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053話 ※フェイ※ Prt.2


 3-13.※フェイ※ Prt.2



     ※ ※ ※ 攻略キャラ フェイレシル=ラシュール 視点 ※ ※ ※ 



 「誠に申し訳ございませんが、あなた様の登録は認められません」


 俺に申し訳なさそうな顔で頭を下げる女性が言った。


 あれから、冒険者達が奴隷商の奴等を捕まえ、その奴隷商に捕まっていた俺達は解放された。


 普通はギルドに保護されるらしいが、俺には目的がある。村人の仲間達を探すという目的が。


 俺はまず金を稼ぐ為に、冒険者ギルドで登録をする事にした。すると受付をしていた女性に登録は無理だと断られてしまった。


 「な、何故なんだ?俺はちゃんと申込書に記入を・・・」


 「先程、ココに血を付けて頂きましたよね?そしたら、あなた様の鑑定結果に『奴隷』という文字が刻み込まれました。我が冒険者ギルドは奴隷の方の登録は認められておりません。誠に申し訳ありません」


 もう一度、頭を下げて謝る女性。


 俺は絶望のあまり、ただ茫然と立ち尽くしていた。だが、その後の受付嬢の言葉により更に絶望する事となる。


 「そして、今のあなた様の状態は大変よろしくありません。鑑定結果に『奴隷 - 未登録』という表記がされているからです。これがもし国の治安部隊に知られた場合、あなた様は投獄されるでしょう」


 「・・・え?」


 「あなた様の今の状態は『逃亡奴隷』というもので、重罪です。良くて鉱山行き、悪くて処刑されてしまいます。ですから・・・逃げてください」


 「・・・お、おれ・・・おれは」


 「早く逃げなさい!あなたはまだ15歳、死ぬには早すぎます!この書類も証拠となる記録も全部、私が処分しておくから早く逃げるのです!さぁ、早く行って!」



 俺は受付嬢に言われた通り逃げ出した。


 途中、冒険者の男にぶつかったが、謝りもせずにただ走って逃げた。


 俺は夜の王都を走り続ける。何も考えられず、ただ受付嬢が言った〝逃げなさい〟という言葉だけを頭に残して。


 走って、走って、走り続けた俺は、途中から泣いている事に気が付いた。


 涙が溢れ、前が見難くなって、走る事を止めた。


 俺が止まった先に建物が見えた。あれは、教会か。しかし、とてもボロい。天井に穴が空いていて、今にも崩れそうだった。


 だが俺はふらつく足で、その教会へと入った。



 中は雑草が生えていて、人が居るようには見えない。


 良かった。ココでなら、人が居ない、ココでなら____


 俺は・・・泣いた。大声で。子供みたいに。ただ、ただ泣き続けた。自分の心が静まるまで。




 あれから、俺は泣き疲れていつの間にか眠っていたようだ。


 これから、どうしようか。仲間を・・・探しに行かないと。俺と同じく捕まってしまった仲間達を。生きているかも分からないが。


 ・・・でも、どうやって?


  ぐ~


 俺の腹が鳴った。そういえば、まともに食事なんて取っていない。・・・もう、このまま死ぬのも悪くないかもしれないな。


 そんな俺に残酷なのか幸運なのか、とても良い香りが漂ってきた。これは〝果物の香り〟か?


 俺は教会から出た。隣の建物から漂ってくる、とても良い香り。俺はその香りに導かれるままに足を運んだ。


 見えたのは果物の宝庫。ありとあらゆる果実が実っている。ありえない、季節外れの物までもが。昨日までは何も・・・。


 その果物や野菜などが実っている場所に、人々が群がっているのが見えた。俺も、その奇跡の場所に向かう。美味しそうな果実を1つ取り、口に運んだ。


 美味い。とても濃厚な果物の甘さが口に広がった。もっと、もっと食べたくなった。



 「きゃあっ!!」


 小さな女の子が男に蹴られ地面に倒れた。俺の妹と同じくらいの小さな女の子がだ。


 俺はその行為にブチ切れて、少女を蹴った男を地面に蹴り倒してから睨みつけた。


 そんな事をした場面をジロジロと見てくる奴に気が付いた俺は、その方向を見て驚いた。奴隷の競売場で出会った、あのピンク髪の少年だった。



 まさか、そのピンク髪の少年が無理やり俺の主になるとは、今の俺は思いもしなかった。



   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




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