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072話 お菓子パーティー


 4-8.お菓子パーティー



 俺が精霊を視る事が出来るのは、ヒロインであるミネルソフィ=ターシアがもっていたスキル『精霊眼』のおかげ。


 でも、攻略キャラ『レギオール=J=ミクシオロン』が持つスキルは、その上位種。名前は『精霊の愛子』。


 俺のスキルとは違い、友人のように話し、聞く事が出来る。魔術師にとって最高のスキルだ。


 そう。『レギオール=J=ミクシオロン』は魔術師。乙女ゲームではMPと知識がトップレベルのキャラクター。ゲームをしている人なら分かるだろうけど知識は魔法攻撃力に依存する。


 よって敵の殲滅力が素晴らしく、仲間の攻撃職の中ではかなり優秀だった。俺も乙女ゲーム時代では結構お世話になりました。




 「・・・ねぇ、ミネルは僕の言葉を聞いていたのかな?」


 笑顔なのだが、少し困惑気味になっているレギオが俺に尋ねた。


 今、レギオの前にあるのは俺が用意したお菓子パーティーだ。ヴァンさんの所にたくさんあったから、ちょっと拝借してきました。


 さっきは突然のイベント発生で落ち込んでいたけどな。だけど、よく考えたらあのレギオが目の前に居るんだよ。これはお菓子パーティーを開いて接待しないとダメだろう。


 いや~、レギオには乙女ゲームでそりゃお世話になりましたよ。数々の討伐依頼イベント。レギオが居てこその攻略だったね、あれは。


 特に魔法攻撃しか効かない魔物とかにはレギオが必須だったからなぁ。他の攻略キャラも魔法攻撃は覚えていたけど、威力と攻撃範囲がケタ違いなんだよ。


 それにレベル上げでもレギオは便利キャラだった。レギオのレベルを一番先に上げておけば、強いダンジョンに潜っても仲間が倒される前に敵を殲滅できる。だから仲間のレベル上げも楽になる。レギオってば、マジ優秀。


 なのでレギオールというキャラは、あの乙女ゲームでは俺の心の友だった。随分とお世話になったッス!


 さぁ、たんとお食べ!これは当時、お世話になりまくった俺からの感謝の印だ!



 ・・・ん?あれ?そういえばレギオとの出会いって、学園に入学してからだよな?


 「・・・なんでレギオってば、ここに居んの?」


 「・・・君は本当に僕の話を聞いていなかったみたいだね?それに、いきなり〝レギオ〟なんて失礼じゃないかい?」


 おっと、心の声が出ちゃってた。テヘペロ (。・ω<)ゞ


 「え~、いいじゃん。レギオだって俺の事〝ミネル〟って呼び捨てにしてるだろ?」


 「僕より格下の相手を呼び捨てにして、何が悪いんだい?」


 そうだった。こいつ、こういう性格だったよ。笑顔で言える所がすげーよな。



 「じゃあ、もう一度言うね。次はちゃんと聞いてて欲しいな。僕はね、君が気に入らないんだよ」


 「そうなんだ~。あ、これ新作のクッキーらしいんだよ。食べてみないか?」


 さすがは乙女ゲームの世界。ゲームのストーリー通り、やっぱりレギオからあのセリフを言われてしまったか。これは、もうヒロイン役としの宿命なのだろう。


 俺はそんな事を思いながら、ヴァンさんの所にあった高級菓子のクッキーをモソモソ食べる。激うまっ!それに箱自体が高級感ハンパない。これは捨てずに置いておこう。何か小物とかを入れるのに使えそう。


 「・・・君は本当に人の話を聞かないね」


 「ん?何言ってんだ、聞こえてるぞ。これでも耳は良い方だからな!」


 特に風の精霊さん達が協力してくれる時は凄いよ!何キロも遠い場所でも聞き取れるからな。俺ってば、この技?でスパイとか出来るんじゃね?オファー待ってます。


 「はぁ、まぁいいや。じゃあ、続きを話すよ。無駄かもしれないけどね」


 「あ、うん。・・あ!ちょっと待って。ジュース無くなってんじゃん!ちょっと持って来るわ」


 お菓子には飲み物は必須。特にクッキー系は美味しいけど口の中の水分が奪われていくからなぁ。


 もちろんジュースは庭で取れた果実を使用して作った物だ。むっちゃ美味いんだ!



 「あっ!レギオは紅茶の方が良かったか?確か棚にあった気が____」


 「これでいい、これでいいから。もう座りなよ、ミネル」


 そっか、これから湯を沸かすには時間が掛かるしな。ジュースで諦めておくれ。けど、そのジュースは美味いから安心しろ。


 何故か疲れ顔のレギオ。なんで?どうした?美味しいお菓子がこんなに沢山あるのに何が不満なんだよ。俺の完璧な接待に、不十分がドコにあるよ。



 「んで?レギオはなんで、そんなに俺の事が気に入らねぇ訳?」


 「・・・今の状況でも理由になりそうだけど、話すよ。僕はね、幼い頃から精霊と一緒だった。精霊と共に育ったんだ。だから僕にとっては掛け替えのない存在なんだ」


 まぁ、確かに『精霊の愛子』ってそういうスキルだからな。精霊達の好む魔力さえあれば当たり前だな。


 良いよなぁ、精霊たち可愛いもん。うんうん、分かる分かる。俺も話し、してみたいッス。


 「ミネルは、この王都でかなり精霊達と仲良くなったみたいだね。僕の周りに居る精霊達からも君の話は、よく聞いているんだよ」


 え!?精霊たちって俺の事そんなに話題にしているの?すんげー嬉しい。愛されまくってんじゃん、俺。


 そんな照れるなぁ。俺も精霊達が大好きだかんな!ありがとな!


 でも、それが何?何が気に入らねぇの?レギオは精霊達と話せるから良いじゃん。


 「それで僕が気に入らないと言うのはね・・・そんな精霊達が言うんだよ、〝ミネル 大好き〟って」



 ・・・・・・・だから何だ!?




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