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085話 ※レギオ※ Prt.1

今回 少し長いです

飽きずに読んで頂けたら嬉しいです

゛(。_。*)))(((*。_。)" モジモジ


 4-21.※レギオ※ Prt.1



 ※ ※ ※ 攻略キャラ レギオール=J=ミクシオロン ※ ※ ※



 「凄いですね、レギオール君。また満点ですよ、おめでとうございます」


 先日受けたテスト用紙を返しながら、担任の女性教師が僕を褒める。教室に居た同じクラスの女子達が騒ぎ出す。


 「・・・ありがとうございます」


 僕は礼を言ってテスト用紙を受け取り、自分の席へ戻る。もう何度も、同じような事を繰り返した。正直つまらない。


 満点?そんなの取れて当然さ。あんな簡単な問題、出来ない方がどうかしていると僕は思うよ。


 「次にアンジェラ様。おめでとうございます、98点で2位でしたよ」


 「ありがとうございます、先生」


 微笑ながらテスト用紙を受け取る女生徒の姿を、僕は横目で見る。


 〝また〟が抜けているよ。正しくは〝また、98点〟だ。


 この聖女に選ばれた令嬢は、毎回テストの点数が98点。わざわざ2点分の問題を毎回、間違えている。



 本当にワザとらしい。そして本当に怖い女だよ、君は。



 今日の授業も終え、帰宅する為に貴族学園の初等科から馬車乗り場へと移動する。護衛と一緒に帰るのは、僕が公爵家の人間だという理由もあるが、護衛がいつも二人いる理由は一度だけ同級生の男子に絡まれたからだ。


 イジメられた?そんな事、出来る訳が無い。僕の特別なスキルのおかげで、あの無能な奴等は泣いて帰ったよ。本当に、つまらない事しか出来ない奴等だね。




 ミクシオロン家へ到着したら、僕はすぐに向かう場所がある。


 母様の所だ。


 僕の母様は体があまり良ろしくない。僕を出産した時に、(やまい)に罹ってしまったのだと聞いた。それから母様は、日に日に弱くなっていると主治医から聞かされている。


 なんの病かは不明。有名な医者や治癒師にも分からなかった。だから安静にと、会わせてもらえない日もある。


 「リンナ、母様の容体はどうだったのかな?食事はちゃんと召し上がってもらえたかい?」


 母様の部屋へ行く途中、母様の専属メイド長に出会ったので尋ねてみる。するとメイド長は少し悲しそうな顔をした。


 「今日の奥様は、あまり体調が良ろしくないそうです。残念ながら主治医に決められた食事も、半分でさえ食べるのは無理そうでした」


 「・・・そうか」


 「お薬は飲んで頂けたので、今は安静になさっておいでです」


 「では今、会う事は無理そうなのかい?」


 「はい、坊ちゃま。今日の面会は無理だと主治医の方から言われております。誠に残念ですが・・・」


 「いや、分かった。ありがとう」


 残念だが信頼する主治医が言うのなら仕方がない。ならば、今日もあの場所へ行こうか。


 僕はメイド長へ礼を言い、今日返ってきたテスト用紙を握りしめて別れた。そして、いつもの場所へと歩いて行く。




 『図書保管室』


 我がミクシオロン家が代々収集した本が厳重に保管され、閲覧できる部屋。本が傷まない様に空気管理はもちろん、日差しが入らない様に設計され、火の使用は厳禁だ。湿気対策も施されている。


