063話 ※ロイド※ Prt.1
キツネみたいに細い眼をした男キャラって良いよね
怒った時とかに開く眼が カッコイイ!
なのでロイドの話を書いてみました (*゜∀゜)ノ
いつかロイドが中国のカンフー服を着る話を書いてみたい
3-23.※ロイド※ Prt.1
※ ※ ※ 護衛 ロイド 視点 ※ ※ ※
俺は、物心がついた時からヴァンと一緒だった。
幼い頃から無口で、あまり話さなかったヴァンは他の孤児の子供から怖がられていた。だけど俺はずっと傍に居た。何故だか分からないが、傍に居ると安心したから。
何をするにでも一緒に行動し、一緒に食事し、一緒にトイレに行き、一緒に寝た。
仲の良い兄弟みたいだと、孤児院のお手伝いをしているお姉さん達が言っていたのを覚えている。
状況が変化したのは10歳になってから。孤児院にヴァンの父親だと名乗る男が現われた。その男はとても綺麗な服を着ていて、いかにも貴族という感じがした。
その男が言うんだ。「それを返して頂こうか」と。
ヴァンはこの貴族の妾が産んだ子供だったらしい。教会の属性検査で『闇』属性が主軸だと判明したヴァンを、父親が引き取りに来たのだ。
『光』と『闇』の属性は珍しいと聞いた。そして羨ましいと。将来がそれだけで約束される選ばれた者だそうだ。
俺は泣いた。ヴァンが居なくなった。いつも傍に居たあいつが、もう居ない。ずっと、ずっと泣き続けた。
だが、2年が経った時、ヴァンが孤児院へやって来た。
幼い頃から喋るのが苦手なヴァンは、変わらずただ一言「・・・一緒に来い」と言って俺を馬車へ招いた。
あの時の貴族が着ていた服と同じくらいとても綺麗な服を着たヴァンは、俺を豪華な馬車に入れてとても大きな邸宅へと連れてきた。
混乱している俺にヴァンは言った。「・・・また一緒だ」と。その一言で余計に混乱した俺だが、〝また一緒〟という言葉に涙が止まらなかった。
落ち着いた所で説明を受けた。ヴァンの実家となったラクシャス伯爵家の執事から。
どうやらヴァンは貴族学園へ通い、優秀な成績を残しているらしい。そしてこの間、全ての学問のテストで全問正解を叩き出したみたいだ。
その報酬として、ラクシャス伯爵家当主にお願いし、俺をヴァンの護衛兼執事としてラクシャス家に招いたとの事。両方とも見習いからだけどな。
それからの生活は楽しかった。ヴァンの奴が貴族専用の学園に、孤児である俺を無理やり入学させたのには本当に驚いた。ヴァンに不可能は無いのだろうか?
俺も通う事になった貴族学園の中等科では、王太子やら宰相の息子やら騎士団への入隊を目指す奴とかと仲良くなり、そいつ等と一緒に生徒会をしたりと、充実した学園生活を送った。
そして俺達は中等科を卒業し、高等科でも仲良く学園でつるんでいた。その時には貴族である皆には婚約者ができ、ヴァンにも無事に可愛いらしい婚約者が決まっていた。
そして俺達はまた生徒会に入り、学園生活を楽しんだ。その貴族学園も皆、無事に卒業する事が出来た。
だが、それと同時に衝撃的な知らせを俺とヴァンは聞いてしまった。
俺達が幼い頃から育ててもらった大恩ある孤児院が閉鎖してしまったらしい。いつの間にか、あの孤児院のある場所が『旧市街』となっている事にも驚いた。
俺とヴァンは詳しく調べた。そして知った。孤児院は教会総本部によって閉鎖へと追い込まれた事に。
理由を調べ、〝旧市街にあっては危険だから〟と表向きにはそうなっていた。しかし実際は、新しく建築された孤児院に孤児達を集め、優秀な人材を審査する為だった。
教会に選ばれなかった子供達。急に家を失った孤児達は路地裏に住む者や空き家に侵入して寝床とする者などになった。
お世話になった旧孤児院の院長先生や補助役の女先生達も全員、王都から追い出されてしまったらしい。教会の仕業だ。
俺達は・・・何も出来なかった。何も知らなかった。そして、力が無いちっぽけな存在だと思い知った。
ヴァンと二人で話し合う。その結果、ヴァンはラクシャス伯爵家をこの若さで継いだ。父親である当主を追いやって。方法は俺も知らない。仲が良かった宰相の息子と一緒に陰謀をたくらみ、成功させたらしい。
そして伯爵家当主となったヴァンが行なったのは、まず『旧市街の秩序を守る事』だった。その為に、たくさん悪い事もした。人も数え切れないくらい・・・殺してきた。
死人は証言できない。それが必要な時がたくさんあったからだ。つまりは口封じ。全員、悪人だったのがせめてもの救いだ。
やはり王都だけあって、腐った貴族も大勢いる。旧市街に住む無法者を利用する貴族も多かった。俺達が知らない間に、旧市街となっていたこの場所は犯罪の宝庫となっていたんだ。
家を失った孤児達にも救援を行なっていく。ただし、教会にバレないように慎重にだ。
そして悪くなった所を1つ1つ片づけていく毎日が続いた。いつかの、楽しかったあの時を思い出しながら。
あれから数十年。ヴァンは結婚もして子供も出来た。ヴァンにそっくりな男の子で、名前は『ジルロイド』。俺の名前に似せてみたんだと。すごく恥ずかしいが、嬉しかったな。
ヴァンのおかげで少し平穏となった旧市街も、最近では若い奴らがでしゃばってきている。
そんな抗争をしている時に、大きくなり立派な冒険者となったジル君が尋ねて来た。
「・・・父に話し」
そう言って、ヴァンの執務室へと入って行った。俺も一緒に入ってジル君の話しを聞いたが、話しというかお願いだったな。
なんでも俺達が子供の頃にお世話になった、今ではもうボロボロの孤児院がある土地が欲しいんだと。ヴァンは了承して、王城へ許可を貰いに行った。
俺は気になってジル君に尋ねてみた。何でそんな場所が欲しいんだってな。
「・・・頼まれた」
それは執務室でも聞いたんだが、まぁいいか。無事にヴァンから権利書を貰えたジル君はそれを持って屋敷を出て行った。
その後、またジル君はヴァンに頼み事をしにやって来た。本当に珍しい。あのジル君が頼み事をする事態、珍しいというのに連続か。
まさか・・・女か!?あの可愛かったジル君にとうとう女が出来たのかい!?気になる。すっげー気になるぞ、おい!
次の日。気になった俺は懐かしい旧孤児院の場所へとやって来た。
「・・・は?」
俺は、夢を見ているのだろうか。なんだ、あの果物の森は。ありえねぇ、そんな情報、俺の所には何も・・・
旧孤児院の庭に果物の楽園が出来ていた。季節外れの野菜、高値で売れる珍しい果物、地面には薬草が各種、勢揃いだった。
その奇跡の産物を、楽しそうに喜んで採取する孤児や放浪者達。これは・・・ヴァンに報告しないといけないな。
あのボロボロだった孤児院も綺麗になっており、その孤児院が復興されていた。孤児院の中へ子供達が楽しそうに入っていったのだ。
待ってくれ。頼むから待ってくれないかな。理解の処理が追いつかないよ。
俺とヴァンが目指した過去の孤児院の風景が今、俺の前に広がっていた。
その後、俺とヴァンは再生された孤児院へ赴き、ジル君の紹介でピンク髪の小さな可愛い男の子と出会う事となった。
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