084話 □書きたかった話□
タジルの話が書きたかったので載せました
すいません (・・*)ゞ
読まなくとも ほぼ関係ないです
4-20.□書きたかった話□
王都にある冒険者ギルドの横には、少しボロいが大きな建物がある。
その場所に、今日はタジル達に誘われて来ています。
フェイは留守番。孤児院にはたくさんの子供達がいるので、世話係として大変みたいだから。夜の時間は室内で遊ぶから、成人しているフェイが必須だ。でないと孤児院の中が子供達の無法地帯となってしまう。
この大きな建物は『酒場』。しかも、冒険者向けとして経営されている酒場だ。
酒を飲むと、たいへん危険な冒険者。なので酒場の店主や従業員も全員、元冒険者達が働いている。暴れて喧嘩をするのは良いけど、店の物品を壊すと血を見る事になる。もちろん、魔法や武器の抜刀は禁止。
そこへ何故、冒険者でもない俺が居るのかというと・・・
「タジルさん、ジルさん、クリスさん、トリアさん。冒険者ランク、A級昇格おめでとうございまぁ~す!!」
俺は果物のジュースが入ったコップを掲げて、最初の宣言をした。その後、「かんぱーい!」と皆で飲み物の器をぶつけ合う。
そうです。この場所へは、タジル達の昇級祝賀パーティーを開催する為に来ました!
乙女ゲームでは既にA級という設定だったタジル。その物語通り、B級だったタジルはA級の冒険者として昇格しました。しかも、仲間のジルさんもクリスさんもジルさんも全員が昇格。これは、すごい事なんだ。
この前、昇格試験を受け、無事に合格したと教えられた。
冒険者ランクのA級といえば超一流である証。冒険者達の憧れであり、目標だ。
その上にはS級というランクがあるけど、これは国の英雄にでもならないと無理。
そう、魔王を倒すくらいの名声がいる。
乙女ゲームにあったタジル・ルートの最後は、それだった。魔王を無事に倒し、ランクがS級となったタジル。冒険者の英雄タジルと癒しの聖女ミネルソフィとの恋愛物語。そんな話しになっていた。
パーティーの開催は酒場の2階。ここは特別席になっている。
冒険者といっても、暴力的な荒くれ者と大人しめの秀才タイプなど様々だ。なので、暴力的な者達に絡まれないように設置されたのが、この特別席。
もちろん、下の階より少し使用料が掛かるけど、酒の3・4杯くらいの値段で安いです。でも、もしも2階にある備品を壊したら、1階よりも店主の怒りが凄まじいらしい。とりあえず体の骨は全部、諦めろとの事。
俺にとっては、かなり有り難い。だって、俺のこのピンク頭はとても目立つから。
それがチョロチョロ動いていたらどうよ?きっと「邪魔だ」とか「うっとしい」とか言われて絡まれるだろう。王都の冒険者ギルドに初めて入った時も絡まれたし。
先程も、俺が酒場に入ると、酒場で騒いでいた冒険者達にジロジロ見られたものだ。
「何あの子、ちっちゃーい!可愛い~!男の子だと分かるのに何であんなに可愛いの~!」
「はっはっ!ちいせぇなぁ!アレじゃあ誰かに踏み潰されるじゃねぇか?」
「小さくてトコトコ歩くのが小動物みたいだな!しっかり食わねぇと大きくなんねぇぞ、ピンク坊主!」
「ち、ちっちゃい。可愛い。誘拐したい」
バキッ ドカッ ドスッ
やっぱ酒場は喧嘩が付き物なんだね。あと、何度も〝小さい〟言うな、ヘコむ。分かってるわ、チクショウ。
俺は急いで二階へと向かいました。
さ~て、お待ちかねの料理だ!俺は酒なんて飲めないしな、料理を楽しむぞ!なんか肉料理が多いけど、美味しそうだ!いっただっきま~す!
・・・・・味付けが濃い。なんだコレ?なんで、こんなに味付けが濃いんだよ!?やばい、舌がピリピリする。
「酒のツマミだから、そんなもんなんだよ。ミネルには、やっぱキツイか」
一口目で顔をしかめた俺に、タジルから水が入ったコップを渡された。
子供の俺には、酒場の料理は合わないらしい。でも食べたい。こんな凄い肉料理を食わいでか(=食べないわけがないだろう)。こうなったら一度、水に浸してから食べる事にしよう。
・・・う~ん、ちょっとはマシ?なのかな?食べられなくはない。
そういえば、ここの場所代と料理代。全部、タジルが払ってくれるらしい。
本当は昇格祝いとして俺が払いたいが、子供に奢られるA級冒険者は醜聞に繋がるから拒否された。へたしたら一生、依頼が来なくなるらしい。
「あ~、みんなに聞いてほしい事があるのですが」
クリスさんとトリアさんが突然、立ち上がった。ん?なになに?余興か何か?
「俺とトリアなのですが・・・その、えー・・・つつつ、付き合う事になりました!」
「突つき合う?なんでココで喧嘩宣言なのですか?」
なんだ?冒険者は喧嘩好きだから、それが余興にもなるの?宣言までして?「これから、この酒を一気飲みします!」的なノリなのだろうか?
俺の疑問の後、クリスさんがトリアさんに殴られた。この為の喧嘩宣言?
「違うのよ、ミネルちゃん。私とクリスは、男女の関係でお付き合いするって意味なのよ」
「え?・・・えええええ!!??」
マジでか!?それは、おめでとうございます!!リア充ですか、羨ましい!美男美女のお似合いカップルっすよ!応援します!
「まぁ、今さら感はあるけどな」
「・・・今さらだな」
タジルとジルさんは、俺と違って驚かなかったみたい。普通にモグモグ料理を食べている。
え、気づいていたの?俺、まったく知らなかったぞい。
「ほら見なさいよ。やっぱり隠せていなかったでしょ?だから別に言わなくて良いって言ったのに」
「しかし、ほら。俺の見たかった反応はミネル君がしてくれましたし、俺は嬉しかったです」
うん、知らなかったです。本当におめでとうございます。
「だがら~、俺はじん配だったんですよ~?ミネル君の事がでず」
あれから数時間。特別席の時間延長もして楽しく食事した。でも、途中でトリアさんが美容の為とかで退席。宿に戻っちゃいました。
クリスさんはベロベロで酒臭い。恋人宣言の恥ずかしさのあまり酒を一気に飲むから。いつも真面目なクリスさんなのに、とか思ったが少し面白い。
「タジルも~ジルも~、教会に狙われるかもっと知っていたのに~、ミネル君に協力するんですからぁ!俺はミネル君がじん配で、じん配で~」
俺に抱き付き、叫ぶクリスさん。
あ~はいはい、よしよし。助けてトリアさん、貴女の彼氏が醜態をさらしてるぞい。夜更かしは美容の大敵とかどうでもいいんで、戻ってきて下さい。
「こんなに小さくて可愛うぃミネルが~教会に、教会の奴らにぃ!あ~んな事やぁ、こ~んな事をされてたかもしれないのですよー?」
だから〝小さい〟言うなってば!
「クリス、もう止せ。これ以上、飲むな!」
さすがに心配になったタジルが、クリスさんの持つお酒を取り上げようとしたが避けられた。
「うっせぇです!これは水なのでぇ平気らん、ら、ら・・・・・きもち、わどぅい・・・・・△×¥□@○¥◇△×¥□@」
その日、酒場の二階で俺達の悲鳴が響いた。