 この薄暗い場所で明かりに使うのは、専用の光魔道具のみ。光の魔石を安定させて照らすランプだ。


 明るくなった書庫の中央には、1つだけテーブルが置かれている。そこで本を読む事が、小さな頃から楽しんでいる趣味。


 知識というのは素晴らしい。この国の宰相を務める父様も〝無知は罪だよ〟と、よく言われた。全ては知る事から始まる、だから覚えなさいと色々な本を薦められた。


 だけど、最近は医術書や医療書ばかりを読んでいる。母様の為に何かしたかったから。だけど・・・



 こんなに沢山の本が揃っている大図書館でも、母様の病気が分からない。


 ただ弱っていく母様を見るだけなんて嫌だ。だからこそ、このミクシオロン家が誇る図書室で毎日、病についてを調べる生活が続いていた。




 _レギオ_ _レギオ 遊ぼ_ _レギオ お勉強?_ _レギオ 忙しい?_ _レギオ 大変?_


 僕が医術書を読んでいたら、図書室に沢山の声が響いた。


 老若男女の様々な声。小さな頃から聞こえていた安心する声。周りの人達が全く聞こえないらしい、とても不思議で、はっきりと聞こえる声。


 精霊達だ。


 僕が生まれながらに持つ『精霊の愛子』というスキルのおかげで精霊達の姿が見えて、話す事も出来る。幼い頃から一緒に居た精霊達が集まり、僕の周りを浮遊する。とても大事な僕の友達。


 図書室にやって来た精霊達が、本を読む僕に会いに来てくれた。みんな本当に可愛くて、そしてとても神秘的な光景。そんな子達が僕と遊ぼうと言う。


 「大丈夫だよ。じゃあ、今日はお話をしようか」


 本をしまい精霊達に笑顔を向ける。その言葉に精霊たちは〝_わ-い_〟と喜んでくれた。


 「そういえば樹の精霊たち、前に教えてもらった薬草が僕の母様にとても良く効いたみたいだ。ありがとう」


 この前、母様の咳が止まらなかった日があった。その時に樹の精霊たちが咳に効果的な薬草を教えてくれた。精霊達は種をくれたのだが、僕の樹魔法では少ししか成長しなかった。なので執事に頼んで市街地で買って来てもらったんだ。


 _良かった_ _レギオ 困ってた_ _助けに なった_ _良かった 良かった_ _わーい_ _わーい_


 お礼を言うと、みんな喜んでくれる。本当に、この子達は素直で可愛い。僕の生まれた時から、ずっと一緒に居る精霊達。僕の大切な友達。信頼できる数少ない存在。


 一度、精霊達に母様の病気を治せないかな?と聞いた事がある。


 でも母様の病気は精霊達でも分からないし、治せないと言われた。その時に精霊達が〝_ごめん レギオ_〟と謝り、とても悲しくなった。僕もごめんよ、君達が悲しくなるような事を尋ねてしまって。


 でも精霊達が〝光の大精霊様なら、きっと治せるよ〟と教えてくれた。その時は、この書庫で『光の大精霊』について調べる毎日になったな。でも結局、詳しい事は分からなかった。


 五大精霊である『火・水・風・土・樹』については資料に残されているのだが、『光』と『闇』の二大精霊については、本当に資料が少ない。古い物語に登場するくらいだった。




 「今日は母様の調子が悪いみたいなんだ。また体に良い薬草があれば教えてほしいな」


 僕が今日、母様に会えなかった事が悲しくて精霊達にお願いをした。また、良く効く薬草とかがあれば、また母様と話せるかもしれない。


 すると、精霊達から衝撃的な言葉が返ってきた。



 _あの子なら 治せるよ_ _レギオの母様 治せるよ_ _どんな病気も 治せるよ_ _きっと 治せるよ_



 「・・・え?」


 今・・今なんて?〝母様を治せる〟?治せるって言ったのかい!?


 「それは・・・前に言っていた光の大精霊様の事かい?」


 _違うよ_ _違うよ レギオ_ _あの子は 人間だよ_ _あの子なら 治せるよ_ _きっと 治せるよ_


 人間で母様の治療が可能な人物がいる。存在すら分からない光の大精霊様に頼らなくても!


 僕はすぐに精霊達に聞いた。あの子とは誰の事なのか、名前は何か、今どこに居るのかを。でも・・・


 _ごめん レギオ_ _ごめんね レギオ_ _まだ 言えない_ _言っては ダメなの_ _ごめんよ レギオ_


 「そ、そんな・・・」


 精霊達が教えてくれなかった。こんな事、生まれて初めての事だった。その初めてが、小さな頃から僕が望んでいた母様の治療法なんて。僕はとても辛くて、悲しくて、泣きそうになった。


