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073話 聖域になってた


 4-9.聖域になってた



 あ~、風呂が気持ちいい。疲れが癒される~。


 俺は孤児院にある風呂場の湯船に浸かり、疲れきった体を浄化している。き、気持ちぃ~。


 そういえば俺って4日も風呂に入って無かったのか。念のために先程、石鹸で3度も体を洗いました。


 タジルよ、体を拭いてくれていたとはいえ俺は4日も風呂に入って無かったんだぞ?なのに、なんで抱き着いて寝てんのよ、お前は。


 まさか・・・悪臭フェチとか?あのイケメンホスト君が?そんなマニアックな・・・・


 うん、これは考えないようにしよう。きっとタジルの為だ。


 あ、そういえば俺ってフェイにも抱き付かれたよな。や、やばい。〝ミネル、実は臭い説〟とか囁かれていたらどうしよう。しかもフェイってば狼人だ、鼻がいい。


 ・・・今の俺は良い香りになってるはずだし、後で抱き付こうかな?妹ちゃんに飛び蹴りされるかもしれないけど、それ覚悟で。〝こいつ臭いわぁ~〟とか思われるよりマシだ。




 それにしても、攻略キャラ『レギオール=J=ミクシオロン』かぁ。


 あの後もレギオと色々話して、門限があるらしく護衛と共に帰って行った。



  ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○



 「え!?護衛!?護衛が何で孤児院に居るの!?」


 「何を言っているんだい?こんな旧市街へ来るのに、護衛が一緒に居て当たり前じゃないか。これでも僕は公爵家の嫡男なんだからさ」


 「そうじゃなくて!なんで〝武器〟を持っている人が孤児院の中に入れたの?って事だよ!」


 「ああ、なるほど、そういう事か。ミネルだね?精霊達に〝武器を持った者には退出を〟とお願いしてたのは。だけど残念だったね。そんなのは僕が居るから意味なんて無いんだよ」


 「えー」


 「精霊達へは、君よりも上位のスキルを持つ僕がお願いしたからさ。だから孤児院へ入れてもらえたんだよ。理解したかい?ミネル」



  ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○



 やっぱレギオは優秀だった。まぁ乙女ゲームでもキャラ使用率が上位だったしな。



 あとさ、なんかフェイが拗ねちまった。


 レギオがやっと帰ったなぁ、と思うといつの間にか後ろに居たんだよ。



 「・・・なんで俺の時は〝フェイさん〟だったのに、あいつの場合は〝レギオ〟っていきなり呼び捨てなんだよ。お前は俺の何が気に入らねぇんだ」



 俺にそう言って、孤児院の奥へと消えて行きました。


 あれは乙女ゲームをプレイしていた時にお世話になりまくったからであって、うっかり口から出ちゃったんだよ。深い意味はありませんです、はい。




 そんなレギオは何故か、ちょくちょく孤児院へと訪れて来る。


 「それにしても、この場所を『聖域』にするなんてね。君はどうやって、こんな大掛かりな事をしたんだい?」


 そんでもって毎回、紅茶を飲んでらっしゃいます。乙女ゲームではコーヒーを飲んでいたと思ったが。やっぱり10歳の舌には、まだコーヒーの苦さは無理なのか?


 しかし、レギオよ。俺からも1ついいか?お前は暇なのか?それともお菓子をねだりに来たのか?そんなに気に入ってくれたのか?あの新作クッキー。


 「『聖域』?な~んか聞き覚えあんなぁ」


 「・・・呆れたね。自分がした事も分かっていないのかい?こんな非常識な事をしておいて」


 え、呆れられたの?俺ってば。ちょっと待って、今思い出すから。この乙女ゲームの上級攻略者である俺に任せんしゃい!



 「精霊達の憩いの場。精霊達が守護する場所。そして、神々の祝福を受けた神聖なる土地。自然の恵みを豊富に授かった大地。それが『聖域』だよ」



 おいいい!考える時間、短っ!!


 そんな短い時間で分かる訳ねぇだろうがよ!詐欺だ!



 「これが、どれくらい非常識な事なのかミネルには分からないかな?」


 あん?えーと、憩いの場?つまりは『精霊達の遊園地』的な感じ・・・なのか?なるほど、それは確かに大変だ。遊園地なんて簡単に作れるもんじゃないからな。


 「別にしようと思ってした訳じゃねぇけどな。偶然、精霊達の遊び場所になっちまっただけだから。精霊って、果物の木とか草花の周りとかで楽しそうに踊るんだぜ。それが、すんげー可愛いんだよ」


 「そんな〝遊び場所〟なんて生易しいモノなんかじゃないんだけどね、聖域というのは。まぁ、いいけどさ。それよりもミネル、君にもう一つ聞きたい事があったんだ。聞いてくれるかい?」


 レギオは飲んでいた紅茶のティーカップを机に置き、俺に尋ねた。


 「ん、なんだ?昨日の新作クッキーならまだあんぞ」


 「そんなんじゃないよ。僕が聞きたいのは、そこにある木。その光る木は、いったいどうしたんだい?」


 レギオが指差したのは、いつの間にか庭にできていたのを精霊達が俺に教えてくれた光る若木だった。


 でも実は、あの時よりも少し大きくなっています。最初は屈むくらいに低かった若木が、俺が5日ぶりに見た時は俺の身長と同じくらいの高さまで成長していた。本当、ビックリだ。


 フェイに聞いてみたら、俺が倒れた日の夜に大きくなっているのを孤児達が気付いたんだってさ。乙女ゲームの世界でも木は成長魔法を使わないかぎり、そんな急には成長しないはず。こんな不思議現象、やはりコレは何かのレアアイテムなのだと思う。絶対に普通の木ではない。そもそも光ってるし。


 サンタさん召喚アイテムだと俺は確信している。うん、絶対にサンタさんが来てくれるレアアイテムに違いないんだ!このアイテムが発動し、サンタさんが召還されるまでにプレゼントは何が良いか決めておかないと。



 「ああ、その木か。この、すげー綺麗な木な、いつの間にか庭に育っててさ。せっかくだから部屋の飾りに置いてあんだよ。この木ってレギオが言った通り、ぼんやりと光ってんだろ?夜になると、もっと綺麗に見えるんだぜ!」


 俺の言葉に「はぁ~」とため息をつくレギオ。どったの?疲れてんの?


 「・・・君には呆れるよ。本当に分かっていないのかい?その木がどれだけの『神気』を纏っているのかを」


 「ん?神気?なんだっけ、それ?」


 「『神気』っていうのはね、神の力が備わったモノから漏れ出てしまう力の余波の事だよ。そうだな・・・君にも分かりやすく言うと『聖剣』が一番近い存在かもね」



 せいけん・・・は?聖剣!?この光っている木って『聖剣』と同じなの!?




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