出来るという点だ。

 最高は微粒子コークスだが、ジャガイモから作る片栗粉や木粉・石油ピッチでも稼動可能である。

そのおかげで燃料を気にせず現地補給で戦い続けられた。

 それは敵も一緒だが……


 装甲猟兵は重武装重装甲に進化してきた。

 それに伴い初期は単気筒だったのが12気筒まで増えている。

 プロペラ付けたら空を飛べる馬力だ。

 もっとも空は全金属装甲推墳式飛行船が時速700kmで空中戦を行っている。

 俺達は地面を走る猟犬だ。

 敵のジューコフ師団は戦車を主体とする装甲部隊だ。

 俺達は随伴歩兵を狩りつくし、隙があれば戦車も食うことになる。


 「大隊、前に!(パンツァーフォー)」

 GJ-7のコンデション確認後、全大隊に命令をだす。

 アカの兵士を刈りつくせという命令はすでに徹底している。

 戦車を見つけた場合GJ-5とGJ-6 それにGJ-7が対応することになっているがGJ-5が1個中隊他は1個小隊程度だ。主力のGJ-3、GJ-4は戦車とやり合うには無理がある。

乗り換え用の予備機の中にはGJ-2すら入っている。根こそぎ掻き集めてきたのが良くわかる。

 もっとも市街戦で歩兵相手ならGJ-2でもいけるのだが……敵の装甲猟兵がどれだけついてきているか。それらはエースの刈り取り作業になる。

 約150機の装甲猟兵で戦車から逃げながら何日歩兵を刈り続けられるか、それが今回の任務だ。

 常時投入は100機を切るだろう。そうでなければ24時間戦えない。

 ドブネズミのように相手をかじり続けてやる。

 最悪の消耗戦を見るがいい。


 アルブズガーデンでは大量の書類が燃やされていた。

 連合国が来る前に証拠を抹消しなくてはならない。

 ここで起きた物損事故は本来は国からの指示ではなく現場の裁量内での拡大解釈ということがばれたら身の破滅である。

 国全体がアルブは人ではなく準人間、いわゆるペットや家畜と同じ待遇にするのが当たり前の雰囲気になっていた。国家経済がきつくなれば潰して、収穫するのを誰も躊躇わなかった。

 総統だけは難しい顔をされていたようだが、愛人のイヴにアルブの血が入っているせいだと伝えられた。まったくそれさえなければ最高の総統なのにといっていた半年前が懐かしい。

 連合軍にはアルブの部隊も入っているそうだ。見つかったら不味いことになりかねない。

 燃やせ・燃やせ、書類も証拠も可能な限り、燃やしてしまえ。誰が何をやったかわからないようにしてしまえ。残ったアルブも全部潰しておこう。

 しかしアルブの一部は絶望的な状況の中脱出を行い、収容所の位置と所業について連合軍に伝えることが出来た。

 東部戦線ではアルブは見つかり次第、射殺はされたので(ソ連が9割)知らせるのがかなり遅れたが、連合王国に保護された一家族の報告で収容所は空挺部隊での確保が行われた。

 その結果アルブ大虐殺が全国的規模で行われていたことが判明する。

 命令系統については収容所の設立命令がナチス党・広報部まで辿れたことから総統の命令によるものと判定された。


 「あなたは死ななくてはなりません」

 「生きて裁判を受けて殺されたほうが敵も納得して過酷な戦後を避けられると思うが?」

 「いえ、それをやると国民全体の犯罪がばれてしまいます」

 「国民全体の犯罪?」

 「戦争ではなく亜人虐殺です」

 「あれは何とか止めようと収容所で保護したかったのだが……」

 「総統の命令ではなく国民の狂気が生み出した犯罪です。そのような犯罪集団をどの国が庇うでしょうか!」

 「キリストと同じか、誰かが全ての罪を背負って十字架に上る」

 「キリストと違うのは冤罪も背負っているのをばれないように、十字架ではなくあの世に持っていかなくてはいけません」

 「わかった。墓穴まで持っていこう。どうせ一度はお世話になる場所だ」

 「私もご一緒しま。」

 「まて君はまだ十代だ。逃げればやり直せる。」

 「いいえ、私は総統の妻として一緒に死にたいのです」

 ……

 「逃げ切れないか……」

 「それよりも私から真実が流れるほうが怖いです。拷問に耐えられるとは思っていません」

 「わかった。自決用の青酸カリカプセルが引き出しに入っている」

 「ただ、その前に婚姻届にサインをさせてくれ。あと花嫁にキスもだ」

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