 _泣かないで レギオ_ _大丈夫だよ レギオ_ _きっと 大丈夫だよ_ _だから 泣かないで_


 「・・大丈夫って、どういう、事、なのかな?」


 _もうすぐだから_ _もうすぐだよ レギオ_ _あの子が 救ってくれる_ _あの子が 癒してくれる_



   ___その時が_もうすぐ_くるよ_レギオ___





   ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●



 精霊達から母様の治療を可能とする人物が居ると教えられてから数日が経った。


 その日は王城で開催されたパーティーに出席していた。ランブレスタ王国で宰相を務める父様に連れられて。貴族の令嬢達から連続でダンスを頼まれ、疲れた僕は休憩の為にバルコニーへと出た。


 紳士が令嬢からダンスを誘われて、それを断るのは令嬢に恥をかかす行為と教えらた。よほどの理由が無い限りは断るなと教え込まれている。正直、しんどい。


 僕は疲れを癒すため、心地いい夜風が当たるバルコニーへと出て、城から見える城下町を見ようと場所を移動した。


 「あれは・・・いったい、なんだい?」


 そのバルコニーから城下町を見た時に、不思議な現象を見てしまった。それを見て、僕は理解が出来ずに呆然とその場所に立ち尽くした。



 精霊達が、ある1ヶ所に集まっている。



 夜の王都の空を舞う精霊達は、その場所で集団となっていた。これは僕のスキル、精霊の愛子によって見えている風景。一般の者達には決して見えていない。


 こんな現象は初めて見る。僕は、その場所になぜ精霊が集まっているのか気になり、近くに居た精霊達に尋ねてみた。


 「何故、君達はあそこで集まっているんだい?」


 _あの子に 頼まれたの_ _あの子に お願いされたの_ _畑 作ろうって_ _みんなで 作ろうって_


 「〝あの子〟?・・も、もしかして、それは母様の病を治す事が可能だと教えてくれた〝あの子〟の事かい?」


 _言えないの_ _秘密 なの_ _内緒 なの_ _言っては ダメなの_ _話しては ダメなの_


 まただ。また〝言えない〟。


 精霊達が〝言えない〟というのは、これで二度目。でも、〝言わない〟では無く〝言えない〟。それは誰かに命令されたか、〝あの子〟という人物を庇っているかだな。


 そして、この前に言っていた〝もうすぐ来るよ〟という言葉。つまり、この王都へ来るという事だったのかもしれない。


 〝もうすぐ来る〟と言われた後、精霊達が集まる場所が王都にできた。そして、また〝あの子〟という言葉。偶然にしては出来過ぎている。なら、あそこに居るのか。精霊達が教えてくれた母様を治せるという人物が、あの場所に。



 「そうか、言えないのなら仕方ないよね。ちなみに、君達に畑を作ろうと頼んだ人の名前は何だい?」


 _それはね ミ_ダメーーーーーーーー!!_


 ちっ、もう少しだったのに。


 土の精霊達は、のほほんと教えようとしてくれたが、他の精霊達によって止められてしまった。惜しかったな。







 僕は王城で開かれたパーティーから帰ると、すぐに王都の地図を持ち出して調べた。


 さっき居た場所が王城のバルコニーだから此処か。そして僕が見た方向がコッチで、距離は・・・


 ・・くそっ、〝旧市街〟か。貴族街だったらすぐ行けたし、市民街でも父様に頼めば数日で行けたのに。それなのに僕が発見した場所は、よりにもよって無法地帯に等しい〝旧市街〟だった。


 どうする、父様が許すはずが無い。でも、あそこに母様の病を治療する事が可能な人物が居るかもしれない。絶対に調べに行かないと。


 父様に話すか?いや、ダメだな。


 これまで、治せるかもと他国にいる有名な治癒師を呼んでは、いつも最後は無理だと分かり悲しんでいた父様。いつの日か、父様の部屋の前を通った時、部屋の中で泣いているのが聞こえてしまった。もう・・・聞きたくない。


 これ以上、〝もしかしたら〟で父様を悲しませたくない。僕がちゃんと確かめてからでないとダメだ。


 なら、どうやって?


 今回のテストで満点をとった報酬として・・・ダメだな、弱い。コレだけでは決して認めてもらえない。でも、試しに一度だけは頼んでみよう。可能性は凄く低いけど、ゼロではないし。



 何か策を考えないと。絶対に行くんだ、僕は。ずっと望んでいた事が叶うかもしれないのだから。



  ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




〝テラス〟ではなく〝バルコニー〟でしたね

ご指摘ありがとうございます

ヽ(゜▽゜*)

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