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052話 ※フェイ※ Prt.1


 3-12.※フェイ※ Prt.1



     ※ ※ ※ 攻略キャラ フェイレシル=ラシュール 視点 ※ ※ ※ 



 腹、減ったなぁ。


 俺は暗闇の中、鎖に繋がれている。


 俺は『奴隷』だ。村が襲われ、村長が殺されそうだった。俺のジジイだ。そう、救うのに仕方ない事だったんだ。


 村の仲間達はどうなったのだろうか。捕まったみんなは生きているだろうか。


 戦った大人達は、殆んど殺されたらしい。俺の親父も・・・おそらく、殺されたのだろう。


 俺も。俺だって戦いたかった!親父たちみたいに村を守りたかった!


 だが親父に頼まれた。〝お袋と幼い妹を守れ〟と。


 親父、すまねぇ。本当にすまねぇ。俺は、俺は何一つ守れなかった。親父との最後の約束を、俺は・・・。



 村長(じじぃ)の命と引き換えに、俺は契約を結んだ。『奴隷』となる契約を。


 契約書にサインすると、俺の腹に焼け付くような痛みが走る。急いで服をめくると、そこには黒い文様が浮き出ていた。


 魔王軍の呪術師いわく、これは『奴隷紋』という名前らしい。


 こうして俺は、一生を奴隷の身分として過ごす事となった。あの契約書があるかぎり。




 「ここに居たら、お前がお腹いっぱい食べられる様にしてくれる人が来るからな。大人しく待ってな」


 ああ、また新人の奴隷が来たのか。今日は二人目だな。


 辺りは暗いが、俺は耳が良いからな。一人目みたいに喧しく泣かれるのは嫌だ。


 子供の泣き声。もう・・・もう聞きたくない。村が襲われた時に十分聞いた。だからもう勘弁してくれ。


 「さっきから、うっせぇぞ!そこのガキ!いい加減、泣くのを止めろ!!」


 俺は怒鳴っていた。狼人族である俺が、子供をだ。


 狼人族は子を大事にする。大事な群れの一員だから当たり前だ。それこそ他所の子供でもだ。


 そんな俺が子供を怒鳴るなんて、俺自身が驚いた。俺は、どうしちまったんだろうな・・・。



 「あんの~、すみませーん。1つお疑いしてもよろしいでしょうか~?」


 さっき連れてこられた奴隷の子供が俺に話しかけてきた。


 止めろ。今の俺は普通じゃねぇんだ。話し掛けるな、頼むから。


 「できましたら~、あなた様のお名前をお聞かせ下さいませんかぁ?」


 は?何言ってんだコイツ。名前?何で、んなもん知りたいんだよ。意味分かんねぇ。


 「ちっ、変なガキ。・・・俺の名前はフェイレシル。フェイレシル=ラシュールだ。これで満足か?」


 しつこそうだったから教えてやった。ったく、何なんだよ一体。頭でもおかしくなってんのか?




 「フェイレシルさん。もしかして怪我してます?」


 ったく。もうほっといてくれよ。確かに奴隷商の奴らに〝目が気にくわねぇ〟と殴られ、鞭で打たれたさ。でも俺は獣人だ。それに俺は神獣様の加護を持っているから、これくらいの傷なんてすぐ治る。


 「俺が治しましょうか?痛いでしょ?」


 「・・っ!?お前っ!お前『光』の属性が使えるのか!?」


 俺は驚いた。


 『光』の属性。曾ババ様に聞いた事がある。俺ら獣人族では決して持つ事がない属性。人間でもその属性を持つ者は数少ないと。


 「おい、お前!俺に着いているこの首輪に、解呪の魔法をかけろ!そしたら此処から助けてやる!」


 光属性は『隷属の首輪』の機能を著しく激減させる事も可能なのだと教えてもらった。この首輪のせいで俺の腕力等が抑えられているんだ。だから、これさえ壊せれば此処から出て仲間達を探しに行ける。



 その奴隷の子供は俺の首輪に解呪の魔法をかけてくれた。さっそく首輪に力を入れると簡単に壊せた。よし!力が出せる!


 俺は自分に巻き付いている鎖も足枷も鉄格子も全部壊した。そして、その子供の方へと歩いて行く。



 見えてきたそいつは、変わったピンク色の髪をした少年だった。



     ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




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