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057話 今日の天気予報


 3-17.今日の天気予報



 早朝から俺が住んでいる旧市街の孤児院が、教会の神官達に攻撃された。


 しかし、俺は焦っていません。この場所は魔法で傷つく事が無いからです。今、この場所には魔法の元でもある精霊達が沢山いて、守ってくれているから。俺を守っているというよりも、庭にある植物を守っているみたいだがな。


 せっかく精霊が頑張って育てている果物や野菜を破壊しようとすれば、精霊達の怒りをかう。


 つまり、そんな場所に攻性魔法を放とうものなら____


 「け、怪我人を後退させろ!前列を立て直し、後方部隊は治療に移れ!」


 あの様に、魔法が消えるか跳ね返される。特に火は使わない方が良い。火の精霊は倍返しが当たり前だから。


 ていうか教会の皆さんもいい加減、学ぼうよ。何回、同じような事してんの。精霊達の守りを破れると思っているのか?



 「主様。孤児達が怖がっている、なんとかしろ」


 「へいへ~い」


 フェイが怯えている子供達に抱き付かれながら、部屋に入って来た。何で孤児達は俺には懐かないのに、フェイにはベッタリなんだよ。ちぇっ・・


 朝ご飯を片づけて、俺は仕方なく孤児院から出る。


 「出たな、悪の権化!邪教徒を集め、神聖なる土地を汚した罪は重いぞ。悔い改めろ!」


 俺が玄関を出ると、いつも来てるハゲ親父___もとい、神官の人が怒鳴ってきた。



 「おじさん、毎回同じような事を言って疲れない?ちなみに俺は疲れた。勘弁して下さい」


 「で、あれば!この土地を我等が教会へとあけ渡し、お前は神の神聖なる裁きを受けるのだな!」


 俺がココの権利書を持っていると言っても、そんなの関係ないと怒鳴ってくる。〝教会と孤児院がある神聖なる土地は全て、我ら教会総本部の物になるのだ〟だって。それは困るのだ。


 その神聖な土地に攻性魔法を放ってるくせに、よく言うよな。彼等いわく、教会の許可なく無断でこの地に足を踏み込むお前は、神聖なる地を汚している。だから俺は〝邪教徒〟なんだと。



 「神聖なる裁きとは何ぞや?それも人間が決めた罰なのに、何故に〝神の〟とか付けてんの?恥ずかしくないんですか~?」


 「お、おのれ邪教徒め。神々の宗徒である我ら教会の者を愚弄して、タダですむと思うなよ!?」


 「神の宗徒になると、神の気を浴び過ぎて髪の毛が無くなるのかな?頭の光り具合が神ってますねー」


 「こ、この、このおお!邪教徒めがぁああああ!!!!」


 神官の男がメイスを片手に突っ込んで来た。攻性魔法が効かないと分かると、いつもコレだ。毎回、毎回、同じ事を繰り返していい加減覚えたら?


 男が孤児院の土地に足を踏み込んだ瞬間、足元の草がいくつも男に絡みついた。


 「おおおお!邪魔だぁあああ!!!」


 草を千切って進む男。それ以上は来ない方がいいのに。


 侵入者を敵と見定め、風の精霊達が踊り始めた。ああぁ、来るなアレが。


 俺は身を低くして体制を整える。


 「ぐっ・・・あああああぁぁぁぁ!!!」


 急激な突風が吹き荒れ、男が今日も空を飛んで行く。今日はどの辺まで飛んだだろうか?前は民家に大穴を空けたらしい。


 「し、神官長さまああああああ!!!」


 男の飛んで行った方向へ走って行く部下の神官達。おや?あの人、神官長に就任したんだ。おめでとー。







 7:50  『ミネル!今日の天気予報』 デ・デ・デ・デーン


 「では、次に今日のお天気です。お天気アナのミネルソフィさ~ん!」


 「はーい、おはようございま~す!今日、私は王都の市街地にある孤児院へ来ております。ご覧ください、この見事な青空!今日の王都は全区画、晴天となるでしょう。洗濯物はもちろん、お布団なども干す絶好のチャンスですね!ただ残念な事に、一区画だけ神官長様が降ってくる恐れがあります」


 「それは危ないですねぇ」


 「はい!なのでお出かけの際は、折り畳み傘などをお持ちになると良いでしょう。もし悲鳴などが聞こえた場合、急いで傘を取り出して、打ち返してください!そうすれば今日一日、晴やかな日となるでしょう。以上!お天気でしたぁ。ミネル・キャスター、おかえししま~す」


 「はい、ありがとうございました。以上、今日の天気予報をお送りいたしました」



 『ミネル!今日の天気予報  おわり』 デ・デ・デ・デーン







 さぁ、今日も爽やかな風が吹いた事だし、一日頑張りましょうか。



 みんな、聞いてくれ。


 とうとう・・・とうとうやったよ、俺!


 俺はとうとう『衣』を準備する事が出来た。孤児達に配る新しい服。みんな喜んで着替えている。


 ヴァンさんとロイドさんとの取引き。野菜や果物を売ったお金で、俺は孤児達に新品の服を買ってあげられたんだ!ヴァンさんに服の用意を依頼したのが、今日届いたのだ。俺は今、王都にある店で買い物ができないからな。


 これで!これでやっと『衣食住』が揃った。やったんだよ、俺は!やり遂げたんだ!


 あははははは、は~?あれ?なんで子供達は俺にじゃなく、フェイにお礼を言うのかな~?


 さぁ、子供達よ!俺の周りに集まっておいで~。「ミネル君、ありがとう!大好き!」という大合唱はどうしたのかなぁ~?


 俺は両手を開き、ニコニコの笑顔で迎える。だが俺を無視して部屋から出て行く皆さん。


 あれ?何処に行くのみんな?みんなのミネル君はここだよ?



 俺はその時、知らなかった。毎日、黒いローブを深く被る俺は孤児達に怪しまれ、怖がられていたなんて。



 俺は部屋で1人となり、庭から子供達とフェイが楽しそうに遊ぶ声が聞こえてきた。


 ・・・スザク。俺は今、無性にお前に会いたい。俺に会いに来てくれ、スザきゅんよ(涙)。




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