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008話 嫌な予感


 1-8.嫌な予感




   □ ■ □ ■ □ ■



 はぁ~あ。姉さんに頼まれちゃったし、仕方ないか。えーと攻略サイト、攻略サイトっと。


 タジルマース。A級冒険者?へぇ、強そうじゃん。


 人物詳細はっと、冒険者依頼で仲間達が死んでしまい心に大きな傷が残る。うわ~ヒドイ設定だな、おい。


 魔王討伐隊に選ばれ、ヒロイン達の仲間に。旅の道中でヒロインであるミネルソフィ=ターシアに、その心の傷を癒されて結ばれる?テンプレ~。


 属性の主軸は『風』。他に『樹』と『火』の属性が可能。


 得意武器は『短剣二刀流』と『弓』。近と遠の万能型。


 攻略難度はA~Dでいうと、B級。選択次第では仲間から離れる事があるので要注意。



 ふ~ん。でも攻略の仕方が詳しく載ってるし、簡単だな。さて姉さんに怒られないよう頑張りますか。



   □ ■ □ ■ □ ■



 確かに攻略キャラである『タジルマース』は冒険者だった。もしかして、冒険者ギルドに来た時点で警戒すべきだったのだろうか?


 いやいや、この人って乙女ゲームでは王都を中心に活動してたか分からんよ。なんで始まりの町である、このリナリクトに居りますのん?


 あーあ、攻略対象とさっそく出会ってしまった。これがヒロインの補正力ってやつか。朝、パンをくわえて「遅刻遅刻~」と走っていたら曲がり角で転校生の美男 or 美女とぶつかるという、あの伝説の。



 「それで?ミネル君は1人で森の中で暮しているの?」


 女性からの質問に、俺は素直に頷いた。


 もう質問は勘弁して下さい。というか子供相手に大人が集まって質問ってどうよ?イジメているみたいっすよ。というか、これは質問ではなくて尋問に感じてきた。


 場所は変わらずギルド長の部屋。机の上にあったお菓子はもう無い。お菓子のおかわりを秘書さんが持ってきてくれたけど、もう食べちゃった。


 あれから、タジルとギルマスからの質問を嘘八百を使いまくり誤魔化していた俺だったが、タジルの仲間達がギルドに到着してこの部屋に来た。


 そして、その仲間全員で俺の事情聴取を開始しやがる。しかも、タジルの仲間で弓を装備して家の屋根に居た女性がやっかい。この女性が来てから、俺は嘘を付くのを諦めました。


 何でかって思うよな?実は、この女の人〝嘘発見機〟みたいなスキルを持ってんだもんよ。ズルくね?


 この女性と付き合う男は絶対に浮気が出来ないよね。あれ?この世界は多重婚とかどうなんだろう?異世界小説モノにはハーレムを目指す人とか居るし、気になった。お、おおお、俺は別にハーレムとか興味ないけどな!



 「じゃあ、次の質問ね。君は光属性が使える。間違いないかしら?」


 「・・・・はい」


 認めてしまった。まぁ、でもタジルには光魔法を見られてたけど。別に光属性が他に使える人が居ない訳ではないし、珍しいだけだ。


 もう疲れたし、帰って良いか?もう良いでしょ?ボクちん、帰りたいでごわす。



 「ギルマス。この子、かなり使えると思うわよ?」


 「ああ、そうだな」


 おい、〝使える〟って何だ!〝使える〟って!こんな小さな子供にアンタ等は何をさせる気だ!?


 この女性とギルマスの怪しい会話を聞いた俺だが、大人達に囲まれている現状況では逃げる事は不可能。ひどい。こうなったら大定番「トイレに行きたいの~」とか言って逃げ出すか?


 「ミネル君だったね?君に少しお願いしたい事があるのだが、良いかい?」


 「お断りします。さようなら」


 俺は即刻、頭を下げて拒否った。そして立ち上がりドアへと向かおうとした・・・のだが、また肩を抑えられて離陸失敗。おのれタジルめ。ゲームでは最強武器を取りに行ってあげたのに、この扱いは不服だぞ。


 俺がちゃーんと拒否ったのに、ギルマスの話は続く。何故、続く??


 「実は、この町から東に行った所に小さな村があるのだが、その村にある墓地で死霊種の魔物が集まっているという情報が冒険者ギルドに入ってきたんだよ」


 おい無視か?やっぱ、無視なのか?俺の「お断りします」は聞こえなかったのかのぅ?ギルマスってば耳が遠いのかい?



 ・・・あれ、ちょっと待て。〝死霊種〟に〝墓地〟だと?それってまさか_____



 「死霊種・・・ですか?」


 俺は嫌な予感がしてギルマスに尋ねた。乙女ゲームにも似たような話があるからだ。


 「あぁ、そうだ。その村に夜な夜な死霊種が出現するようになり、数も増えているらしい。その事に、この町の領主が村の者達から助けを求められてな。それで冒険者ギルドにも依頼が来たという事だ」


 「・・・へぇー」


 「そこで丁度、光魔法が使える君が現われた。なので、君にも手伝って欲しいのだが」


 「手伝いって、僕は冒険者の皆さんみたいに武器とか扱えないですよ?」


 「いやいや、まだ子供の君に前線で戦わす気は無い。君には後方での支援だけをお願いしたいんだ。安全は私が保証するし、もちろん報酬も出る。どうか、お願い出来ないだろうか?」



 〝墓地での死霊種との戦い〟 〝冒険者依頼〟 〝この町から東の村〟



 ギルマスの言葉に考え込む俺。この依頼は、あの乙女ゲームに出てきた物語と似ている。



 これってさ、もしかしてタジルマースのトラウマイベントじゃね??




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