066話 ※騎士団長の日誌※ Prt.2
4-2.※騎士団長※ Prt.2
※ ※ ※ 攻略キャラの父親 騎士団長 ??? の日誌 ※ ※ ※
○○○年 △月 □×日
今日も疲れた。先に愚痴を書いた事を情けなく思う。
あの『大聖堂消滅事件』から2日が経った。今日も書類の山との戦いを、やっと終えた。申し訳なかったが、私の補佐である副隊長にも協力をしてもらった。そうでないと終わりが見えなかったからだ。
事件の捜査資料、貴族からの詳細の催促、研究者達の報告書、市民からの質問届け、大聖堂再建の為の救助要請。まだまだ沢山の書類が山と成しているのだ。
ああ、妻と息子に会えるこの家がどれだけ私の救いになっているだろうか。
あの事件から王城では会議を連日、行なっている。もちろん騎士団長である私も参加しなければならない。正直、疲れる。
まず、大聖堂の被害状況について。
死者は奇跡的にいない。あの不思議な声のおかげだろう。声についてはまだ調査を行なっているが、まだ何も分かっていない。神職の者達は神々の声だと言い張っているが、真実はまだ不明のままなのだ。
大聖堂は、〝何も無い〟という言葉が正しいだろう。巨大な建造物があったはずの場所は、今や何もない更地となっている。崩れた建物の破片さえ残されていない。
いや、1つだけ無事だった物がある。それは大聖堂で厳重に保管されていた『聖剣』だ。
あれだけは、まったくの無傷のまま残されいた。更地になった土地に、あの聖剣だけが地面に突き刺ささり存在していた。
あの恐ろしい魔法が直撃しても存在しているとは、さすがは神々から授かったとされる神具なだけはある。今では国宝とされる聖剣が無事で、本当に良かったと安心した。
次に、あの光り輝く子供。
大聖堂を消し去った大魔法を放ったであろう小さな子供。その子は魔法を放った後、気を失ったのか前に倒れそうになった。
そこに突如、フードを被った青年が現れた。その青年は子供を抱え、私に一睨みした後にすごい速さで去って行った。
私は追い駆けられなかった。私だけでなく、あのような魔法を目の当たりにした我々全員が。
その子供について、会議ではいろんな憶測が飛び交っている。
___『魔王』に違いない。あのような恐ろしい存在はそれしか考えられないだろう。魔王がこの王都に攻め込んで来たのだ。
___『神々の使者』ではないか?今の教会の体制を許す事が出来なかった神々の御使いなのだ。これは神々からの天罰だ。
___『他国からの攻撃』という事はないか?我が国の名所である大聖堂が消え失せたのだ。国境を強化すべきだろう。
___『邪神教からの攻撃』かもしれん。狙われたのは大聖堂。邪教徒どもの反乱に備えるべきだ。
すべて、本当に憶測だ。あの子供を見つけない限りは分からないだろう。なのに貴族達による憶測が飛び交う会議は続く。時に言い合いになってしまい、陛下が治める事態もあった程だ。
その貴族の中には、この出来事を利用して陛下の印象を良くしようとする者さえ現れた。我が国が誇る大聖堂が無くなってしまった重大な事件なのにだ。
その事に俺の親友でもある、今では国王になったアイツも頭を抱えていた。宰相の奴も表面上は笑っていたが、あれは確実に怒っていたな。アイツだけは怒らせない方が良いのに。
今日も結局は現状に進歩は無く、情報収集に専念する事となった。私は陛下から、あの〝光り輝く子供〟について捜索せよとの命を受けた。
あの子か・・・。何故、泣いていたのだろう?何がそんなに悲しかったのだろう?
そして、何より「逃げてください」とその子供が呟いたあの言葉。その日から私は、あの子が口にしたあの時の言葉が気になっている。
男の子か女の子かは分からなかった。幼かったが故、女の子の声にも聞こえるし、男の子だったとしても声変わりしていないとすると納得できる。
その子供について、教会の者達から情報が入った。旧市街にある、数年前に使われていた旧孤児院にそれらしき人物が居ると。
その様な古い建物に何故いるのか。そして、何故それを教会の者達が知っているのかは答えてもらえなかった。
私は騎士団の部下を連れて、その旧市街にあるという孤児院へと向った。
・・・まただ。また、私はどれだけ混乱しただろうか。ありえない風景が私の目に映っている。
すでに廃れた旧孤児院だった場所の庭には多種多様な木々が生い茂り、大量の果実が木々に実っている。季節外れの物までもがだ。そして、木々の下にも野菜やハーブ系の草花が見事に育っていた。
旧孤児院も、今では普通に孤児が住んでおり孤児院として立派に運営がされている。
いったい、この王都に何が起きている?これはいったい何なんだ?
結局フードの子供はあの日以来、見かけていないらしい。詳しく調査したかったが孤児の子供達が我々、騎士を怖がっている。私や部下の姿を見ただけで怯え、逃げ出す者さえ居た。
仕方なく、我々騎士団は引き返した。ただ、宰相の命令で監視役はいつも置くようにとの指令を受けたので、それに従う事とする。
そして私が見たものをすべて調査資料に書き、陛下に渡した。あとは陛下の判断に任せよう。
明日も朝から仕事だ。愛する息子の寝顔を見て癒された後、愛する妻にキスをして寝るとする。
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