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069話 豪華な食事


 4-5.豪華な食事



 タジルの罠から無事に脱出できました!一瞬の油断を見抜いた俺は、凄いと自分で褒めておこう。タジルってば全然起きないんだもんよ。


 そんで俺は今、高級レストランのような場所で豪華フルコースを目の当たりにしていた。



 あ、あれはもしや!テレビで見た事しかない伝説のCYABIAか!?黒い宝石という・・・あれ?そんなに美味しく___


 げふんげふん。OH!あれは豚のまる焼ーき!迫力満載だね!でもこっち向けないで。食べづらいよ!なんか豚の悲痛な叫びが聞こえてきそうだ。


 あ、エビだ。でっかいエビっすねぇ。・・・でもさぁ、こんだけデカいとドコをどう食べれば良いのか分からないんだけど?フォーク、突き刺して良いの?


 ・・・やばい。俺ってば超庶民だから豪華フルコースを楽しめない。ハン○ーガー食べたい。



 どうやら俺が寝ていたこの立派な屋敷はヴァンさんの実家だったみたい。さすがは伯爵家。廊下に鎧があるとか漫画みたいだ。


 俺が廊下にある高価そうな大きい絵画を見ていたらロイドさんと出会ってあいさつしてくれた。俺が見覚めた事に安心して喜んでくれた。御心配お掛けしたようで申し訳ないッス。


 それで俺もあいさつしようとしたら、盛大にお腹が鳴りました。お腹が減ってんだから仕方ない。


 それが聞こえたロイドさんは、笑いながら俺を食卓へ案内してくれた。



 「え?俺って4日も眠ってたんですか?」


 俺は、ロイドさんにまずコレを飲みなさいと言われたスープをちびちび飲んだ。名前が凄く覚えづらいスープ。俺が言えば舌を噛むレベル。改名してほしいそのスープはかなり濃厚だった。名前からは何のスープか分からんが、このスプーン一杯でいくらなのだろう?


 そして、一緒に食事をしているヴァンさんに衝撃的な事を教えられた。俺ってば4日も眠り姫をしていたらしい。つまり今日は、俺が気を失った日から5日目の朝って事か。・・・まさかタジルのKISSで目覚めたとか止めてね。してたら絶対にアイツを殴る。


 「・・・ああ」


 「そうだよぉ。ミネル君まったく目ぇ覚まさないんだもん。みんな心配したよ」


 ヴァンさんとロイドさんが、食事を摂りながら色々と教えてくれた。


 倒れた俺は、ヴァンさんの家が雇っている治療師の方にお世話になったらしい。本当は治療院へ連れて行きたかったが、フェイとタジルが猛反対したらしい。


 ヴァンさんの伯爵位を使って秘匿にすると説明されたのだが、国が運営する治療院へは行かせられないと反対して認めなかったんだって。心配してくれたんだな、ありがとうな。


 あと俺の消滅魔法で大聖堂は消えちゃったけど、死者はいなかったって。いや~、超奇跡。神様ありがとう!居るか知らんけど、今度教会に行ったら「ありがとう」とお祈りします・・・覚えていたら。


 これからは孤児院の運営は、ヴァンさんが面倒みてくれるらしい。やっぱり俺はもう無理だよな。俺を捜索する為に王国の関係者が常に近くに居て孤児院が見張られているらしい。もう、あのフード姿とはお別れだな。


 フードを取った状態だったら孤児院に行っても大丈夫だと教えてもらった。


 「というかミネル君。もうフードを被って王都を出歩かない方がいいよ。きっと王国の人に捕まるだろうから」


 ですよね~。仕方ない、結構気に入っていたが『闇の衣』はマジックバックに留守番させておこう。


 「あとねぇ、教会の豚教祖は遠くの村教会まで飛ばされたってさ。それに、その豚教祖のおかげで昇進できたクズな部下達も全員が遠くへの左遷が決まったらしいよ!良かったじゃん、ミネル君」


 「え?何でそんな事に?教祖って凄く偉い人なんでしょう?大丈夫なんですか?」


 確か教会を立ち上げた真教祖様の血を受け継ぐ人を「教祖」として崇めているんだろう?そんな簡単に村協会まで左遷できるのか?


 「それは、もちろんヴァンが動いてくれたからだよ。コイツ結構、凄い奴だから。国王様にも進言できるし!」


 ・・・ん?んえ!?ヴァンさんが!?国王陛下にっていうのも凄いけど、寡黙なヴァンさんがペラペラ進言している姿が想像できないんですけど!?


 「・・・ああ」


 ほら、さっきから二文字しか喋ってないじゃん。もしや仕事だと人が変わるとかか?・・・なにそれ超見たいんですけど。


 「それとさ、ミネル君。タジル君が一緒に寝てたのは許してあげな。君が倒れてから二日間はフェイ君と二人で離れず看病していたからね」


 「そう、なんですか?」


 「そ。タジル君は冒険者としての仕事があるからね。付きっきりの看病は二日が限度だったみたいだ。仲間達に迷惑を掛ける訳にはいかないだろうし」


 タジル・・・変態扱いしてゴメンよ。心配してくれてたんだな、あんがとう。


 「その二日間、君の事を喜んで清拭(せいしき)して看病に励んでいたよ」


 「ん?せいしき?何です、それ」


 「動けない人を裸にさせてタオルで体を綺麗に拭く事だよ」


 ・・・前言撤回。やはり変態だった。



 「あの、フェイは?フェイは今どうしてます?」


 タジルの事は忘れよう。意識が無い間、裸にされて体を綺麗に拭かれた事は記憶の闇に放り込む。それよりもフェイはどうしているのか気になったので尋ねる。


 「フェイ君は何やらお金が必要だと相談されてね。だから孤児院の世話役としてヴァンが雇ったんだよ。だから今は、あの孤児院に居ると思うよ?」


 「そう、なんですか。ありがとうございます・・・」


 〝お金が必要〟。きっと奴隷になった仲間達の為だな。すまないねぇ、フェイさんや。ワシの稼ぎが悪いせいで給料が未払いだからヴァンさんに相談したのか。・・・あれ?俺、見捨てられないよな?




 話しは変わるけど、今回の事で少し思った事がある。


 俺ってば、本当に魔王とは性格が真逆なのな。


 知っている子供が一人死ぬだけで取り乱した〝俺〟 


 うるさい生き者は赤子でも平気で殺す〝彼〟



 光属性で人々を癒す〝聖女〟


 闇属性で命を消し去る〝魔王〟



 勉強嫌いで、はしゃぐのが好きな〝遊び人〟


 才賢で、すごく神経質な性格の静寂を好む〝天才人〟



 うん、会ったら絶対に喧嘩しそうだな。仲良く出来るだろうか?




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