表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/187

089話 悪役令嬢アンジェラ


 5-2.悪役令嬢アンジェラ



 ゴスロリ・ファッション。「ゴシック・アンド・ロリータ・ファッション」の略。


 ゴスロリ衣装を着ている人とは初めて会いました。ゴスロリの衣装については、テレビなんかで見た憶えがあった。


 主に黒を基調とした色合いのゴシック系統でフリフリ衣装。袖とスカートの端には少しばかりの赤が使われている。


 胸に輝くのは十字架の首飾り。彼女の黒い髪は、やわらか波ウェーブとなったヘアスタイル。


 そして、黒の瞳が少しキツそうに見えるのは、つり上がっているのが原因。将来は美人になると誰もが分かる容姿をしていた。


 あの乙女ゲームには、ゴスロリ衣装を着た登場人物は居ません。しかし、俺はこの人物を知っている。着ている服が全く違うけど、この登場人物は____




 え?・・っていうかこの人、今なんて言った?


 〝ミネルソフィ=ターシア〟?『ターシア』って言ったか?


 はい、これはもう確定だな。彼女は転生者だ。




 突如、現れたのは乙女ゲームでは悪役令嬢として登場した、アンジェラ=K=モンテネムル。


 ヒロインちゃんに嫉妬して、数々のイジメを行ない、そして断罪される前に逃走。その後、魔王の最高幹部にまで昇進して『黒き魔女』と呼ばれ、ヒロインちゃん達と戦って絶命する人物。


 もちろん、魔王の最高幹部にまで上り詰めたのだから実力はある。さすがは、ヒロインちゃんのライバル役。



 しかし、この世界では『聖女』に選ばれた侯爵令嬢。そして、この世界に『腐教』をもたらした腐教祖様。


 胸にある銀の十字架を身に着けているのはファッションの為なのか、教会に所属する聖女の為なのかどっちなのだろう?


 まさか、もう会う事になるなんて思わなかった。まだ悪役令嬢アンジェラに会うのかを考えていたし、彼女との接し方も検討中だったのだけど。・・・どないしましょう?


 ふむ、とりあえずは観察だな。第一接触の仕方が分からない。



 そんなアンジーちゃんは部屋へ入ると、周りをキョロキョロ見渡してからキッ!とレギオを睨んだ。


 「ちょっと、レギオール!ミネルソフィ=ターシアは何処にいるのよ!?」


 ここでーす。


 「少し落ち着きなよ、アンジェラ嬢。そもそも、僕が呼んでから来てと言っておいただろう?君はそんな事も覚えられない可哀そうな頭なのかい?一度、医者に診てもらうと良い」


 「うるさいわね。今は緊急事態なのよ。だから早く、ミネルソフィ=ターシアを出しなさい!」


 ここだってばさ。


 「はぁ・・まったく。君の言っている『ミネルソフィ=ターシア』は知らないけど、僕が言っていたミネルはこの子だよ。分かったかい?『偽者聖女』のアンジェラ」


 レギオが俺を指差すと、ぐるんっと首を回してこちらへ向くアンジーちゃん。怖いよ。


 それにしても、レギオとアンジェラって仲が良い・・・のかな?〝ミクシオロン君〟ではなく〝レギオール〟と呼び捨てだったし。


 あ、そっか。レギオールとアンジェラって同じ年齢の筈。なら、貴族学園では同じ学年だよな?仲が良いかは分からないけど、知り合いではあるのか。



 俺を見たアンジーちゃんは困惑顔で俺の頭から足先までを見た。


 「あなたが・・・ミネルソフィ=ターシア?でも、あなた男よね?」


 「もちろん、そうです。立派な男の子です」


 ドーン!と胸を張って宣言しました。



 「・・・・・・・・ちっさ(ボソ)」



 ぐはっ!! ( ´゜Д゜)・;’.、



 ひ、ひどい。初対面の人になんてこと言うのん?この人。


 確かに女性の貴女よりも背が小さいのは事実だけど、まだ成長期の10歳なんだよ?小学校の頃は男子より女子の方が背が高いなんて、よくあったじゃん。


 それなのに・・・あ、涙が。



 正直者の彼女による会心の言葉で俺がダウンしている間、何も言わずに考え込んでいるアンジェラちゃん。「ごめん」くらい言えよコラ。


 まぁ、そりゃ困惑するわな。さっきの発言で、この人が乙女ゲームを知っているのは確定。なら、もちろんヒロインちゃんであるミネルソフィ=ターシアが女の子だと思うもんな。



 「・・・そうか。もしかして_____が____言った_________って事?」


 ん?小声で何か言った?聞こえなかった。


 アンジェラちゃんは、しばらくして納得した顔になったかと思うと、レギオとフェイに言い放った。


 「これから、この子と大事な話しをするわ。だから二人とも、この部屋から出てってちょうだい」


 大事な話・・・なんかイヤ~な予感がする。すんごく。


 もし〝私の舎弟になりなさい〟とかだったらどうしよう。そこの窓から外へ離脱して逃げるべきなのだろうか、迷う。



 「何を突然、言っているのかな?君のそんな身勝手な命令に僕がしたぐぁっ!?」


 「私は『出てってちょうだい』と言ったのよ?レギオール」


 OH!次はレギオっちに物理的な攻撃が発生!


 アンジェラちゃんの命令をレギオが鼻で笑った瞬間、レギオに黒い何かが頭を直撃。レギオ涙目。


 どうやら、アンジェラちゃんは自分が持っていた傘?いや日傘か、フリルやレースが施された日傘でレギオの頭を殴打。


 でも、いいのか?レギオは〝公爵〟で、アンジェラは〝侯爵〟。立場的にはレギオの方が上だよな?確か『公・侯・伯・子・男』の順だったハズ。覚え方としては『こーこーはくしだん』で覚えよう!


 「~~~ッ!!こ、この暴力女っ!僕の頭を、よくも!!」


 「あら、なぁに?レギオール。貴方まさか、私と戦り合おっていうのかしら?この、私と」


 「ぐっ・・・!」



 ・・・あ、この人。(うち)の姉ちゃんと同じ民族の人だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